2人の大スターが共演していること以外、僕は何の予備知識も無いままこの映画を観た。そして、ラストで僕はこの映画に喝采した。
僕はつくづく思った。タランティーノっていい奴だなぁ。彼は頻繁に暴力を描くけど、心根が優しくて、ロマンティックな男だなぁ、僕は、彼のことが愛おしくなった。
1969年8月に起こったチャールズ・マンソン率いるカルト集団によるシャロン・テート殺人事件は、ハリウッドの悪夢である。シャロンは、当時の写真を見ても分かるけど、天使が地上に舞い降りてきたようなイノセントで可愛い女性だった。
新進気鋭の映画監督であるポランスキーの新妻で、妊娠8か月であった彼女はカルトの集団によりめった突きにナイフで殺された上に、ロープで首を括られて天井から吊り下げられていたという。
華やかりしハリウッドは、これを境に暗鬱な映画に傾斜していく。
この忌まわしい過去を消し去り、描き直さなくてはならない。いや、それ以上切実に、あのキュートなシャロンを助けたい。
落ち目の西部劇役者デカプリオが、その想いを代行する。大好きだったテレビ西部劇のガンマン(リック・ダルトン=デカプリオ)が、再び光り輝く。
昔、昔、ハリウッドに無敵のガンマンがいました。彼は、少し歳を喰い、落ちぶれてはいだけど、素敵なレディーをカルト信者の無法者から救うのです。
この映画は、愛すべきお伽話しである。とともに、この映画は、リック・ダルトンが銃や火炎放射器をぶっ放し、シャロンが微笑んでいた無邪気で明るいハリウッドという時代への切ないノスタルジィでもある。★5つ。
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