KEVINサイトウの一日一楽 

人生はタフだけれど、一日に一回ぐらい楽しみはある。

テレサ・テン ”淡淡幽情”&”私の家は山の向こう”

2006年03月17日 | Music,Movie & TV
 あるTVの音楽番組で、ラッツ&スターのお姉ちゃん、鈴木聖美がテレサ・テンの「時の流れに身をまかせ」を歌っているのを見た。

 この鈴木聖美の歌を聞いた時、テレサ・テンがいかに偉大な歌手かということに天の啓示のごとく気が付いた。僕にとって、この気付きは衝撃的と言っても過言ではないほど大きなものだった。
 
 鈴木は、フェイクを入れまくって、R&Bっぽく歌った。
 彼女がギミック一杯の歌い方をすればするほど、歌は汚くなった。
 
 演歌嫌いの僕がテレサのオリジナルを無性に聞きたくなった。一切、作為性を排除したテレサの歌が、いかに透明で自然で、美しいものであるかに気づいた瞬間だった。

 テレサは勿論、日本でも有名な歌謡歌手だ。しかし、故国である台湾、中国、香港、シンガポールなどの中華圏では、日本での名声を遥かに凌ぐ超大物歌手だ。

 そして、テレサ・テンという日本向けの名前で歌うものより麗君という中国名で歌う中国語の曲の方が素晴らしい。

 その中でも「淡淡幽情」というアルバムは、麗君の紛れもない最高傑作である。

 このアルバムで歌われる曲は、千年以上前に書かれた中国の古典詞に現代のメロディーをつけたものだ。

 テレサのあまりに美しい声と、格調の高い歌いっぷりには感動する。

 95年テレサはタイのチェンマイで急逝する。
 没後10年を記念して出版されたのが、「私の家は山の向こう」という本だ。

 色々スキャンダラスに富んだように憶測された彼女の生と死がきちんと描かれている。
 あまりに有名な歌手であるが故に中国と台湾の相克の中で、もてあそばれた彼女の悲劇も分かる。

 その中で、僕には次の二つのエピソードが印象的だ。

 ひとつは、テレサは華僑の中でも最高の金持ちであるシャングリラ・ホテル・チェーンを経営するクオーク家の御曹司と婚約するが、それを破棄する。

 華僑の金持ちは本当に桁違いだ。その中でも一、二を争う名家の御曹司との婚約を破棄したのは、クオーク家がテレサに歌を止めることを迫ったから。
 彼女は華僑一の金持ちの家に嫁ぐことよりも、歌うことを選択した。

 もうひとつは、天安門事件が起こった際に、テレサは反中国共産主義へのプロテスタント運動に参画したこと。

 弾圧される中国の学生たちを支援するために多くの国で支援運動が起こった。

 テレサは何万人もの人が集まる香港のハッピー・ヴァレイ競馬場に赴き、反共のスピーチを行うとともに歌を1曲歌った。
 Tシャツに鉢巻といういでたちで。

 その時に歌ったのが、「私の家は山の向こう」という曲だ。

 この時の実況をCDにしたものが、本には付録として付いている。
 緊張感と不安で胸が張りさけそうになるのを堪えながら、学生支援のために敢えてステージに立ち、歌った切迫感がCDから伝わってくるが、しかし、どんな時でも彼女の歌声は美しい。

 「私の家は山の向こう」というのは、実は侵略してきた日本に対する抗日のために書かれた曲だ。

 テレサ・テンはやはりテレサではなく、麗君だということだ。


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5 コメント

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できれば (sato)
2006-03-22 15:06:27
CD-Rだと助かります。

MDプレイヤーを持っていないもので・・・
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録音 (KEVIN)
2006-03-21 01:20:09
satoさん、MDでよいですか?
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wao! (sato)
2006-03-20 08:41:11
録音していただけると、非常に嬉しいです。

甘えてしまってよろしいですか?

お時間ができたときにお願いします!





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是非 (KEVIN)
2006-03-19 00:52:06
 satoさん、本もさることながら是非、”淡淡幽情”聞いてください。

 アマゾンとかで手に入ります。



 それとも、今度、録音してあげましようか?
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テレサ・テンって・・・ (sato)
2006-03-18 14:43:19
本人の人生は、時の流れに身をまかせてたまるものか!!って感じだったのでしょうか。



本の付録にCDがついているってナイスですね。

読んでみます
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