九州宮崎県の郷土料理で「冷や汁」というのがある。
即席のかけ汁で、宮崎県の平野部を中心とする郷土料理。
農民たちが暑い夏に、麦飯に生味噌をのせてそれに水をかけて
食べたことが元になっているという。
麦飯もかっては丸のままの大麦をいったん炊いてから、
水をくわえてふやけさせ、それをもう一度炊き上げた、手の込んだもので
あったそうだ。農民が夏の重労働を行う際、時間や食欲のないときでも
充分な栄養補給や体力回復のため簡単に食べられる生活の知恵として
伝承されてきた料理である。
関東では氷水に味噌をといて、具にキュウリやミョウガなど夏野菜を
入れていただく冷や汁がある。全国各地に違いがあるが冷水に味噌をといた
「冷や汁」と呼ばれる料理がある。
一本釣りで有名なオジィの船にのせてもらってカツオを釣りに行ったことがある。
真夏の暑い盛りに日陰のない船だった。食欲もわかなかったがオジィが氷水に味噌を
といて濃い汁を作って、そこにぶつ切りにしたカツオとキュウリを入れた冷や汁を
作ってくれた。海の上でいただく冷や汁のあの味が忘れられない。
オジィは若い頃、マグロやカツオを追いかけて世界中の海を渡り歩いたそうだ。
そのときに一緒に乗っていた人に教わったらしい。
「九州の郷土料理さぁ」といっていた。