沖縄で「鷹」といえば、だいたいサシバのことである。
サシバの渡りは寒露の節で10月中旬がそのピークとなる。
今年は寒露の日にミーニシ(新北風)が吹いた。
その風に乗って午後3時過ぎ宮古島にサシバの一便が数十羽上空を舞っているのが
見えた。翌日の新聞でも数十羽のサシバが伊良部島で確認されたと
報じられていたが、その後は確認できていないそうだ。
オバァは昔を懐かしむように、秋の大運動会の終了を告げるのはサシバであったと
よく聞かされた。当時は幾百万羽の大群があたかも蚊柱のように夕映の雲に
見え隠れしながら大きな渦巻きとなって渡ってきていたそうだ。
1972年に沖縄は日本に復帰し、本土の鳥獣保護法が適用されるようになったが、
30年ほど前まで一般に売られていた。沖縄本島や本土で暮らす島の人たちに
「故郷の味」として送っていたこともあった。
地道な啓蒙活動などで保護する意識が高まり現在では守られている。
昔はとって食べていたので、サシバの激減は「鷹雑炊」
にしたからといわれている。
実際はサシバの繁殖地である日本本土で20数年前から松食い虫防除のために
ヘリコプターによる空中薬剤散布が盛んに行われるようになった。
このため松食い虫ばかりでなく森林に住む昆虫や小動物まで殺されてしまうと
いうことが起きた。サシバの雛もあおりをくったといわれている。
本土ではサシバという名さ知らない人が多いがサシバは秋を告げる使者でもある。
今年は寒露の日に確認されたくらいで、その後も昨年の半数ほど確認されただけだそうだ。