旧暦の8月8日をオバァたちは「トーカチ」という。
8が並ぶ8月8日にひっかけて、八十八の長寿祝いをする。
本土では文字の形から「米寿」と呼ばれるお祝いであるが、
トーカチはその習慣を沖縄風にアレンジしたものといわれている。
トーカチとは「斗かき」の事。
昔、枡(ます)で米を測っていた時代、こんもりと山になった米を
平らに切るのに用いた竹の筒の事。
トーカチ祝いに行くと山盛りにした米に斗かきをさしたものが飾られている。
宮古島に来て色々なお祝いに呼ばれたがトーカチ祝いは一度だけ。
古希祝いは何度もあるがトーカチは行わない人の方が多いのかもしれない。
かっては年長者が長生きだと、子孫はその分だけ奪われるなどといわれ、
長寿祝いで模擬葬式を行った時代もあったそうだ。
その一方で、祝いの席では塩を盛る「塩祝い」というのもあったという。
これは「親は塩に漬けてでも長生きさせたい」という意味が込められているのだそう。
トーカチ祝いの来客には長寿にあやかろうと、斗かきと縁起を担いだ土産が渡される。
その他、長寿祝いの土産の定番は、
「喜ぶ(よろこんぶ)にかけた酢昆布、百を意味する「桃」として沖縄のヤマモモ、
島豆腐の薄切りを干して炙った「ルクジュウ」と呼ばれる祝料理など。
ルクジュウは1枚で60を意味するので、必ず2枚セットにして
「百二十までも長生きできるように」との願いを込めて供される。
トーカチという言葉にはもう一つ「丁度」という意味がある。
グラスに泡盛やビールを注ぐとき、頃合いを見計らって
「トートートー」といったり、今がグッドタイミングというときに
「トー」と声をあげる。この普段当たり前のように使っている
「トー」は、斗かきが由来である。