生まれ育ったのは大阪でも人口の多い街の住宅地だった。
大阪梅田の繁華街まで市電で4つ目の駅であったが、当時はまだ、
たくさんの田畑があった。大きな街の住宅街ではあったが近所にはビワの
実のなる木やイチジク、カキの木があった。
持ち主の目を盗んでは実をとってよく叱られた。
神戸の震災の復興工事に行ったとき通勤の途中の信号待ちをする、
すぐ横の家にビワがあった。バイクで通勤していたので手を伸ばして
一つ二つ食べていた。ある日、いつものように通りかかると、その家の主が
家の前に立っていて、ビニール袋に入ったたくさんのビワを手渡された。
昔は近所の子供が取っているのを叱ったが、いつのまにか取る子供も
いなくてなったと言っていた。外に実っているようなものを取って
食べることがなくなった。
宮古島でも昔ほど豊富ではないが時期になるとイヌマキの実や
野イチゴ、グヮバがなっている。歩いていて見つけると、宝ものを
見つけたような気がする。
最近、アセロラを見つけた。
人の敷地内ではなく道路沿いに誰にも気づかれないように赤い実をつけている。
その前を通るたびに一つ二つとっては食べている。
アセロラは赤い宝石ともいわれている。
生産量は沖縄が全国一で、5月〜11月にかけて出荷されている。
見つけたアセロラの木は大きく、おそらく鳥が種を運んできて自然に自生したのだろう。
今は売れるほどの実をつけている。