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遊星號による天体観察(120)

2022-12-24 06:53:51 | 
遊星號[1]で撮影した月食の画像[4,10]を用い、月までの距離を試算[7]した結果を記す。

(1)月までの距離の試算概要
・地球の影の見かけの大きさの測定
 D:地球の影の見かけの直径(pix)

・月の見かけの大きさの測定
 d:月の見かけの直径(pix)

・両者の比と地球の実際の大きさから月の実際の大きさを計算
 地球の影の大きさは、太陽光が平行であれば、地球と同じになるが、実際には、およそ月の直径分小さくなっている[7]
 従って、
 D/d = (R - r)/r
 ここで、
 R:地球の実際の直径(約12,800km)[7]
 r:月の実際の直径

・月の実際の大きさと見かけの大きさから月までの距離を計算
 L = r/(2πθ/360)
 ここで、
 L:月までの距離
 r:月の実際の直径
 θ:月の見かけの大きさ(視直径)(°)

(2)月までの距離の試算結果

使用した月食の画像(2022-11-08 18:50頃)[10]


地球の影の部分の推定例


地球の影の見かけの大きさの測定
※マカリのグラフ機能・画面例[5-6]
測定結果は、次の通り
 D = 2,658 pix


月の見かけの大きさの測定
※マカリのグラフ機能・画面例[5-6]
測定結果は、次の通り
 d = 957 pix

・両者の比と地球の実際の大きさから月の実際の大きさを計算
 D/d = (R - r)/r
 2,658 pix / 957 pix = (12,800 km - r)/r
 r = 3,386 km
 すなわち、月の実際の直径は、約3,400kmと試算できた。

・月の実際の大きさと見かけの大きさから月までの距離を計算
 θ = (イメージセンサ分解能) x d = 1.93" x 957 pix = 0.51°
 r = 3,386 km
 従って、
 L = r/(2πθ/360)= 380,591 km
 すなわち、月までの距離は約38万kmと試算できた。

・口径:50mm
・ドーズの分解能:2.32"
・イメージセンサ分解能:1.93"相当
(イメージセンサ画素ピッチ:3.74μm)

(3)まとめ
遊星號を用いて撮影した月食の画像を用い、月までの距離を試算した。
その結果、月の直径は約3,400km、月までの距離は約38万kmが得られた。
※紀元前350年頃、アリストテレスは月食の影のようすから「地球は球形だ」と考えたようだ[7]。

参考文献:
(1)アメリカン!遊星號(三脚台座1/4雌ネジ付)
(2)今日のほしぞら-国立天文台暦計算室
(3)月-Wikipedia
(4)2022年11月8日の月食-Wikipedia
(5)すばる画像解析ソフト-Makali`i-配布サイト
(6)マカリ:Makali`i 超入門編(マニュアル)
(7)鈴木文二・洞口俊博 編、あなたもできるデジカメ天文学 "マカリ"パーフェクト・マニュアル、発行所 恒星社恒星閣、2015年11月15日初版1刷発行、pp.16-17.
(8)カテゴリー 月-KIMUKAZU blog
(9)皆既月食・天王星食(2022年11月)-NAOJ
(10)遊星號による天体観察(112)-goo blog
(11)月食を楽しもう
(12)月食から求める月の大きさと月までの距離
(13)月食観測による月までの距離測定
(14)「月の大きさと月までの距離」
(15)アリストテレス-Wikipedia

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