ヒロポンとは、こんな薬だった。
体力をつけ、倦怠感や眠気を取り除き、作業の効率を高める薬の宣伝です。適応症を見ると、体や精神を酷使するとき、徹夜作業のとき、疲労しているとき、そして2日酔いや乗り物酔いの時にも効果があると書かれています。なんだか夢のような薬ですが、この「ヒロポン錠」、実は覚醒剤なのです。
かつて、覚醒剤は日本の薬局どこでも買える普通の薬でした。そんなバカな、と思うでしょうけれど。
今回は、そんな覚醒剤の誕生についてのお話。
まず、覚醒剤とは何か?
「覚せい剤取締法」で規制されている薬物は、基本的には
・フェニルアミノプロパン(アンフェタミン)
・フェニルメチルアミノプロパン(メタンフェタミン)
の2つを指します。メタンフェタミンのほうが、アンフェタミンより強い興奮作用があり、いわゆる「シャブ」「エス」「スピード」「アイス」と呼ばれるものに相当します。
化合物としては比較的古くから知られているんですが、このメタンフェタミンを合成したのは日本人。薬学界の長老だった長井長義博士が、「麻黄」の有効成分で喘息や咳の薬として使われるエフェドリンを創製したとき、その誘導体の1つとして作られました。明治26年(1893)のことです。
効能としては催眠剤の反対で、眠気を去り、疲労感をなくし、気分を高揚させ、多弁になり、行動的な状態になります。眠気を去り疲労感をなくすといっても、一時的に無理ができるというだけで、その後は休養や睡眠が必要だし、しかも連続使用するとさまざまな障害が起きるため、医薬品としては特に重要ではありませんでした。抑鬱症とか睡眠発作(ナルコレプシー)とかだけに用いられる特殊な薬だったんですね。
☆よくこんな声がきこえてくる〇〇区ですが。