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「ニシノユキヒコの恋と冒険」 川上弘美

2006年10月24日 | 読書
川上弘美さんも好きな作家です。
この人も、どこか不思議な世界を、美しい言葉で紡ぎだす人。

「ニシノユキヒコの恋と冒険」(川上弘美・新潮文庫)

ニシノユキヒコ。ニシノくん、幸彦、西野君、ユキヒコ。
彼は清潔で几帳面で男前で、優しくて
どこか頼りなくて、でも甘え上手で、セックスも上手い。
彼はいつも恋をしている。
だけど本当に女のひとをきちんと愛したことがない。
中学時代から50代までの、彼をめぐる10の物語。

ニシノユキヒコってのは、ある特定の誰かではなく
ニシノユキヒコみたいな男の人、なんじゃないかなぁ。
いつの時代にも、何歳でも、こんな男の人はいるでしょう。
残念ながら恋愛経験が多いと言えない私は
こんな素敵なニシノ君みたいな人には出会ってませんが。

だって、年代を考えると辻褄が合わないんだもの。
まるでタイムトラベラーみたいな、恋する彷徨い人。

罪な男だ。
猫のようにするりと いつの間にか上がりこんで
”君だけだよ”なんて甘い言葉を囁くハンサムなニシノ君。
でも、心の奥には哀しい愛のはじめの記憶を抱えている。
だから いつもどこか寂しげ。
それが母性本能をくすぐるんだろうか・・・。

ニシノユキヒコを愛したひとが言う。
「西野を愛するのは、せんないことだったけど、
楽しいことでもあったからね。
甲斐のある苦役だったわよ」

本人に意識はなくて 平気で二股かけちゃう西野くん。
夜10時以降には女の人からの電話が絶えない。
それでも、女の人にとって、彼を愛した記憶は
決して苦々しい、消してしまいたい哀しいことではなく、
忘れえない強い思い出だというのがなんとも憎らしい。

不思議で色っぽいお話でした。
やっぱり女性作家の書く小説が好きだなー。
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2 コメント

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わたしはね。。 (mさと)
2006-10-28 00:14:00
今までで一番モテたのが中学2年の時なんです。



たぶんそれで、人生少し損してるような気がします。



だって、いくらモテたって、一度もデーとしたこと無かったんですよ、そのころ。。むしろ、恥ずかしくて女の子と二人っきりになるなんて。。



あぁ、人生、足して二で割るってわけには行かないんだろうなぁ。。(^^ゞ
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いいなぁ (☆kino)
2006-10-29 23:18:53
>さとさん

きっと、紅顔の美少年だったのでしょうね!

それとも、スポーツマンタイプ?

お笑い系? 中学生で女ったらし、というのも

いやですよ(笑) 人気あるけどそっけないくらいが

イイんですよ!
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