デビュー記念日の12月1日、WOWOW で「 THE DAY 」という
オザキの特集番組が放送されていた。
番組を見て、僕は少しウンザリした。
相も変わらず「十代の代弁者」「若者の教祖」として、
オザキを祭り上げていたからだ。
バンダイの「ガンダム商法」と似たり寄ったりだと感じた。
僕はオザキと同年だから、リアルタイムで彼の音楽に触れた。
佐野元春や浜田省吾をルーツとする真っ直ぐな彼のロックンロールには、
同じ音楽を聴いて育った同世代として、シンパシー以上の何ごとかを感じていた。
けど僕は、オザキを「カリスマ」とか「教祖」などと崇めたことはない。
むしろ、狂信的に、盲目的に、彼に熱狂する当時のファンを苦々しくみていた。
デビューして亡くなるまでの9年間にリリースした6枚のアルバムも、
すべてリアルタイムで購入して聴いた。
けれど殊更に待ち望んで買ったわけじゃなく、
当時の僕ら世代の一般教養というか、必須科目みたいな感じだったと思う。
「もしオザキが今も生きていたなら」と想像することは詮無いことだが、
恐らくろくなことになってないと思う。
歌うことをやめているか、
少なくともシーンからは消えているんじゃないだろうか?
ティーンエイジャーの焦燥感や苛立ちを歌ったシンガーは、
オザキの他にも幾らでもいる。
オザキの凄みは、当事者の十代でそれについて歌ったことに尽きる。
だから自然、リリックがストレートな表現にならざるを得なかったし、
僕ら同世代の聞き手もすぐに共鳴できた。
生前のオザキの苦悩は、オザキの死の遠因は、
実像以上に「十代の代弁者」と祭り上げられたことだったと思う。
オザキが亡くなって21年の歳月が流れた。
そろそろ尾崎豊というシンガーソングライターを冷静に評価する時期だと思う。
終わらない狂想曲のようなバカ騒ぎは、泉下のオザキも望んでないにちがいない。
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