文化勲章受章者で日本芸術院会員の陶芸家、
青木龍山先生がお亡くなりになった。
本日、葬儀告別式がしめやかに営まれ、
僕も専務ともに会葬し、龍山先生に最後の別れを告げた。
龍山先生と弊社とのおつき合いは長く、
かれこれ40年ほどになるんじゃないだろうか?
子ども時分、親父の出張について有田@佐賀県にいくと、
先生はいつも穏和な表情で優しく接してくれた。
龍山先生は、乳白色の磁器に色絵を染付するという有田焼の伝統からあえてはみ出し、
「天目」という黒を基調とした独自のスタイルを確立された。
黒釉を使いはじめた当初は、そのオリジナリティがあまりにも際立っているために、
「どうして白くてうつくしい有田焼を黒くするんだ」
と、異端児扱いされ、孤立した時期もあった。
しかし、周囲の雑音に惑わされず、ご自身の世界観をつらぬいたことで、
1999年に九州の陶芸家で初の文化功労者に選ばれ、2005年には文化勲章の栄に輝いた。
その穏和な外見とは裏腹に、自身の作陶スタイルには峻烈極まりなかった。
生前、龍山先生から作陶についてお話しいただいたことがある。
先生(と奥さま)は、
「作品への300年後の評価をも視野にいれて作陶している」
と、おっしゃっていた。
そんな先生もふだんは本当に気さくな方で、
僕のようなものにも有田弁丸出しで気軽にお声をかけてくださっていた。
龍山先生のご逝去は、有田焼や陶芸界のみならず、
日本にとってもたいへんな損失だと思う。
不帰の報に接した今、茫然とした心情はぬぐいきれないけど、
龍山先生の功績を称え、その威徳をお忍びするばかりだ。
龍山先生、多年にわたりお世話になりました。
安らかにお眠りください。
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