昨日、葬儀告別式が執りおこなわれ、僕も参列させていただいた。
先生のご功績を僕ごときが述べることはおこがましい。
しかし、ご葬儀での弔辞を拝聴すると、
改めてその偉大さに畏敬の念を覚えずにはいられなかった。
先生と面晤を得たのはそう多くはないが、
超一流の人独特のスマートネスを身につけておられ、
尊大さなど微塵も感じたことがない。
美の巨人の圧倒的なオーラをその穏やかすぎるお人柄で何重にも内包し、
けっして僕らに無用なプレッシャーを感じさせることがなかった。
というより、(失礼ながら)取っつきやすく気さくな人だった。
先生のお言葉で、幾つか胸に残っているものがある。
「ヒラメキよりもコンスタントを、綺麗なものより美しいものを求めよ」
という金言もそのひとつだ。
350年以上にわたり受け継がれてきた柿右衛門様式をご自身の中で昇華し、
それを後世に繋いでゆく。
その重圧たるや、僕ら凡人の理解の及ぶところではないだろう。
先生は15日に鬼籍に入られた。
葬儀をことさらに6月19日に執りおこなったのは、
この日が初代柿右衛門の命日だったからだそうだ。
このことひとつをとっても、
跡をお継ぎになる十五代先生や窯の皆さんのお覚悟が察せられる。
柿右衛門先生のご逝去は、有田焼や陶芸界のみならず、
日本にとってもたいへんな損失だと思う。
不帰の報に接した今、茫然とした心情はぬぐいきれないけど、
先生のご功績を称え、その威徳をお偲びするばかりだ。
当初、このエントリーはタイトルを「巨星墜つ」にしようと思って書き始めた。
柿右衛門先生は巨星中の巨星にはちがいないが、
お目にかかったときの先生の印象と何かそぐわないと思い「美と技の継承」にした。
ご冥福をお祈り申し上げます。
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