嫁さんに急かされて、九州国立博物館の特別展
「京都 高山寺と明恵上人 - 特別公開 鳥獣戯画 -」に出かけた。
案の定というか、想定以上に混み合っていた。
来訪者の多くが、鳥獣戯画を目的に2時間以上の行列に並んでいた。
ようやく九博に入場し、展示室に入ると、
いきなりその鳥獣戯画が展示されていた。
コンベアで運ばれる回転寿司のように、
僕らは係員に促されて牛歩で鳥獣戯画を通り過ぎた。
鳥獣戯画を過ぎると、みんなは他の展示物にはさほど興味ないのか、
イッキにゆっくり鑑賞できる環境になった。
実は僕の目的は鳥獣戯画じゃなくて明恵上人に関する展示だったから、
気乗りしないといいながら、けっこう楽しめた。
酔狂なことに、若いころ、能を嗜んだことがあって、
明恵上人が登場する「春日龍神」という仕舞を舞ったことがある。
それにここ数ヶ月、トイレで、
密教と華厳宗、そして空海に関する本を読んでいたから、
高山寺の歴史にも興味があった。
そういう(トイレの)ことがあって、
不空三蔵や恵果の肖像画には何となく親しみを覚えたし、
その師である金剛智三蔵に関する展示も興味深かった。
学生時代「春日龍神」を舞ったときは、無知だった。
演目の内容も知らず、お師匠さんの言うがままに手足をバタつかせていた。
ただでさえヘタクソだったのに、これじゃいい仕舞ができるはずがない。
博物館鑑賞なんてガラじゃない。
けれど、古代インドや唐帝国、密教や華厳宗、空海や明恵上人、
さらには僕の青春時代も仄かに感じさせてくれた。
たまには出不精の殻を破ってみるのもいいと感じた休日だった。
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