
五十路をいくつか越えて、花粉症が発症した。
僕の症状は目の痒みと腫れである。
痒みは耐えがたいほどだし、
腫れの方は会う人がびっくりするほどひどい。
花粉症なんてのはデリケートな人がなる病気で、
僕のような粗雑な人間には無縁だと高をくくってた。
なので当初はものもらいか何か、
眼の疾患だと思ってた。
亡き妻は花粉症だった。
主に鼻炎系の症状だったと思う。
春も夏も秋もつらそうだったけど、
僕には斟酌できる経験も思いやりもなかった。
花粉症はつらいのだけど、
亡妻のそれが乗りうつったと思えば、
何やら供養のようにも思えてくる。
それに僕の症状は春先2~3週間程度でしかない。
「花粉症の人は人生の敗北者」だという格言(?)を
何かしらの本で読んだ記憶がある、
この格言の真意ははかりかねるけど、
今はひっそりと季節が移ろうのをただただ待っている。