北関東の宮彫・寺社彫刻(東照宮から派生した宮彫師集団の活躍)

『日光東照宮のスピリッツ』を受けついだ宮彫師たち

伊勢崎の屋台-波志江・稲間の屋台

2018年11月09日 | 各論 後藤流
波志江の屋台、3台めの紹介です。
稲間(稲岡組と間之山組)の所蔵で、現在も毎年10月の秋祭りで出されます。
安政四年、大工は矢内重蔵、彫工は後藤恒徳です。(上州彫工ではなく、江戸の後藤流の彫工が来て製作しました。)

●屋台前方からの全体像


●屋台前方の上部の彫物
鬼板と懸魚で「素戔嗚命の八岐大蛇退治」を表現しています。








●屋台中央部
両脇障子は「高砂」です。




上部は「龍」と「唐子」です









・唐子の持つ軍配に「後藤恒徳」の銘があります。


・唐子の欄間の下の虹梁に「後藤恒徳」とあります。


●屋台後部


後部の獅子の木鼻の腹に「東都 後藤恒徳」とあります。計3か所に彫工の銘があります。




●彫工 後藤恒徳
江戸 江府通四丁目住 後藤三治郎恒俊の弟子。初代後藤義光と兄弟弟子関係。(「江戸彫工」より)
別説として、長坂恒教(政右衛門)の兄弟子・友徳(久四郎:伊勢崎産)が後藤恒徳とするものがある。(文献2)

・北野神社(箕郷町)本殿 後方の胴羽目


碁盤の横に「東都 後藤恒徳」とあります。


・伊勢崎神社本殿
主の彫工は石原常八ですが、一部後藤恒徳も関わっています。


●参考文献
1.『波志江の屋台 伊勢崎市文化財資料集1』 伊勢崎市教育委員会、2007年
2.松本十徳:「利根川沿岸の造営文化」、群馬文化207号、p51-58、昭和61年

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