足利市の文化財に指定されていて、「足利文化財一斉公開2018」で披露されました。
この屋台の注目点は、
①前期(文政年間)と、修復の後期(天保年間)の彫物がある点。
②後期の彫工が磯辺系(栃木富田)と小林源八系(埼玉熊谷)で、両者が協力して製作している点。が挙げられます。
●屋台の全体像
前方部
後方部
側面部 (奥には屋台蔵、屋台の下部には車輪が見えます)
屋台のサイズ 両脇に広が . . . 本文を読む
ここでは、栃木を中心に活躍した彫工・礒辺家について紹介します (私見が混ざっております)。
花輪出身の高松又八は幕府お抱えの彫物大工棟梁となり、多くの弟子を抱え、江戸時代後期の石原、石川、後藤、小沢の流派につながっていく。
以前、当ブログ 「上州の宮彫師たち(上州彫工集団)とその周辺」で紹介しました。
伊東龍一氏がまとめられた、関東彫物大工の系譜(文献1)は、三代後藤茂右衛門(後藤正常)が、文化 . . . 本文を読む
江戸時代、人と物資の移動は街道、水運が重要でした。街道には宿が設置され人も集まります。宮彫師は広範囲に活動しましたので街道周辺に拠点を置いて活躍しました。例えば、花輪の宮彫師は、街道下って(標高ではなく、江戸を基準に)日光東照宮へ修復作業に出かけ、下って北関東・江戸で新規の建造物に関わりました。
北関東で重要な、水運は利根川です。中瀬(深谷市)には、船を扱う有力な集団がいました(彫工 石川流の . . . 本文を読む
主に寺社彫刻を生業とした彫工(宮彫師)ですが、彼らの仕事の需要は施主に左右されました。
・施主の変遷
●第1期 施主は武士主体
江戸時代の前半期は、権力者である武士が施主となり、彼らから依頼された建造物を作ってきました。
代表建築物としては、日光東照宮になるかと思います。有力な彫工も「公儀彫物師」と名乗ったりしています。
・日光東照宮の旧社殿-世良田東照宮(群馬県太田市)
参 . . . 本文を読む
諏訪で有名な立川流も、元は大隅流になります。この大隅流ですがはっきりとした経歴がわかっておりません。
妻沼の聖天山の棟梁を務めた林兵庫正清が、最初に名乗ったのではないかと松本十徳氏は指摘しております。
●平ノ内大隅家と林兵庫家
(林兵庫、四代の正逢と正尊ですが同一人物の可能性があります。)
林兵庫は、平ノ内応勝の二男として延宝三年(1675)に生れました。父の応勝は将軍家光、家綱の霊廟を手掛 . . . 本文を読む
高澤改之助は、その高い彫技から「明治の左甚五郎」と呼ばれました(文献1)。
・手挟みの「松に鷹」
●高澤改之助の出自
天保四年(1833)花輪生。明治二十四年(1891)没。
父は花輪の三代石原常八(主利)。改之助は、祖父の石原二代常八主信から教わっています。改之助は、明治期に尾島に移り住んで、途中から姓を石原から高澤に変えています。
・石原常八の直系の系譜
改之助の弟の幸作は早逝し、息子 . . . 本文を読む
日光東照宮、世良田東照宮と紹介してきまして、次に紹介すべきは「妻沼の聖天山」です。国宝にも指定されている名建築物です。特に奥殿(本殿)は、三面に素晴らしい彫刻が施されています。
寛文10年(1670)に大火で焼失。享保5年(1720)に地元の大隅流大工・林兵庫頭藤原正清によって再建が計画され、享保20年(1735)に着工。途中工事が中断(寛保2年(1742)の洪水:信濃では『戌の満水』)されま . . . 本文を読む
群馬県太田市の世良田には、東照宮があります。ここには本殿と社殿があり、彫物は少ないため、現在の日光東照宮よりも見劣りするかもしれません。しかし、徳川家光により全面的に改修された日光東照宮ですが、改修前の旧社殿を、徳川氏の発祥とされるこの世良田の地に移築しました。すぐ近くには「新田家累代墓」、「徳川義孝公累代墓」があります。宮彫師の仕事の変遷を理解するには重要な場所になります。(当ブログ「上州の宮彫 . . . 本文を読む
波志江の屋台、3台めの紹介です。
稲間(稲岡組と間之山組)の所蔵で、現在も毎年10月の秋祭りで出されます。
安政四年、大工は矢内重蔵、彫工は後藤恒徳です。(上州彫工ではなく、江戸の後藤流の彫工が来て製作しました。)
●屋台前方からの全体像
●屋台前方の上部の彫物
鬼板と懸魚で「素戔嗚命の八岐大蛇退治」を表現しています。
●屋台中央部
両脇障子は「高砂」です。
上部は「 . . . 本文を読む
伊勢崎の波志江(はしえ)の屋台10台のうち中野面の屋台を、前回の岡屋敷に続いて紹介します。
こちらの屋台は、宮彫師は不明ですがやはり岸亦八一門を疑います。
屋台前面の鬼板と懸魚で表現した『龍』は圧巻です。
●前面の鬼板と懸魚
屋台の唐破風の上部から、水が滝のように流れる設定になっています。
唐破風には『飛龍』が付いています。
●屋台後方部
後方部の鬼板と懸 . . . 本文を読む