【写真:次の朝、シナイ山を下りてから】
さて、水を十分補充して、更に長い時間走り、シナイ山のふもとに着いたのは何と夜も8時を過ぎていました。タバの通関手続きがもっとスムーズになされていたら、6時ごろには着いていたかも知れません。とにかく真っ暗です。向こうにかすかな明かりが浮いて、目が慣れると、周りは覆い被さるような岩山で、息が詰まりそうです。
「さて、どっちを向いてもホテルらしい建物はみえませんね」
「あの、明かりがそうじゃないの?」
「だって、あれはレストランでしょう? 一階建てよ」
「おかしいわね」
そうなんです。ここで私たちの常識にヒビが入ったんです。普通ホテルと言えば決まってるじゃないですか。夜になると明かりがついて、入って行くとフロントがあって、少なくても5階以上はありますよね。それがないんです。それらしきものは何にもないんです。とにかく倉田さんと泉さんの後から、羊のように付いて行きました。やはりレストランです。バイキング料理を好きなだけ食べた後、倉田さんから部屋の鍵を受け取り、明日の予定を聞きます。もう9時を回りました。
「明日は・・・・・といっても、あと5時間しかありませんが、夜中の2時に出発です。バスの所に集まってください。いいですね。3時間半かけて登りますから、くれぐれも水を忘れないように! モーニングコールは1時にします。心配な方は、今から着替えていただいて、着たまま休んだ方がいいかも知れませんね」
それから外へ連れ出されて、しばらく歩きました。うっすらと目に入ったのは、自然の丸石を「雷おこし」のように積み重ねた一軒家。それがいくつもいくつも、都営住宅のように並んでいるのです。そう、それがホテルだったのです。
さて、小室夫妻と私と児玉さんが同じ家の番号を持っていました。星明かりの中を案内人の後からついて行きます。玄関を入ると、ベッドルームが二つと、広いリビングルームがありましたが、どこを探しても電話がありません。
「誰か起こしにくるんじゃないの? もう寝ようよ」
遅いからと、とにかく登山の準備をして、床に入ったのが10時半過ぎ。果たして1時に起きれるだろうか。2時間半の睡眠で、その後ずっと3時間半も歩き続けるなんて、私に出きるだろうか。
「父よ、熟睡できますように、祝福してください」
毛布の中で両手を組みながら、いつの間にか眠りの底へ落ちて行きました。
さて、水を十分補充して、更に長い時間走り、シナイ山のふもとに着いたのは何と夜も8時を過ぎていました。タバの通関手続きがもっとスムーズになされていたら、6時ごろには着いていたかも知れません。とにかく真っ暗です。向こうにかすかな明かりが浮いて、目が慣れると、周りは覆い被さるような岩山で、息が詰まりそうです。
「さて、どっちを向いてもホテルらしい建物はみえませんね」
「あの、明かりがそうじゃないの?」
「だって、あれはレストランでしょう? 一階建てよ」
「おかしいわね」
そうなんです。ここで私たちの常識にヒビが入ったんです。普通ホテルと言えば決まってるじゃないですか。夜になると明かりがついて、入って行くとフロントがあって、少なくても5階以上はありますよね。それがないんです。それらしきものは何にもないんです。とにかく倉田さんと泉さんの後から、羊のように付いて行きました。やはりレストランです。バイキング料理を好きなだけ食べた後、倉田さんから部屋の鍵を受け取り、明日の予定を聞きます。もう9時を回りました。
「明日は・・・・・といっても、あと5時間しかありませんが、夜中の2時に出発です。バスの所に集まってください。いいですね。3時間半かけて登りますから、くれぐれも水を忘れないように! モーニングコールは1時にします。心配な方は、今から着替えていただいて、着たまま休んだ方がいいかも知れませんね」
それから外へ連れ出されて、しばらく歩きました。うっすらと目に入ったのは、自然の丸石を「雷おこし」のように積み重ねた一軒家。それがいくつもいくつも、都営住宅のように並んでいるのです。そう、それがホテルだったのです。
さて、小室夫妻と私と児玉さんが同じ家の番号を持っていました。星明かりの中を案内人の後からついて行きます。玄関を入ると、ベッドルームが二つと、広いリビングルームがありましたが、どこを探しても電話がありません。
「誰か起こしにくるんじゃないの? もう寝ようよ」
遅いからと、とにかく登山の準備をして、床に入ったのが10時半過ぎ。果たして1時に起きれるだろうか。2時間半の睡眠で、その後ずっと3時間半も歩き続けるなんて、私に出きるだろうか。
「父よ、熟睡できますように、祝福してください」
毛布の中で両手を組みながら、いつの間にか眠りの底へ落ちて行きました。
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