今回は、日本の治安について考えていく中で驚くべき事実が判明しましたので記事にしたいと思います。少年犯罪は「厳罰化」の流れとなっていますが、この流れは半分間違っています。
■児童自立支援施設、少年院、少年刑務所の違い
犯罪を犯した人は年齢によって扱いが異なります。ここでは、犯罪を犯した14歳未満の少年を「触法少年」、14歳以上18歳未満の少年を「犯罪少年」と呼びます。まとめて言う場合は「少年」と言います。
少年は犯罪を犯した場合、家庭裁判所で措置が決まります。触法少年ならば、主に児童自立支援施設か少年院への送致が決定されます。ただし、少年院の送致は「おおむね12歳以上」でないと行うことができません。「おおむね12歳」とは佐世保小6女児殺害事件を踏まえたもので、要するに数え歳で12ということです。
一方、犯罪少年の場合、児童自立支援施設か少年院かのほかに、少年刑務所への送致があります。この場合、家庭裁判所は「判断できない」として「逆送致」し、通常の裁判所で刑事事件として扱われることになります。
逆送致で刑事事件として扱われ、通常の裁判を経て犯罪少年は刑務所に行くのです。なお、逆送致された場合、本名や顔写真が報道されるケースがかなりあります。
■少年院と児童自立支援施設の再犯率はとても低い
1999年から2024年までの少年院の再犯率(再院率)は、7~14%にすぎませんでした。さらに、児童自立支援施設に至っては1%にも満たないことが分かっています。
しかも、児童自立支援施設に送致された人で殺人を犯している人はまずいませんが、少年院では凶悪犯罪者もかなりいます。そのため、少年院については「凶悪犯罪じゃないから再犯率が低い」はあり得ません。
この再犯率の低さは少年院・児童自立支援施設では、ともに容疑者の個人情報が秘匿されており、社会復帰がしやすいこと、その分、一般の人が被害に合わないよう再犯防止プログラムや更生プログラムに力を入れていることが理由として挙げられます。
少年院を出所した者で再犯しなかった者への調査では、「周囲に犯罪をしていたことが知られなかったから仕事に就きやすかった」ことが一番再犯しなかった要因だと分かっています。周囲に過去の経歴を知られないことで、職場に居続けることができ、盗みを働く必要がなくなるのです。
■刑務所の再犯率は非常に高い
一方、刑務所に収監された者の再犯率は非常に高く、なんと1999~2024年の間でずっと50%近くを保っています。これは更生プログラムの不十分さもありますが、調査では何よりも「職場を転々とする生活」が影響していると分かっています。
特に殺人犯などの場合、更生プログラムがある程度しっかりしているからか更生しているのに「職場を転々とする生活」を続けなければならないから自殺する、という人がかなりいます。
■少年刑務所を廃止して少年院と児童自立支援施設を拡充しよう!
以上の結果から、私は少年刑務所は廃止すべきだと思います。逆に少年院への送致可能年齢をおおむね10歳(小4)程度に下げ、そこで充実した更生プログラムを行うべきです。さらに、少年院や児童自立支援施設行きの少年の顔写真や氏名の報道をより厳格に取り締まるべきです。
短期的な利益を考えれば「一般人が犯罪者から逃れられる」という点で良さそうですが、長期的な目線でみると、再犯率を極端に向上させ、さらに「犯罪者の報道強化」が行われるという悪循環になりかねません。
少年犯罪は厳罰化ではなく、少年院や児童自立支援施設の拡充が最も効果的なのです。