以前、Windows 11では診断データの設定をオフにしても必須の診断データと呼ばれるデータがMicrosoftに送信され続ける問題が発生していることが判明しました。
必須の診断データとは、Microsoftが「デバイスが正常に動作しているかどうかを確認するためのデータ」と主張する情報のことです。
しかし、実際にはWindowsUpdateの実行記録や、アプリの実行・アップデート記録、PCのメーカーや型番、タイムゾーンの設定、Windowsやソフトウェアのバージョン、インストール日などに関する情報などの情報などが細かく送信されています。
今回、新たにWindows 10においても、「診断データの設定をオフにしても診断データが送信され続ける」という問題が限定的ながらも存在することが判明しました。これは、2月のアップデート(KB5051974)で発生している問題と思われます。
次のような設定で発生します。
Windows 10で送信されるのは「TelClientSynthetic.AuthorizationInfo_RuntimeTransition」と記録される、診断データの設定に関するデータとそれ付随するデバイス情報だけです。
次の画像は送信された診断データの種類を示す画像です。一種類の診断データのみが送信されており、先ほど述べた必須の診断データが全て送信されてるわけではないので、Windows 11よりは随分マシです。
データの中身は次のようなものです。
TelClientSynthetic.AuthorizationInfo_RuntimeTransition
{
"ver": "4.0",
"name": "TelClientSynthetic.AuthorizationInfo_RuntimeTransition",
"time": "2025-02-21T14:51:52.5794859Z",
"iKey": "o:0a89d516ae714e01ae89c96d185e9ae3",
"ext": {
"utc": {
"eventFlags": 258,
"pgName": "WIN",
"flags": 905970180,
"epoch": "1307966",
"seq": 13
},
"metadata": {
"privTags": 16779264,
"policies": 0
},
"privacy": {
"dataType": 16779264,
"isRequired": true,
"dataCategory": 1,
"product": 1
},
"os": {
"bootId": 14,
"name": "Windows",
"ver": "10.0.19045.5487.amd64fre.vb_release.191206-1406",
"expId": "FX:117B9872,FX:119E26AD,FX:124117A5,FX:127FC878,FX:1283FFE8,FX:12840617,FX:128979F9,FX:128EBD7E,FX:129135BB,FX:129E053F,FX:12A74DB5,FX:12B8450E,FX:12BD6E73,FX:12C3331B,FX:12C7D66E,FX:12CDE644,FX:12D1574C,FX:12D281C4,FX:12DB8C8B,FX:12E5D068,FX:12E5D322,FX:12E6742F,FX:12E67457,FX:12E674AF,FX:12E6D3CC,FX:12E8312D,FX:12E85DEC,FX:12EAEB55,FX:12EC0B54,FX:12F0AC91,FX:12F10236,FX:12F2EE05,FX:12F322BC,FX:12FF4F22,FX:12FF5D3C,FX:1304EA0D,FX:13083122,FX:13143E2F,FX:1318CA30,FX:1318CAEE,FX:1318CAEF,FX:1318CBED,FX:1318CBF1,FX:13214552,FX:13283A3B,FX:13359857,FX:133A07C7,FX:133BFFE3,FX:133C079E,FX:13404069,FX:134128A5,FX:1342B470,FX:13460076,FX:13499FAF,FX:134B0F33,FX:1355BA1D,FX:304E8BD,MD:283BAEF,ME:3038C64,ME:3038CEC,ME:3039059,MD:30390AF"
},
"app": {
"id": "W:0000f519feec486de87ed73cb92d3cac802400000000!0000e4e3f6bbad17b41a42687b3d75ade4a10b0870ec!svchost.exe",
"ver": "2053/05/30:11:48:20!10998!svchost.exe",
"is1P": 1,
"asId": 85
},
"device": {
"localId": "s:40833357-98A9-4EFD-9015-D9109E87A6E7",
"deviceClass": "Windows.Desktop"
},
"protocol": {
"devMake": "(メーカー名)",
"devModel": "(型番)"
},
"loc": {
"tz": "+09:00"
}
},
"data": {
"TransitionFromEverythingOff": true,
"CanCollectAnyTelemetry": true,
"CanCollectHeartbeats": true,
"CanCollectCoreTelemetry": true,
"CanCollectOsTelemetry": false,
"CanReportScenarios": false,
"CanAddMsaToMsTelemetry": false,
"CanPerformDiagnosticEscalations": false,
"CanCollectWindowsAnalyticsEvents": false,
"PreviousPermissions": 4353,
"IsProcessorMode": false,
"IsProcessorModeUndetermined": false
}
}
というのが診断データの中身です。一番下の値は次のような意味で、
・CanAddMsaToMsTelemetry(Windowsのデバイス名の送信) false(無効)
・CanCollectAnyTelemetry(パートナーの診断データの送信) true(有効)
・CanCollectCoreTelemetry(必須の診断データの送信) true(有効)
・CanCollectHeartbeats(ハートビート診断データの送信) true(有効)
・CanCollectOsTelemetry(診断データ(全体)の送信) false(無効)
診断データ(全体)の送信が無効になっているにも関わらず、必須の診断データの欄が有効となり、実際には「診断データの設定とデバイス情報」のみが送信されていることから、何らかの問題が発生していることがうかがえます。
Microsoftは、こうした問題を早期に修正し、ユーザーのプライバシーの保護に取り組むべきです。
なお、実際に送信された診断データ全体は次のような感じとなります。たった一日で凄まじい量のデータ(しかも同じ種類のデータ)が送信されたことがわかります。
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