コニタス

書き留めておくほど重くはないけれど、忘れてしまうと悔いが残るような日々の想い。
気分の流れが見えるかな。

漏洩・リーク・可視化

2011-02-28 07:52:40 | 
京都大学に続き、同志社・立教・早稲田と、「Yahoo!知恵袋」という質問・回答サイトへのオンタイムでの入試問題の書き込み(質問・回答)があって大騒ぎになっている。

だれがどうやって、という推理が盛んに行われている。
私も、これは“純粋な”カンニング目的ではないと思う。

京都大学副学長は、事前漏洩は絶対無いと言い切ったそうだが、事前でなくても、受験者以外の“犯行”は、一応疑っておいた方が良い。

と、この手の推理を展開しても余り建設的ではない。
少なくとも、我々の目に見えるようになったのは、試験時間中に問題を外部に発信することは可能だ、ということ。
数年前に韓国で大々的に行われたような、外部協力者との交信なら今回のように“発覚”することはない。
試験場内で携帯電話を操作することは相当難しいと思うのだが、今回の件が受験者の“犯行”であるなら、これは氷山の一角だ、と言う前提で考えなければならないだろう(相撲の八百長みたいだ)。

こうした事件があった以上、試験そのものを無効にすべきだと言う意見もある。
確かに、個別の古典的なカンニングと違い、多くの人が閲覧可能な場所に“正解”が書かれたのだとすれば、そう言うことも考える必要があると思う。
しかし、“犯行グループ”以外の受験生がそれに気づく、と言う状況は考えられない。


ところで、28日付朝日新聞朝刊によると、京都大学の英語の問題に対する“ベストアンサー”の回答は正解とはほど遠いものだったらしい。
だから、もし、この“模範解答”に酷似した回答があれば共通誤謬として抜き出すことも可能だろう。



今回のケースが、どういう背景を持っているのか今は解らないが、“知恵袋”については前々から気になっていたので、少し書いておこうと思う。


このブログのサービスを提供しているgooにも“教えて! goo”と言うサービスがある。
サービスを開始した頃覗いて、まずいな、と思った記憶があるのだけれど、その後の繁盛振りを見ると、世の中にすっかり定着しているらしい。

試しに、gooの、“学問・教育”のカテゴリーから“国語”を覗いてみよう。


「作文」と言うタイトル。
* 質問者:maimik
* 投稿日時:2011/02/27 09:18
* 困り度:すぐに回答が欲しいです
誰か優しい方、部活の作文を書いていただけないでしょうか。

部活での思い出
・今年あった小体連と町大会優勝。気持ち・とてもうれしかった。3年間がんばった力がすべて出せた。

先生たちに感謝

中学校でもサッカーを続けるので部活で習ったのを生かして頑張りたいです。

この事を入れながら書いてください。

お願いします。 

※辛口コメントやめてください。

質問番号:6553526


これ、本当にそう言う本人(小学生?)が質問しているとは信じがたいのだけれど、今読むことの出来る回答4件の内、1~3は協力的なアドバイス、4は、今回の事件も念頭に置いた“辛口コメント”。どれも真剣と言えば真剣。

他にも、レポートや宿題、卒業研究に至るまで、何でも訊いている。
で、4番や3番のような、教育的指導らしい書き込みがある場合も見えるけれど、一方で、“優しい方”が本当に“答え”を書き込んでいるケースも見かける。それも、かなり早く。

今回のケースは、仲間内だったのかも知れないけれど、やはり短時間の内に回答が書き込まれたらしい。
ここには、“親切な教えたがり”の存在がある。
誰よりも早く難問を解いて良い回答を示すことがステイタスになる。
実用的な知識やちょっとした相談事なら解るけれど、これってどうなんだろう。


前に、朝日新聞、「しつもん! ドラえもん」について疑問を書いた事があるが、考えたり調べたりする態度を養う仕組みそのものが崩壊している。

「調べ物が得意です」という学生の内情が、グーグルとウィキペディア。それでさえ、情報の信憑性評価も、交通整理も出来ていない。まして、現場に行って人と会うなんてあり得ないような。
ネットのマナーはそこそこ持っていても、実際に人と会い、物に触れる時の作法は識らない。

私を知っている人には、「お前が言うな」と言われそうだけれど、それでも私がこの職を得て、失職せずに文献調査やフィールドワークが出来るのには、それなりに理由があるのだよ。


私のことを書いたついでに言うなら、私の授業のレポートは不正が出来ない(多分)。しかも、不正がしたくならないだろうと思う(おそらく)。ダメだと思ったら諦めるし、そうでない学生には本気で取り組めば面白いと言うことが伝わっているからだ。

授業のテストでも、入試でも、新しいメディアやテクノロジーの“進歩”にどう対応するかを考える前に、不正しようのない問題を作ればいい。



言語文化学科の総合問題みたいにね。

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