おぐりクリニック

眼科、アレルギー科、漢方外来

眼科治療で視力回復以外にも抗がん剤が使われています

2024-05-07 | 日記
前回、黄斑浮腫の視力回復治療に
抗がん剤の一種を眼球に注射することをお伝えしました。
驚かれた方が多かったのではないでしょうか?
 
抗がん剤の副作用に関する記載をみると、ほとんどの抗がん剤において「結膜炎」 や「角膜炎」などの症状があります。
一般的に抗がん剤を全身的に使用した場合、目に結膜炎などの症状が出現することが多いのです。

<抗がん剤の歴史>

抗がん剤の起源として、最初に登場するのはナイトロジェンマスタードです。
マスタード・ガスという言葉を聞いたことはありませんか?
マスタード・ガスはイペリットとも呼ばれた毒ガスで、第1次と第2次世界大戦で使われました。

第2次世界大戦中の1943年末、イタリアの基地バーリ港に停泊していたアメリカの輸送船がドイツ軍の爆撃を受けて、積んでいた大量のマスタードとナイトロジェンマスタードが漏出し、連合軍兵士たちが大量に浴びたことが知られています。
翌朝から、兵士たちは目や皮膚を侵され、重篤な患者は血圧低下とショックを起こし、それに白血球値が激減するなどして、被害を受けた617人中83名が死亡しました。
1日あたりの死者数でみると、
被害後2~3日目の最初のピークが毒ガスによる直接死亡で、
8~9日後の2度目のピークが白血球の大幅な減少による感染症が原因と考えられました。

この経験からマスタード・ガスの研究が始まり、白血病や悪性リンパ腫の治療薬として使われ始めたのです。

戦後の日本で次々に生まれた抗がん剤

1945年に終戦を迎え、日本国内の大都会はすべて焼野原となりましたが、素晴らしい研究成果が多々発表されました。
1949年には、ナイトロジェンマスタードの毒性を弱めるべく組成を少し変えたナイトロジェンマスタードN-オキシド(ナイトロミン)が生まれました。
東京大学の薬学者、石館守三氏と東北大学の病理学者、吉田富三氏の協力のたまものです。
これが、日本生まれの抗悪性腫瘍薬の最初です。

1956年には、当時活発だった抗生物質の研究からマイトマイシ(*)が生まれました。奏藤樹氏(北里研究所)と製薬会社の共同研究によるもので、抗生物質が抗菌薬以外に使われた最初の例です。
 
このマイトマイシンは現在の緑内障手術に無くてはならない抗がん剤です。
マイトマイシンを使用することで、緑内障手術の眼圧下降成績が飛躍的に改善しました。
 
また翼状片という結膜(白目)が黒目(角膜)に伸びてくる病気があります。
 
 
(日本医事新報社ホームページより転載)
 
翼状片は手術をしても再発を生じやすい疾患です。
そのような場合、マイトマイシンを手術中に使用することで再発を減らすことが出来るのです。

前回ご紹介した抗VEGF薬のルセンティスやアイリーア、ベオビュといった眼球内への注射治療薬をはじめ、
がん治療の目的ではなく、眼科治療としての抗がん剤使用についてお伝えしました。
 
こうした抗がん剤使用治療は、副作用が出ないように使用量を決められております。
とはいえ、抗がん剤はそもそも毒ガスから作られたものであり、使わずに済む方が安全であることは明白です。
 
そのためには眼に病気を起こさない予防対応、すなわち身体の免疫力を高めて
自分の身体の力で病気を防ぐことが一番合理的です。
 
これまで当ブログで紹介した蒸留水によるデトックス、竹炭、乳酸菌、高濃度ビタミンC点滴、高濃度水素吸入は免疫力改善目的で全身的ながん治療にも活用されます。
あるいは高品質のルテイン製剤、参天製薬ルタックスは
黄斑機能改善効果が医学的に確認されており、厚生労働省認可処方薬レベルの品質です。

いずれの方法も加齢黄斑変性増悪時の高額な硝子体注射治療の回避に繋がれば幸いですね。
さらには近年増加している黄斑機能低下による視力障害の予防効果も期待されます。

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