日曜日、二日酔いの頭を抱えてだらだらと寝ていると、電話がかかってきた。
「市会議員のTです」
一気に、目が覚めた。
議員からダイレクトに電話がかかってくるなんて、なんだか大物になったような錯覚に、一瞬、陥った。
あ、どうも、お世話になります。直接お電話いただいて恐縮です。
「たいしさんが要望されてた資料、手に入りましたよ」
え!? もう!? ずっと、何年も要求し続けて、それでも貰えなかったのに・・・さすがですね・・・
「担当課の課長にダイレクトに電話して、出してもらいました」
出してもらった、ということは、紙に書かれたデータがお手元にある、ということですか?
「はい」
見せていただけますか?
「もちろんです。事務所におりますから、お越しいただけますか」
すぐ、伺います。
事務所にお邪魔した。
平日は数名のスタッフがいて活気があるが、日曜日だからだろう、先生の席の上だけ電気がついているだけで全体が暗く、シーンとしていた。
先生、日曜も仕事ですか? 休むヒマがありませんね。
「ははは。そうですね。日曜祝日は行事が多くて、結局、休みらしい休みはありませんねえ」
そんなにお忙しい時に、すみませんでした。
「いや、手話通訳者の世界も難しくて、こうして、議員のところに来るなんて、なかなかできないでしょう」
よくご存じで・・・
「よほどの熱意と覚悟がなければできないはずです。だからその気持ちに応えたかった」
なんだか、ぐっと込み上げてくるものがあった。
改めて、T先生の顔を見た。一言で言えば、政治家らしい顔ではない。
60代の半ばだろうか。
政治家というより、町工場のおじさんという雰囲気。苦労が顔に刻まれた、実に人間的な方である。
「これですよ。たった1枚の紙だけどね」
・・・・
まさに、要望した資料であった。
市内の1か月あたりの手話通訳者派遣実績は約200件。
そのうち100件を、たった5人の手話通訳者がこなしている。
当然、個人名は書かれていない。
しかし、その5人の顔はパッと浮かんだ。
T先生にお礼を申し上げて帰途についた。
本来、菓子折りの一つぐらい持ってくるのが礼儀だが、市会議員というお立場と、T先生の真面目過ぎるぐらい真面目な性格も考えて、手ぶらでの訪問だった。
「市会議員のTです」
一気に、目が覚めた。
議員からダイレクトに電話がかかってくるなんて、なんだか大物になったような錯覚に、一瞬、陥った。
あ、どうも、お世話になります。直接お電話いただいて恐縮です。
「たいしさんが要望されてた資料、手に入りましたよ」
え!? もう!? ずっと、何年も要求し続けて、それでも貰えなかったのに・・・さすがですね・・・
「担当課の課長にダイレクトに電話して、出してもらいました」
出してもらった、ということは、紙に書かれたデータがお手元にある、ということですか?
「はい」
見せていただけますか?
「もちろんです。事務所におりますから、お越しいただけますか」
すぐ、伺います。
事務所にお邪魔した。
平日は数名のスタッフがいて活気があるが、日曜日だからだろう、先生の席の上だけ電気がついているだけで全体が暗く、シーンとしていた。
先生、日曜も仕事ですか? 休むヒマがありませんね。
「ははは。そうですね。日曜祝日は行事が多くて、結局、休みらしい休みはありませんねえ」
そんなにお忙しい時に、すみませんでした。
「いや、手話通訳者の世界も難しくて、こうして、議員のところに来るなんて、なかなかできないでしょう」
よくご存じで・・・
「よほどの熱意と覚悟がなければできないはずです。だからその気持ちに応えたかった」
なんだか、ぐっと込み上げてくるものがあった。
改めて、T先生の顔を見た。一言で言えば、政治家らしい顔ではない。
60代の半ばだろうか。
政治家というより、町工場のおじさんという雰囲気。苦労が顔に刻まれた、実に人間的な方である。
「これですよ。たった1枚の紙だけどね」
・・・・
まさに、要望した資料であった。
市内の1か月あたりの手話通訳者派遣実績は約200件。
そのうち100件を、たった5人の手話通訳者がこなしている。
当然、個人名は書かれていない。
しかし、その5人の顔はパッと浮かんだ。
T先生にお礼を申し上げて帰途についた。
本来、菓子折りの一つぐらい持ってくるのが礼儀だが、市会議員というお立場と、T先生の真面目過ぎるぐらい真面目な性格も考えて、手ぶらでの訪問だった。