手話通訳者のブログ

田舎の登録手話通訳者のブログです。

乱入/派遣者との交渉

2015-03-28 06:51:28 | 手話
学童保育への手話通訳者派遣について、派遣者に問い合わせ。

「父母会を主催するのは学童保育父母会、ということですね。そうなりますと、手話通訳者派遣費用は主催者である学童保育父母会にご負担いただくことになります」
派遣費用はいくら?
「1時間3千円です」
手話通訳者に支払うのは1時間1200円やろ? 差額はどうなるん?
「私ども社会福祉法人の収益となります」
ふーん、なるほどね。
「市からの委託費用だけでは制度を維持できないのです」
じゃ、Sさんからの申込なら、費用はどうなるんや?
「全額、公費ということになります」
わかった。ありがとう。


次の父母会に通訳に行った時、上記の報告を行った。


「わかりました。いろいろ、ありがとうございました。Sさんが自分で手話通訳者派遣申込をすれば、公費で、つまり我々の費用負担なして手話通訳者を派遣してもらえるのですね。学童側に費用負担が発生しないなら、問題ありません。異議のある方、いらっしゃいますか?」

全員賛成。やれやれ。

「たいしさん、ありがとうございました」とSさん。
いや、Sさん、これで一件落着とちゃうで。
「え?」


<続く>




乱入/理解と無理解

2015-03-27 07:22:37 | 手話
難しい顔で黙って聞いていた父親が発言した。

「ちょっと待ってください。費用負担のことを考えないと。ここの学童保育は、親たちが直接経営している学童保育です。運営資金はみんなでお金を出し合っている。手話通訳者派遣費用はどうするんですか?Sさん一人のために、学童のお金を使うことはできません」

シーン・・・

大人しいSさんは目に涙を浮かべて黙っている。
Sさんに「発言していい?」と尋ねると、Sさんは頷いた。
静かに、立ち上がった。水を打ったような静けさ。


こんばんは。手話通訳者のたいしと申します。
さきほど、「手話通訳士」とおっしゃいましたが、手話通訳士ではありません。でも、有資格者です。
手話通訳者の資格については少々ややこしいので、説明は省略させていただきます。
関心のある方はあとで質問してください。
費用負担の話が出ました。この件は派遣者に確認します。後日、報告させてください。
派遣者から回答が来るまで、みなさんに許可していただけるなら、私がSさんの友人として通訳に来ます。
当然ですが、無償です。費用の心配はありません。
それでよろしいですか?


会長さんが発言した。
「わかりました。たいしさんには申し訳ありませんが、費用負担がない、ということなら、全く問題ありません。次回もよろしくお願いします」


<続く>



乱入/地元の学童保育所へ

2015-03-26 06:51:01 | 手話
土曜日の夜7時。学童保育父母会(私的通訳)のため、学童保育所へ。Sさんの隣に座った。誰も、俺が手話通訳者だとは知らない。通所している子供の関係者だと思われているだろう。
ざわざわ・・・
親たちがそこここで雑談をしている。父母会長さんが開始の号令。

「みなさん、本日もお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。今月の父母会を始めます」

通訳開始。
通訳を始めると、わしらの周りの親たちが私語をやめた。
「あ、手話・・・」
なんて囁きが聞こえる。
会長さんが気づいた。

「Sさん、お隣の方、手話通訳の方ですか?」

「そうです」とSさん。
この時、遠くの席の親たちも一斉に注目。
シーン・・・

ずっと、思いつめたように下を向いていた母親の一人が、声を挙げた。

「私、ずっと、思ってたんです。Sさんには手話通訳が必要じゃないか、って。でも、結局、何もしなかった。見て見ぬふりをしていました。すみません。手話通訳士さん、ありがとうござます。これから、毎回、来ていただけますか?」


<続く>


乱入

2015-03-25 07:14:27 | 手話
ろう協新年会の後、親しい数人で二次会へ。
この時、ろう者のSさんの相談(というより愚痴を聞く感じ)を受けた。

「息子が学童保育でお世話になっているんだけど、父母会に出席しても、話し合われている内容が全くわからない。出席するのが苦痛です」

学童保育は地域によって様々な経営形態がある。社会福祉法人が経営していたり、NPOだったり。
でも、わしらの地域は、通所している子供たちの親たちが経営しているケースがほとんど。
だから、株式会社の株主総会に該当するのが父母会である。
親たちが話し合って、学童保育運営上のすべてを決めていく。

そんなら、俺が通訳に行くわ。
「えっ、いいんですか?」
かまへんよ。
「でも・・・手話通訳というものに理解のない父母もいるかもしれません」
やってみなきゃ、わからんて。次はいつ?
「父母会は毎月土曜日、夜7時から、学童保育所で開催しています」
じゃ、来月の第一土曜日ね。


<続く>




ろう者だと思われる

2015-03-24 07:02:16 | 手話
ろう者の集団に混じってファミレスへ。
みんな、さかんに手話で話をしている。
店員がコソコソ話。
「どうする? 私、手話できへんよ」

こんな時は、
あー、普通に話してくれればええよ。
と、普通に店員たちに話しかける。
店員の皆さん、安堵の表情。



手話通訳者研修。
市内の研修だと、知った顔ばかりだけど、他地域の研修に出ることもある。
そんな時、その地域の手話通訳者から肩をトントン、とされる。
「今から分科会。机、運ぶ。手伝って」
手話で話しかけてくる。

あー、ろう者だと思われとるな。

当然ながら、手話で応じる。
別に、ろう者の「ふり」をしているわけではない。
ここでの公用語は手話なのだから、これでいいのだ。

こうして、他地域での研修では、最後までろう者として扱われたこともある。