Ken坊が子供の頃、実家の隣家に
大きな栗の樹が生えていた。
とても立派な樹で、その枝の大半は
柵を越えてKen坊家の敷地に入っていた。
毎年この季節になると栗の実が
Ken坊の家に落ちるのだが、
立派とはいえ手入れもしない野生の樹、
その実は貧相で、とても食用に
なるものではなかった。
あれはKen坊が中学生の頃だったか。
ちょうど今頃の季節。
その栗の木が、突然沢山の大粒の実をつけた。
見た目には売られているものと遜色ない。
試しに食べてみたところ、美味い!!
今年はどうしたんやろうなぁ?
と言いながら、皆でモグモグ・・
秋が行き、年が明けた翌年の春。
お隣さんが引っ越す事になった。
そして新しい住人がやってきて、
しばらくした頃だった。
その新しい住人が、栗の樹を
切り倒してしまった。
駐車場を作るという理由だった・・
まるで切られてしまう自分の運命を
知っていたかの様な栗の樹。
運命を悟って沢山の実をつけたのだろうか?
不思議な事も有るもんだねと、
家族で話をした思い出。