第一日目(3月13日)
今年になって、旅に出たいという気持ちがいっそう強くなってきた。どうするか迷っていたが、今日思い立ったが吉日と、荷物を纏め、忘れ物をチェックし、思い切って昼近くに家を出た。山陰・山陽地方行った事がなかった事と、生の松葉ガニを食べたいと、具体的な観光地も宿も決めずの出発でした。旅の途中、宿や観光地等パソコンで調べながらの気軽な旅をするつもりでした。しかし、なんと東名高速を走っていてパソコンを忘れてきたのに気が付く大失態を犯してしまいました。慣れないスマホでは情報を集めるのが大変。先が思いやられる事態となりました。
夕方近く琵琶湖の北部の町で車を走らせながら宿を探しました。駅の近くならビジネス用のホテルがあると思い駅を目指しました。案の定1階が駐車場になっているホテルをすぐに見つけました。しかしこれが2度目の大失態。ボケたもんだと、つくづく実感しました。
最初の写真はフロントにある大型モニターの画面で、色々な部屋画像が動き廻っています。指でタッチするその部屋にチェックイン終了となるようです。フロントには人が居ません。部屋に入るとドアの付近に自動精算機(2枚目写真)が有り現金を入れると手続き終了。その時は最近のホテルは自動化が進んでいるなと思い込んでいました。外に出て夕食をと思いフロントで係員を呼んで近くのレストランの案内を聞こうと思いました。しかし係員は「外出するんですか」と怪訝そうな顔をします。
チェックインモニター
精算機
読者の皆さんは、ここまでで「大失態」原因を気が付きましたか。
そうです。このホテルは若い時皆さんが利用されたであろう「ラブホテル」でした。もっと早く気が付くべきだったのですがボケでしょうね。よく見ると直ぐに気づくラブホテル特有の物がいっぱいありました。 チェックインをキャンセルするとホテル側に迷惑をかけるので爺1人ラブホテルで一泊することになった。変な気分。
二日目
日本海側をひたすら蟹市場(いちば)を求めて鳥取方面をめざす。
途中、道路脇の空き地に10人ほどのカメラマンが望遠レンズ付きカメラを構え、何かのシャッターチャンスを待っています。
好奇心で車を空きスペースに止め、何を狙っているのかを聞にいく。左上の写真の谷部分に猛禽類のハヤブサが来るのを狙って待機しているそうです。今日は暖かいから良いのですが、平年並みの気温なら日本海を渡る北風で相当寒い筈。趣味ってすごいね。私はお金を貰っても嫌。 何時ツハヤブサが来るか分からないのですよ。今日は来ないかも知れないのですよ。
引き続き海岸線を西に走らせる。ナビゲーションに「天(あまの)橋立(はしだて)」が現れた。付近の駐車場を探す。皆さんはご存知だと思いますが、湾の入り口が対岸まで細い陸地でつながった極めて稀な地形をしています。しかし有料駐車場に入れて天橋立を歩いても、ただ松林を歩いているだけになってしまい面白くない。有名な「天橋立股覗き」をしたい。これが出来る高台に行きたいが、ナビで見ると道が無い。駐車場から10分くらい歩き、高台にある「天橋立ビューラン」に行くためのリフト駅まで歩かなければならないそうだ。すぐにあきらめ先を目指す。
天橋立からは海岸の景色を見ながらのんびり走りたいのだが、平らな海岸道路ばかりではなく、絶壁の海岸が多い為、次の部落と部落の間を、ひたすらアップダウンを繰り返えさなければならない。
「香住」と言う部落に入った時、漁港の近くに魚市場(いちば)を発見する。前日蟹はもう終わっている、と話す人も居たので心配していた。取り敢えず市場に入ってみた。魚屋さんが10軒ほど店を構えていた。そしてそこに待望の生け簀に入った、たくさんの生きた蟹を発見。カニカマしか食べていないので感激。ここで生の蟹を頂くことにする。旅館で生を食べると宿泊代は相当跳ね上がるが、ここでは割安で食べられる。おいしい、満足。
遅くなると夕食が無くなるので温泉地に急ぐ。ナビだと三朝(みささ)温泉が一番近い。鳥取の町を過ぎ温泉に着いたのは1時半過ぎ、まだ夕食は間に合うと思っていた。旅館がいっぱいある。大きな旅館の前に番頭さんらしき人が居たので車の窓から顔を出し「一人だけど空き室ありますか」と尋ねた所、空き室はあるが夕食は出ないと断られる。仕方なく観光案内所探し、そこで2食付の宿を探してもらう。
川の前に有る5階建ての「プランナールみささ」を紹介してもらう。行ってみると、眺めも良く洋室のツインの部屋だった。
プランナールみささ
早速荷物を置いて町の散策に出かける。車が入ってこない道を歩く。観光客は皆ここを散策するようだ。
手作りのカエル様々
昭和2年野口雨情作詞・中山晋平作曲の三朝小唄、後にここを舞台に映画化された。それを記念しての銅像が橋のたもとに立つ。夕食は「おしながき」が添付された和食だった。
おしながき
食前酒ー自家製梅酒、先付けー季節の豆腐、酢の物ー河豚(ふぐ)の叩き、造りー近海産3種
台の物ー県産和牛鍋、蓋物ー里芋流し、蒸し物ー蟹入り茶碗蒸し、揚げ物ー海老蓮根挟み揚げ
留椀ー日替わり、香の物ー三点、食事ー三朝米、水菓子ー二種盛り
三日目
朝ホテルを出ようとしたら車のフロントガラスが凍っていた。又、峠道には残雪もある。
さて今日は何処へ行こうか。海の中に赤い鳥居の立つ有名な神社に行こうと思い立つ。その神社が出雲大社だと勘違い。出雲大社に行って初めて間違いに気づく。赤い鳥居のある神社は広島の厳島神社であることを後で知る。
出雲大社の大迫力しめ縄
神社に参拝し、交通安全のお札を購入。この旅行後半の無事を祈る。ちなみに我々馴染みの神社では「2礼2拍手1礼」だが、この神社は「2礼4拍手1礼」と独特である。幸い私は万が一を考え、先に他のお参りの方の参拝を観させてもらい、参考にして、ここの神様に失礼のないように参拝できました。
さて今日の宿は何処にするか。震災を受けた神戸に行ってみよう。
神戸に着いた時は既に暗くなっていた。とても震災を受けた街とは思えない高層ビルがニョキニョキ建っている。東京と変わりない。繁華街近くにもホテルは沢山あるのだが駐車場付きが無い。知らない都会の町を爺々がナビだけを頼りに走行するのは危険だ。繁華街から少し離れ海岸近くに行った所、「ホテルオークラ」を見つけた。高級そうなイメージ。行ってみるとホテル前50~60mが車を止めるスペースになっている。車をそこに止めボーイさんに案内を乞うと思ったが、他の車の客にかかりきりだ。仕方なくフロントに行き、空き部屋の有無と駐車場の場所を聞く。空き室も有りホテルの立体駐車場がフロントからそう遠くないところに有った。
超一流ホテルなので高額な支払いが心配されたが、たまには贅沢も良いかと、ここに宿泊を決めた。部屋に入る前に食事を摂ろうとレストランを案内してもらう。疲れの為か食欲がない。軽食をオーダーしたが半分しかたべられなかった。残りを部屋に持ち帰り部屋で食べる事も頭に浮かんだが、せっかく贅沢しているのにセコイ行為は慎もうと直ぐに否定した。貧乏人だなあとつくづく思う。部屋は22階でも景色はたいした事はありませんでした。しかし係員の接客態度は申し分ない。さすが一流ホテルだ。
フロントの階から見たホテルの中庭
四日目
さて今日は何処へ行く?
20年以上前、弘法大師空海ゆかりの海抜1000mの高野山の南の山奥に一人で釣りをした思い出がある。今どうなっているか気になる。行ってみたい。下記の写真のような山奥の渓谷です。昔釣った場所を求めて山の中を走ってみたが、微かな思い出の風景に合致する場所には巡り合えませんでした。行き交う車もほとんど無く、ここで事故って谷に落ちたら全く発見されそうもない場所を、1時間ほど右往左往走りましたがだめでした。テレビで放映している「山奥の一軒家」の様な場所です。釣り道具も餌も積み込んでいたのですが。これ以上歳を重ねたら再び来ることは出来ないと思い、頑張りましたがダメでした。
前回来た時、モトクロス(ダートな野山をオートバイで走り回る)の練習場があり、その近くに広い駐車スペースの宿泊施設があった。そこに一泊した記憶がある。そしてハンターが捨てていった猟犬が群れとなり、闊歩していた怖い思い出もある。そんな広場も全く見つからない。ただ一つ「平」と言う地名があり、平家の落ち武者伝説を記憶していた。今回、その「平」の文字入りの看板は発見できた。思い出近くに居る事には間違いないが。
イワナやアマゴを釣りたくて釣り道具は積んできたが、簡単に川に降りる所が無い残念。
仕方なくあきらめ山を下り、伊勢湾側に出て一路名古屋をめざす事に。途中偶然「吉野」を通り「道の駅」に立ち寄った。そこで名物「吉野の本葛」に巡り合いました。お土産に買い求めました。夜名古屋に着き又ホテル探しです。さんざ走り回った挙句にCMでお馴染みの「アパホテル」を見つけました。ホテルの隣が有料駐車場だったのと、隣にホテル経営の中国料理店が有ったので、ここに決めました。アパホテルはリーズナブルのイメージがありましたが、9000円+2000円の駐車料金でした。
五日目
もう一泊したかったのですが、天気予報では明日が雨という事なので、雨の東名高速を走るのは危険と判断。残念だが今日帰路につくことにしました。パソコンが無い為、細かい予定が立てられず、又距離感がつかめず1日中走っていたような旅でした。
総走行距離2133km、1日平均400km以上走っていた事になります。車のナビだけが頼りの過酷なドライブでした。事故も起こさず、物足りなさと、安堵感が両立しています。
さあ~次は何処へ行こうか。
昨年暮れ、足を骨折し不自由な体を経験して、元気な内にどんどん旅行をしてとの思いは変わりません。次は北海道かな? とも考えます。しかしやっぱり1人旅で観る景色や、経験の感動は残念ながら半減してしまうように思いです。寂しさからは逃れられないね。
以上旅行記でした。