すすきの穂が風に揺れ、色付く木々が聖山を背に輝きを増す。
「白樺湖」と聞くと蓼科高原を思い浮かべるが、ここは聖高原の白樺湖。湖畔に映るシラカバから命名されたのだろうか。森に囲まれた静かな池だ。
11月と云うのに半袖を着たい程の陽気。聖高原のカラマツは今が黄葉のピーク。湖面を渡る風に映り込みがなかなか安定せず撮り直してばかりだった。
琵琶池を下り丸池から法坂周辺では西日を浴びて紅葉が輝いている場所がまだ残っていた。夕方が近づくと旅客機の通過が忙しくなる。標高が高いので機影の近さを実感する。
今年の秋は二週間も来ないと高原の様相はすっかり変わってしまう。西日を浴びたダケカンバが映り込む木戸池周辺は朝方氷点下になっている頃だ。
大前須坂線から県境を越え牧干俣線で万座温泉を目指すと、左手に山崩れの跡が荒々しい黒湯山登山口がある。下は奥山田の渓谷で向いは横手山になる。横切っている道路は国道292号線で全国最高地点2,172ｍの僅か手前に当たる。
峠が近づくと山影で日が当たらない場所があり、そこは上り坂で路面が凍っているので注意。路肩の落ち葉には霜が付いて初冬の気配だ。
有料道路でありながら岩がゴツゴツ出た未舗装の狭い尾根道はとてもワイルドだった。現在は整備された県道になったが、勾配のきつさと狭いカーブの連続はとても懐かしい。このルートの魅力は手が届くほどに近い秋の風景だ。色付いたカラマツの向こうに冠雪の北アルプスが見える。
昼近くから松川渓谷を目指したものの、あまりの人の多さに大前須坂線（万座線）へルート変更。かつての「上信スカイライン」の名を知る人はほぼ居ないが、私にとっては魅力的で懐かしいルートだ。
