人権侵害救済申立 ①
2月21日、久保さんと私たちガッツせんべい応援団は、大阪弁護士会へ人権侵害救済申立書ならびに意見書を提出、大阪市教育委員会へ要請書を提出しました。その後、記者会見を開催しました。
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人権侵害救済申立書
申立人 久保敬
相手方 大阪市教育委員会
申立の趣旨
私は、2022年3月末日を以て定年退職した大阪市立木川南小学校の前校長です。
2021年5月17日、松井一郎大阪市長、山本晋次教育長宛に「提言書」(資料1)を郵送で送付しました。新型コロナ直接の感染拡大による緊急事態宣言を受けてのオンライン学習を含む対応に疑問を抱いたからです。
その「提言書」がインターネットで広がり、話題となったことに端を発し、2021年8月20日、信用失墜行為があったとして教育委員会より「文書訓告」(資料2)を受けることになりました。
文書訓告を受ける際、この決定について人事委員会に異議申し立てができるかどうかを尋ねたところ、「これは、給与など実質的な不利益があるような懲戒処分ではないので、そのような対象のものではない」との教育委員会の返答でした。
その後、文書訓告撤回の陳情が出されたことにより、市議会でもこの問題が論議され、「重大な事実誤認等があれば、文書訓告でも取り消しが可能」との人事室の答弁があったことを知り、2022年1月24日付で、山本晋次教育長に対して、文書訓告取り消しを求める要望書(資料3)を提出しました。しかし、それに対する直接の回答は、口頭でも文書でもいただくことなく、今に至っております。
「文書訓告」では、「教育員会の対応について、その決定過程や他校の状況等を斟酌することなく、独自の意見に基づき、」云々と、私一人の誤った意見と見なし、問題にしていますが、社会の反応は異なるものでした。
退職教員有志によって、3000人弱の「提言書」に賛同する署名(資料4)が、ショートメールによって集められました。また、自由法曹団大阪支部、民主法律協会をはじめ、様々な市民団体等から異議を申し立てる「要望書」が教育員会に提出されています。
2021年7月には、名田正廣大阪市立港中学校長が、255人の教員、保護者、市民の意見書とともに、賛同の意を示す提言(資料5)を教育委員会に対して行っておられます。
保護者団体や自由民主党・市民クラブ大阪市議団が行ったアンケート調査でも、オンライン授業による変則登校という教育委員会の対応が問題であったことを指摘する声が多く寄せられていました。
文書訓告が出された後も、様々な市民団体などから、「文書訓告処分撤回」の要望書が出されています。また、文書訓告を公表した大阪市ホームページには、処分の不当性を訴えた抗議のメール180通(資料6)が寄せられていたことが、開示請求によって明らかになっています。
このような社会の反応を考えた時、「独自の意見」と断じ、「信用失墜行為があった」と結論付けた教育委員会の決定に納得することはできません。事実を曲解した教育委員会の決定に納得することはできません。事実を曲解した教育委員会による根拠のない勝手な判断であると言わざるを得ません。
懲戒処分でなくても、「文書訓告」という行政措置処分を受けた校長として、社会に公表されたままです。それによって、傷つけられた人格を回復するために、文書訓告の取り消しを求めます。
また、インターネット上で広がったとしても、守秘義務に反するようなことを述べたわけではありませんし、そもそも自由に意見を述べることは、憲法で保障された基本的人権であり、独自の意見を述べたという理由で処分を受けるのであれは、私個人の問題ではなく、すべての人に関わる人権侵害として、看過できない問題だと考えます。
ますます何も言えない硬直した学校組織となり、子どもたちの教育環境にも大きなマイナスを及ぼすことになるにちがいありません。学校教育の未来のためにも、「文書訓告」を受け容れることはできないと考えます。
多くの保護者、市民の方々が私とともに声をあげてくださいました。私が「文書訓告」に異議を申し立てず、そのまま放置してしまうことは、一緒に声をあげてくださった多くの方々の人権を侵害されたままに放置することと同じであり、許されることではありません。
よって、教育委員会に対し、今回の「文書訓告」の取り消しを求めます。
尚、提言書をめぐって海外の教育研究者の方々とのジョイントセミナーを4回にわたって企画してくださった大阪公立大学の辻野けんま准教授の本件に関する「意見書」を申立書と共に提出いたします。ご審議、よろしくお願いします。
今申立書に以下の資料を添付します。
・【資料1】大阪市教育行政への提言(2021.5.17)
・【資料2】文書訓告(2021.8.20)
・【資料3】文書訓告取り消しの要望書(2022.1.14)
・【資料4】賛同署名名簿(2021.6.)
・【資料5】港中学校名田校長の「大阪市教育:への提言と255人の意見書
・【資料6】文書訓告措置の発表に対して市教委にメールで寄せられた意見の一覧