「協議」に向けた事前質問
お待たせしました!本日、ガッツせんべい応援団は大阪市教育委員会へ、第2次要請書の「協議」に向けて事前質問書を提出しました。
なお、協議日程はこれから決定されますが、協議にはzoom参加も含めて多くの方の参加をお願いします。
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2024年4月5日
大阪市教育委員会
教育長 多田 勝哉 様
久保敬元校長の文書訓告取り消しを求める応援団
(略称 ガッツせんべい応援団)
共同代表 足立須香 増田純一
協議に向けた事前質問について
2021年6月から8月の大森不二雄大阪市特別顧問と複数の市教委管理職との間でやりとりされたメールが公開され、大森特別顧問が実質的な決定権者であるかのような異常な教育委員会運営が行われていたことが明らかになりました。そこで、私たち久保敬元校長の文書訓告取り消しを求める応援団(以下、応援団)は、2024年1月29日付第二次要請書を提出し、第三者委員会による事実調査を行い、その結果を市民に公開すること、そして、異常な教育委員会運営の中で論議が封じられてきた久保敬校長(当時)の「提言」とそれを理由とする不当な「文書訓告」について、公開による教育委員会会議の場で改めて論議することを求めました。
3月7日に受け取った回答は、質問内容そのものには答えず「手続き的には問題がない」というように主旨をはぐらかすものが少なくなく、到底納得できるものではありません。大森特別顧問と市教委事務局とのメールのやり取りについて「あたかも大森特別顧問が教育委員会に対して意思決定権限をもっているかのような見え方になってしまっていた」と誤解であるかのように言われますが、2月19日の大阪市会教育こども委員会の陳情審査において全会派が教育行政のあり方に疑義を表明したことは、大阪市教育行政に対する市民の不信の表われです。こうした市会全会派の不信、ひいては市民の不信に対して、市教委は中身のない形式的な回答を続けることは許されず、そのこと自体が教育行政への信用を失墜させることにつながっています。よって、事実関係及び教育委員会における議論の過程を明らかにするため、貴委員会との協議を求めます。
今回の要請に対する回答は、上記の大阪市会教育こども委員会の陳情審査における教育長答弁とも深く関わるため、教育委員会の説明責任として、協議への教育長の出席を求めます。権限をもたない部下に回答を担当させ権限をもつ自身が責任逃れをするような体制では、協議にはならないばかりか良心をもつ行政職員自身が疲弊していくものと案じるからです。久保氏の処分をめぐる一連の問題については、市民の疑念が晴らされず逆に不信が高まっているため、教育委員会として責任感をもった対応をとられない限り問題の対応に追われ続けることになることは不可避と思われます。
つきましては、限られた時間の協議を円滑で有意義なものにするために、要請事項の回答にかかわって協議の場で明らかにしてほしい点について、以下のような質問事項を事前に提出します。協議当日、文書でお答えいただきますようお願いします。質問内容をはぐらかす形式的な行政答弁をされると市民感情を逆なでするばかりですので、問題に真摯に向き合って回答いただくことを望みます。
《事前質問事項》
1.Ⅱ【質問事項】①の回答について
(1)「・・・新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく市町村対策部長である市長を中心に行われた対応や、大阪市教育振興基本計画に基づく取組を、市内部から批判するものであることから、教育委員会としてもガバナンスを利かせる意味でも、・・・」とありますが、批判的な意見を言うことそのものが、「職務上の義務違反」(文書訓告の中の言葉)と教育委員会は判断されたということでしょうか。訓告文書にある「職務上の義務違反」とは何を指すのか、明確にお答えください。
(2)開示されたメールでは、2021年6月1日に、市教委総務部長(以下、総務部長)と大森特別顧問が翌日の電話の約束をするところから始まります。そして、6月8日に総務部長から特別顧問に送られたメールに添付された表題「大阪市教育行政への提言に関する基本的な考え方」(案)に対する特別顧問からの修正提案文書が送られています。
次に、6月17日のメールのやりとりからは、6月8日の第9回教育委員会会議で久保「提言」への反論書と処分の兼ね合いについて話し合われたことが読み取れます。
そして、6月19日のメールでは、6月22日の第10回教育委員会議に向けての打ち合わせを21日の午前中に電話でしたいとの旨が特別顧問より総務部長に伝えられ、「次期『教育振興基本計画』策定に向けての懸案事項(備忘録)」と「大阪市教育行政への提言に関する基本的な考え方」(メールの中では「反論書」と呼ばれている)の特別顧問による修正版の2件の添付ファイルがつけられていることが分かります。その備忘録では、黒塗りが多いですが、項目「1.次回教育総合会議での議論を経て反論文書を出すことについて」「3.総合教育会議で望まれる議論のシナリオについて」で、久保「提言」の取り扱いへの指示が書かれています。
6月22日の教育政策課長と特別顧問のメールのやり取りでは、第10回教育委員会会議で、総務部長より総合教育会議の流れと反論書を出すことの必要性を説明し、了承されたことを特別顧問に報告したことが分かります。
しかし、教育委員会会議の議事録を見る限り、第9回(6月8日)にも第10回(6月22日)にも、久保「提言」に対する反論書についての言及はありません。
「適宜教育長、教育委員とも相談の上、大森特別顧問と内容の調整」を行ったとされる相談について、総務部長と大森特別顧問が電話で打ち合わされた内容も含め、だれが、いつ、どこで、どのように相談されたのか、詳細にご説明ください。
(3) 2022年2月18日の大阪市会教育こども委員会で、「総合教育会議(2021.6.29)での大森特別顧問の発言に対して取消しと謝罪を求めるという点につきましては、このご発言は総合教育会議での大阪市特別顧問の立場からのご発言でございますので、教育委員会としての特段の対応は考えてございません」と山本教育長(当時)は答弁されています。しかし、これは開示請求で明らかになったメールから判明した事実(教育委員会事務局と特別顧問の間でメールや電話での綿密な打ち合わせのもと総合教育会議のシナリオがつくられた)とは全く異なるのではありませんか。「教育委員会から特別顧問にお願いして意見を求めたもの」と答弁された現教育長の見解をお聞かせください。
2.Ⅱ【質問事項】③の回答について
(1) 「本市教育行政に関する教育委員会の基本的な考え方」(以下「基本的な考え方」)は、教育委員会事務局で原案を作成したものであるということですが、その原案では「内部統制違反」ということばが使われています。今回の件では具体的にどのようなことがそれにあたるのでしょうか。また、「内部統制違反」は「教育委員会の基本的な考え方」に照らしてなぜ処分理由となるのか、お答えください。
(2) 「内部統制違反」という言葉はメール記録を見ると元々は大森特別顧問が用いられたようです。校長をはじめとする教育公務員の主体性を奪い、支配しようとするもので、大阪市の教育の活性化を妨げるものでしかないと考えますが、教育委員会としての見解をお聞かせください。(1)と峻別して質問するのは、教育委員会が自律性をもった執行機関であることから、特別顧問への忖度ではなく全体の奉仕者として教育行政を担う主体であることを期待しているからです。
3.Ⅲ【要請事項】(1)の回答について
「・・・大森特別顧問と教育員会事務局の長年の関係性の中で、教育委員会事務局の接し方が、あたかも大森特別顧問が教育委員会に対して意思決定権限を持っているかのような見え方になってしまっていたことは遺憾です。そのようなことがないよう、特別顧問の業務のあり方について改めて整理を行い、特別顧問の制度趣旨に従って適切にその専門的知見が活用できるようにしてまいります。」と反省の弁を述べられていますが、執行機関であるはずの教育委員会が自らコントロールの利かなくなっている問題について「遺憾」というのは当事者意識を欠いた認識のように映ります。教育委員会の機能不全こそが問題であるとすれば、この問題についていつ、どこで、どのように整理を行い、その結果を公表するのか、ロードマップを市民に対して示してください。
4.Ⅲ【質問事項】②の回答について
総合的読解力育成カリキュラムについては、「学校現場も賛同して検討を進める方向で協議が整ったものである」ことが書かれていますが、「学校現場」とは、何をさしているのでしょうか。すべての学校が賛同していたということでしょうか。お答えください。
また、「方針が翻されたものではない」と書かれていますが、その方針はどのようにして作られたものだったのでしょうか。教育委員会は、方針も含めてどのように進めていくかをワーキンググループで練り上げていこうと考えておられたのではないですか。お答えください。
5.Ⅲ【質問事項】③の回答について
(1)回答によると、「令和2年度の教育委員会会議で令和3年度以降、チャレンジテストを活用して個人戦を実施する方向性を決定」した。しかし「新型コロナウイルス感染症の流行により多くの中学校で臨時休業が行われることとなったため、個人戦を実施するかどうか担当課で検討を進め、実施しない方がよいのではないかと考えるに至ったため、教育委員会として方針を決定する前に、個人戦の制度設計に関わった大森特別顧問に助言を求めた」とあります。
そもそも、教育委員会会議における決定事項について、学校現場のコロナ感染状況により事務局が検討し教育委員会会議に提案することは教育行政においてあり得ることと考えます。しかし、その過程において、大森特別顧問が「個人戦の制度設計に関わった」ことを挙げておられ、大森特別顧問の教育委員会への関わり方に疑念を禁じ得ません。関連して、教育委員会として大森特別顧問に「助言」を求めたとされていますが、情報公開されたメールからは逆に大森特別顧問による指揮・命令のように映ります。大森特別顧問がいつ、どのような形で、関わったのか、具体にお答えください。
(2) 回答によると「大森特別顧問からは、大阪府がチャレンジテストの結果を学校全体の評定の妥当性の確保に活用するいわゆる団体戦でも同様の課題があるはずであり、団体戦を実施するのであれば個人戦も実施すべきであるし、団体戦を実施しないのであれば個人戦も実施すべきでないという旨の助言があり、この見解で進めるのが妥当と考え、大阪府が団体戦を実施することとしたことから、もともとの予定通り個人戦も実施することとした」とあります。
大阪府教育委員会が制度設計し、府内統一ルールと規定し行っている、いわゆる団体戦として実施している「大阪府公立高等学校入試選抜における調査書に記載にする評定等に関する大阪府チャレンジテストの活用について」と、大阪市によるいわゆる個人戦は全く異なる教育施策です。これは教育行政として基本的な理解にかかわることでありますが、大森特別顧問の主張が「助言」であるならば、それを事務局内でどのように再検討されたのか、お答えください。
ちなみにチャレンジテストを活用した個人戦を行なっているのは、大阪府内で大阪市教育委員会のみであることを申し添えておきます。
(3) 回答に「大森特別顧問と教育委員会事務局の長年の関係性」とありますが、私たちが最も問題にしているのはその点です。
「市長からの委託を受けた」「市長の専門委員」であり、「市長の補助機関である」特別顧問が、教育委員にも教育委員会会議にも諮ることなく教育委員会事務局との「長年の関係性」により不当に教育行政にかかわる有様だと言わざるを得ません。背景には市長の教育介入さえあるのではないかとの疑念さえ抱くものです。
「大森特別顧問との教育委員会事務局の長年の関係性」がどのようなものであったか、今回以外のことを事例としてあげ、具体的にそれらをどう総括して今後の改善に生かすのかご説明ください。
6.Ⅳ【要請項目】の回答について
第二次要請書で「一方では久保『提言』の社会的な影響力の大きさに鑑みて教育委員会会議(2021.7.27)に挙げておきながら、他方では文書訓告の撤回要請は教育委員会会議に挙げず『通常の対応』をした、という矛盾した対応となっている」と指摘しました。そのうえで「『第1次要請書』を公開の教育委員会会議で審議し回答すること」を要請しましたが、回答は「団体との協議等のもち方に関する指針」に沿って適切に対応しています」というものでした。
しかし、この件にあっては、「団体との協議等のもち方に関する指針」に基づく「通常の対応」が「適切」でないことは明らかです。
第二次要請書には、この件の重要なポイントとなっている2021年6月29日総合教育会議での大森特別顧問の「暴論」発言に対する久保さんの反論文書(参考資料①及び②)をつけていました。大森特別顧問の発言が、久保「提言」の趣旨をいかに歪曲したものだったか、また、「提言」の真意がどこにあったのか、当時、久保さんが反論として作成したものです。
第二次要請書に対する回答も、担当課長責任の原案を教育次長が決裁することによってなされていると思いますが、この文書は、経過からして、当然、教育長、教育委員に渡され、教育委員会として検討・評価の場が持たれるべきものです。
そもそも第一次要請書は教育委員のもとに届いているでしょうか。また、この第二次要請書、特に2021年6月29日総合教育会議での大森特別顧問発言に対する久保さんの反論文書(参考資料資料①及び②)は、教育委員に届けられるのでしょうか。事務局が「社会的な影響力の大きさに鑑み」たとする問題について、教育委員に意図的に知らせないということがあれば、それ自体が教育委員会制度にとって根幹的な問題であると考えます。お答えください。
7.大森特別顧問と教育委員会との関係性について(回答全体を通して)
「大森特別顧問とのやり取りについては、教育委員会事務局側から特別顧問に対し助言を求め、その後の意思決定プロセスも適切に行ったものですが、大森特別顧問と教育委員会事務局の長年の関係性中で、教育委員会事務局の接し方が、あたかも大森特別顧問が教育委員会に対して意思決定権限をもっているかのような見え方になってしまっていたことは遺憾です。」ということが、繰り返し回答に出てきます。
以下の3点についてお聞きします。ご回答ください。
(1)特別顧問が教育員会事務局と直接、メールや電話のやり取りすること自体には、問題がないとお考えなのでしょうか。このメールのやり取りは、市民感覚としては不適切としか言いようがないと映りますが、本当に「意思決定プロセスが適切」なのであれば、その根拠を市民に分かるようにお示しください。
(2)大森顧問に「助言」を求めたことは、その実において「忖度」「過剰適応」「命令への従属」になっていたのではないですか。
(3)今回の遺憾に思われる事案について、(2)の点も含め、第3者委員会を立ち上げ、きちんと検証する必要があるのではないですか。
(以上)