大阪の草の根民主主義は幾多の苦難を経ても生きていた!
ドイツから協議にzoomで参加してくださった辻野けんまさんより、早速「第2次要請団体協議の所感」が届きました。いつも冷静な立場から、かつ熱い思いを寄せてくださる辻野けんまさんに感謝しています。ぜひ、お読みください。
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今回の団体協議では、教育委員会のご説明が1年前の団体協議やそれ以前の回答の繰り返しという印象を持ちましたが、みなさんが諭すように語りかけておられ、市職員の皆さんも「このままではいけない」と気づく対話の機会になったように感じました。久保氏訓告については平行線でしたが想定通りでもあり、その原因となった特別顧問については情報公開請求から交代への展開がありました。ただし、人がかわったら教育行政は自律性を自ずと取り戻せるわけではなく、管理・従属に浸ってきた過去を自ら克服しなければなりません。
特別顧問の交代自体が応援団の活動目的でもなく、問題解決とも考えていないことは団体協議で確認されたとおりです。チャレンジテストに象徴される市の政策がわずか59分間のメールのやりとりで決まってしまい教育委員には知らされもしない一方で、教育委員会議事録の公表には1年半もかかるという状況が明らかになりました。教育委員会の目線が市民から背けられて政治を向くようになってきたことの象徴です。
議事録が適時に公表されなければ市民はどのような教育政策が行われているのか知る術をもちません。議事録は、地教行法の第14条9項で「遅滞ない公表」が定められていますので、1年半後の公表という事態はそもそも法律に違反しており、これこそが信用失墜行為にもなり、全体の奉仕者という職責の放棄でもあります。これらが何ら問題にもならず、違法な意思決定構造の行政の中で久保氏の訓告が決定されました。教育行政の異常と言う他ありえないでしょう。
今回の団体協議では、教育行政の内部でがんばっている職員さんの姿も確認されました。そうした良心の職員さんの専門性が発揮されるやりがいのある職場にしていただきたいと願っています。過去の失敗をみずから正すことは、権力に固執する行政にとっては難しいことですが、民主的な教育行政こそがなすべき姿ではないでしょうか。そのような教育行政の姿は、恥であるどころか国際社会においても範となるものです。
1年前の団体協議後に以下のような感想を書きましたが、読み直してみて現在も同じ思いだと再認識しました。少し長くなりますが、過去を振り返り現在の総括をさせてください。
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(2023年4月18日団体協議後筆)
教育委員会のご説明からは、残念ながら新たな情報や納得のいく根拠説明などが得られませんでした。
それでも、担当された職員の方々は、応答に窮しながらも一生懸命に頑張られたと思います。こうした方々が内容のある応答をすることができないのは、教育委員会事務局の組織としての検証がなされていないからだと確信しました。
職員さん個人の責任ではなく、とくに最終的な権限をもって決定された方(今回の話で言えば訓告は教育長、撤回拒否は教育次長との説明でした)が、真摯に向き合わなければ、対応にあたる職員さんは疲弊してしまうと案じます。「適正に審議した結果なので訓告を撤回するつもりはありません」ではなく、どのように審議したから適正なのかを説明していただかなければ、異議申し立てのできない訓告措置は無法地帯となります。
行政権が濫用されているのに、行政が「適正」と言えば根拠を示さなくてもそうなってしまうのであれば、権力の濫用の歯止めを誰がどうやってかけることができるでしょうか。
行政職員の方々も疲弊されておられると承知していますが、異議申し立ての機会も与えられない教職員の疲弊はさらに深刻にならざるをえません。
会場で発言くださった保護者の方も、「コロナ禍で先生方は懸命に頑張られたと思う。大阪市教育行政への信頼を失墜させているのは久保氏ではなく、教育委員会なのだと感じる」といったご趣旨の発言をされていました。各家庭も混乱をきわめる中でこのような表明をされたことの意義は、教育行政としてまずもって向き合うべきことではないでしょうか。
また、様々な市民団体が抗議している状況にも本日ふれさせていただきました。本日参加できた私たちだけではなく、これらすべての市民に対しても、根拠を示していただくまでは訓告撤回を求め続けなければなりません。ただし、教育委員会を敵視したいのではないのです。ガッツせんべい応援団の共同代表・増田氏が結びに話されていたように、市民と教育行政との意味ある対話をしたいのです。
ですから、仮に根拠が示せないのであれば、過去の誤りを素直に認めて撤回する君子豹変の姿勢を示していただければ、それ自体が英断だと考える姿勢でいるわけです。意地で自論の誤りを改められないことが、いま世界を見渡せば殺し合いに繋がる恐るべき現実を、われわれの誰もが現に目の当たりにしています。権限(権力)をもつ組織が民主的であり続けることができるのか、極めて重要な岐路にさしかかっていると感じます。
本日はご参加くださった皆様、ご対応くださった皆様に深く御礼申し上げます。
(久保敬元校長の文書訓告取り消しを求める応援団(ガッツせんべい応援団)ブログ「4/18『協議』の報告とお礼」
(2023年4月19日)
https://blog.goo.ne.jp/kubochan/e/b81ae80fe956e647f8834a7d04940771)
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ひとつ加えなければならないのは、執筆時点でロシア-ウクライナを主に想定して国際紛争に触れたところ、今日ではイスラエル-パレスチナを加えなければならなくなったことです。さらにニュースにもならない数多の惨劇が進行形であることにも想いを馳せ、教育が向き合うべきは人間の狂気からの自律でもあるとの思いを強くしています。無力感さえ覚えてしまう現代社会の中で、この3年間の応援団の活動から実感される一つの光明は、「大阪の草の根民主主義は幾多の苦難を経ても生きていた!」という実感でした。多くの市民が社会や人間のあり方を問おうとする大阪の地で、教育行政の良心もまたアイヒマンを脱して人間存在に向き合う専門性を発揮してほしいと願っています。以上の思いを込めて、久保「提言書」をあらためて支持いたします。
2024年5月22日
辻野けんま
※ 画像はzoomで協議に参加中の辻野けんまさん