田園 里山 野鳥そしてアルプスの山々

日進市と近隣の里山、春から秋にはアルプスの山々を歩いて感じたこと、考えたことなど・・・

愛知用水とサイフォン(その2)

2013年02月19日 | 日進・東郷・三好
2月16日、ブログを始めてちょうど1年が経ちました。ブログでは個々の記事のアクセス回数まではわからないのですが、同時並行で始めたYouTube(投稿総数106本)ではそれぞれの動画ごとに視聴回数がわかります。この1年間のトップは”ツキノワグマ親子”。しかし、たかだか736回で大した数にはなっていません。第2位が金環日食ですが、アクセスが集中したのは短い期間でした。少し興味深かったのは“愛知用水とサイフォン”のベストテン入りでした。少しずつですが年間を通してアクセスがあったようです。1年前に投稿したブログとYouTubeのエントリーを記しておきます。
 
16日朝、“サイホン”の入口から出口にかけて、GPSを持って歩いてみました。 下は Google map にGPSでとった歩行軌跡を書き込んだものです。この付近の愛知用水にはサイホンが2つあり、写真の右手の、細い道の下を通る距離の短いものが和合第一サイホン、入口と出口の間に県道218号が通り、距離が250m ほどのものが和合第二サイホンとされています。 
 
この日、赤、青の軌跡の線に沿って矢印方向、すなわちサイホン入口から出口に向かって歩きました。、下左にGPSの標高測定データをグラフにしてみました。
 
マップの青い軌跡部分の相対的な標高の変化がグラフの黒い実線です。絶対値を知るために、国土地理院ポータルサイトで、より正確な標高値を調べてみました。(図中3つの丸印)。サイフォンの入り口と出口は47.9m、中間の県道218号線あたりは34.4mとのことです。GPSデータは気圧測定から求めた相対変化、国土地理院のデータは航空機とレーザーから相対変化を求め、基準点と照合した絶対値、両者がそこそこあっていることがわかります。もちろん地面自体のでこぼこもありますし、小数点以下一桁の精度はないと思います。また、水面の標高や通水管の軸の最低点も不明です。しかし、それらを考慮しても、水面の最低~最高点の標高差は少なくとも10m以上はありそうです。
 
ついでですが、国土地理院のサイト(下記)で自宅の標高も簡単に知ることができます。津波が心配な方など、便利かもしれません。
http://saigai.gsi.go.jp/2012demwork/checkheight/index.html
 
グラフの右に、いわゆるサイフォンと”逆サイフォン”の概念図を描いておきました。愛知用水などで用いられているのは下の形で、土木工学分野ではこれを”逆サイフォン”と呼んでいるそうです。本来のサイフォンとちがって、この場合は標高差が10m以上あっても、出口が1cmでも低ければ単に水を流すだけで上流から下流に通水できるはずです。というか、流れを下流でせき止めた状態で、上下流の水面の高さは等しく、用水路の縁の高さまで上昇し縁の低い方から溢れることになります。
 
”サイフォン”をどのように定義するかについては議論があり、分野によって違うのかもしれません。言葉は生き物で、元の意味から離れても広く使われていればそれでよい、という考え方もあります。しかし、”逆サイホン”では水がただ重力にしたがって「高きから低きに流れる」、というだけで面白味がありません。気体圧力の関与を考えないとその不思議さが理解できない本来のサイフォンとはおおいに違っているように思われます。
 
難しい話はこれくらいにして第二サイホン出入り口付近で撮った写真を以下に並べておきます。
 
             第二サイホン入口 ここから水が流入する
            第二サイホン入口から出口(円内)を望む
           第二サイホン出口から入口(円内)を望む
          第二サイホン出口 ここから水がこんこんと湧き出る
 
  最初のマップ、A地点から矢印方向を見た写真 出口は10数メートルの崖上にある
 
そもそもこの話は、上の写真の崖の上から、突然大量の水流がこんこんと湧きだしているのを”発見”し、感動を覚えたことに始まっています。その点からはサイホンという言葉の定義はどうでもよいとも言えるのですが・・・。
 
ブログ1周年を記念して、もう一度この話題を取り上げてみました。