天候:のち
同行:タケちゃん
参考:「日本登山体系」 (ただし、あまり参考にならず)
一日目
さて今回は、南アルプス北部の大武川「篠沢」。
鳳凰三山のシレイ沢、上州武尊の川場谷に続き、この夏三本目のお泊り沢登り。
今回は久々にタケシ師匠と行く。
篠沢は甲斐駒黒戸尾根七合目付近に東南面から突き上げる沢で、特に最上部にある七丈大滝は沢登りよりもアイス・クライミングの対象として有名。
本やネットでも沢登りの記録はほとんど見当たらず、わずかに「日本登山体系」の解説と逍遙渓稜会の遡行記録があるのみだ。
朝の5時過ぎに中央高速・双葉SAで落ち合い、車2台で移動。一台を下山口の横手駒ケ岳神社に置き、もう一台で篠沢大滝キャンプ場奥の林道へ向かう。
ゲート前で沢仕度を整え、林道を歩くこと30分。
突然、眼前に二段巨大滝・・・ならぬ巨大堰堤が現れる。
そのまま突破は無理なので、ほんの少し戻って「←篠沢大滝」と書かれた標識を頼りに右手、樹林帯の小尾根に上がっていく。
巨大堰堤に行手を阻まれる 林道を少し戻って「こちらで~す。」
踏跡に沿って巨大堰堤を高巻き沢床に降りると、そこは白砂の中に澄んだ流れの癒し系。
さっそく遡行を開始する。
白い砂浜?
早くもシャワー全開のタケシ師匠 マイナスイオン100%の滝
ダイナミックなヒョングリ滝を越えると・・・
まずは第一のハイライト「篠沢大滝」
水量豊富で豪快、かつ優美。
下段が20m弱、上段が40m強といったところか。
上段はスケール、形ともに西丹沢の「下棚」にどことなく似ている感じ。
直登はまず無理で、下段から巻きに入る。が、なるべく小さく巻こうと水流左の草付きスラブに取り付いたところ、早くも二人してハマってしまう!
下から見るといかにも簡単そうなスラブだったがこれが意外としょっぱく、気がつくと二人ともビミョーな位置でセミと化してしまった。
既にクライムダウンも厳しい高さで 「ファイトぉー!」「いっぱぁーつ!」と叫んだところで何の解決にもなりゃしない。
(どーする、どーする?考えろ!考えろ!) ←早くも気分は「ダイ・ハード」!?
外傾した僅かなスタンスの上でジリジリ状態が続くが、そんな中で私が手持ちのハーケンを何とか打ち込み(岩が硬くて半分までしか入らなかった!)、冷や汗モンでA0突破。
すぐ上のスラブがまた悪く支点が取れないので、そのまま右へトラバース。
滝の本流を渡るところは、幅50センチほどの平坦なバンドだが水圧凄まじく、思わず真横からハタキ落とされそうになる。
グッと堪えてそこを突破し、右手のブッシュから回り込んで下段落口に到着。
大きな倒木を支点にしてようやくタケちゃんにお助けロープを出す。 (ヤレヤレ・・・)
これに懲りて大滝の上段はセオリー通り左の樹林帯から大きく巻く。
一応、踏跡らしきものもあるが、いまいちハッキリせず獣道のよう。
「登山体系」ではこの巻きだけで2時間かかるとなっていて、どれほどのもんか?と思っていたが、そこまではかからずに大滝の落口に到着。
小休止し、ふと眼下を見下ろすと、遥か下に滝見学の登山者が二人ほど。
大声で呼びかけたら、向こうも気づき手を振ってくれた。 (もし、写真撮ってくれてたら送ってくださいな。)
篠沢大滝の落口から眼下を見下ろす。
大滝を越えても、すぐにまたまた直登不能な滝がドーンと立ち塞がる。
ここは手前右の緑のチムニーから越える。
小さいながらも深い釜。
タケちゃんは泳ぎ。ザックを担いだ泳ぎの苦手な私は右壁のカチを繋いでヘツリでクリア。
以後、ナメ、釜、チョックストーン滝、ヒョングリ滝などが濃い緑のジャングルの中、延々と続く。
白い砂地と緑のシダ類がまるで南国亜熱帯のよう。トロピカルな雰囲気が実にイイ。
18m滝
巻道もなかなかワイルド。一部ロープ使用。
ポイントごとにタケちゃんが高度計と地形図で現在位置を確認するが、さすが南アルプスの沢。とにかく長いっ!
「登山体系」の図はほとんど当てにならず、イイ意味で裏切ってくれる。
で、一日目後半のハイライトは、タケシ師匠の「イッツ・ショータイム!」ならぬ「イッツ・シャワータイム」
一本目は大きな倒木が逆さまに突き刺さった10m級。
水流激しく傾斜もあり、一瞥したとたん私などは「あぁ、こりゃ巻きだな。」とすぐさま両岸ブッシュ帯の巻道を捜したが、タケちゃんトコトコ滝に近づいて、そのままロープを出す間もなく滝の左端をズブ濡れになって直登してしまった。
・・・マジっすか
こちらはすっかり巻きの気分になっているのに、上から「ザイル出しまーす。」なんて言っている。
実際、取り付いてみると意外と細かくホールドがあり何とか登れたが、普通の人ならまずこの水量にビビってしまうだろう。
二人ともこの滝の直登で全身ビショ濡れ。
齢と共に冷え性の私は、このシャワークライムで一気に低体温症寸前に追い込まれる。
さらにしばらく進んで二本目。やはり10m級で、今度はナメ滝。
こちらも水量多く、特に下段がツルツルの壁で厄介だ。
今度は最初からロープを出し、右下の方からやはりタケちゃんが取り付く。
さすがにここのツルツル壁は厳しく、これは諦めるかと思ったら、まず右側に一本ハーケンを打ち、それに長いスリングを掛けて足場とした。
さらに左側にもカムを決め、ここにも短いスリングを掛け足を入れる。
両足、簡易アブミに乗り込んだ形で強引にツルツル壁を乗越すと、さらに上部にハーケンを一本打ち足しランナーをとって今度は怒涛のシャワー・トラバース。
その上は滝の弱点を突いて、そのまま落口へ抜けてしまった。
「歳と共に気が弱くなってる。」なんておっしゃいますが、相変わらずアグレッシブ
で、こちらも仕方なくフォロー。
一本目のハーケンは一段上がってしまうと回収が難しいので、已む無く最初に抜いてしまう。
これでカムの方のアブミ一個で乗り越さなければならなくなり、この後が一苦労。
テンションかけて仕切り直した後、上からの確保を頼りに最後は気合で爪先を強く壁に押し当て、落ちる前のコンマ何秒かの間にサッと次の足を出す「瞬間接着スメア?」で強引に上がる。
ホッと一息つく間もなく、左へ水流トラバース。滝に洗われたガバカチを頼りにエイヤッ!と越え、何とかクリア。
後で確認したら「逍遥」パーティーもこの二つの滝は空身やらショルダーを駆使して突破したようだが、なかなかシビれました。
で、本日はもうお腹いっぱい。
時間も押してきたので、そろそろテン場を探しながらもう少し先まで進む。
ちょい気合が入りそうな10m級スラブ滝を前にし、もう今日はここらでいいだろう(実はカンベンしてください?)ということで左岸の草地をビバーク地とする。
タケちゃんが手馴れた動作でタープを張り、例のごとくビッグ・ファイヤーを熾してくれて濡れたパンツなどをセッセと乾かす。(毎度お手間かけます。)
平坦な草地ですこぶる快適だったが、軽量化のため薄手ダウン・ジャケットとシュラ・カバーだけの私は八月とはいえ、さすがに夜半は少々寒かった。
最初は動物でもいるのかと思いましたが、
相方が格好を見て沢屋さんだから救助要請では
ないでしょうと判断しました。
まだ滝見&写真撮影は新米なので、大した写真ではないですが、
画像は自由に使って下さい。
沢登りはハードルが高く難しいけど、
沢歩き程度なら楽しいです。
ではでは。
apetacchiさん、ありがとうございます。
写っているのは私です。
私もダウンロードさせてください
呼びかけてみるものですね。
近頃、山や沢で事故が多いもので、あの時も最初、滝の上から声を掛けると「救助要請」と勘違いされるかなという危惧はあったのですが・・・良かったです。
それにしても、そちらは素晴らしい滝の写真をたくさん撮られていますね。
あの時、手を振っていた相方が沢中毒なので、目の毒になりそうです。
下から篠沢大滝を撮影していたものです。
写真のURLを送りますー!