KU Outdoor Life

アウトドアおやじの日常冒険生活

南ア・黄蓮谷 #2

2010年08月29日 | 沢登り

天候:
行程:奥千丈・最後の滝下BP6:10-奥の二俣7:25-甲斐駒頂上9:55~10:45-竹宇駐車場15:15

 朝4:00起床。
 満天の星、それに月の光が物凄く、眼前の奥千丈・最後の滝を煌々と照らしている。
 夜は思いのほか冷え込み、山Pはほとんど眠れなかったそうだ。

  テン場の夜明け

 昨夜の熾きから焚火を熾そうとするが、やはり火付きが悪い。
 チョロチョロと燃えはするがすぐに消えてしまうので、30分ほどで諦め、6時過ぎには出発。
 昨日に続いて今日も絶好の天気。

 奥千丈・最後の滝は、水流左に残置スリングが2本あり、A0突破。
 ちょっとヌメっていたりするが、クラックにフット・ジャムなど効かせながら登る。
 この辺りもよく見ると、いたる所にハーケンが打ってある。
 水流が激しい時は必要なのかもしれないが、本日の状況では「何でこんなにベタ打ち?」と不思議に思うほど。
 BDのナイフ・ブレード?もあって、ちょっと回収したかった。

  奥千丈・最後の滝

 そこを上がると前方上部にインゼルが立ちはだかる。

 インゼル突破はいろいろなルートが取れると思うが、我々はまず左側のスラブを上がっていき、傾斜がきつくなってきたら中央のブッシュ帯へ、さらに斜め右に移るようにして抜けた。
 特に決まったルートは無さそうなので、視界が利かない時に傾斜のきついスラブに入り込んでしまうと苦労するだろう。
 インゼルの途中にもテン場があるが、ここまで来ると谷も開け、風の影響も受けるだろうし、標高も高いので結構寒いかも?

 
 インゼル。前方やや左、奥の方に見えるのが甲斐駒。

 インゼルの上に上がると雪のブロックが僅かに残っていた。
 正面が奥の二俣で、時期にもよるがこの先ほとんど水流は無い。左手の白い岩の方がルートとなる。
 よく迷い込むと言われる烏帽子沢は既にずっと左側で、とにかくインゼルを正面突破すれば、そちらに入り込むことはまず無いと思う。

 奥の二俣にて袋に入ったままのカステラ(さすがに拾って食べる気になれない状態)とボロボロのロープの残骸あり。ここもテン場。

  ロープの残骸とカステラ

 
下山用の水を補給し、奥の左俣に入る。

 奥の左俣最初の滝は立っていて直登はなかなか厳しそう。
 右岸から巻くが、最後はちょいとシビれるコーナー・スラブとなっている。

  奥の左俣最初の滝
 
 人工的に切り出したように左側が直角の壁になっている。
 残置ハーケン、スリングを使ってここもA0突破だが、多少は細かい皺を拾ってジワジワ登っていかなければならない。

  これが噂の(?)コーナー・スラブ

  落ちたらあかんぜよ

 岩が乾いているので、こういう時のアクア・ステルスはなかなか強い。
 せいぜいⅢ+~Ⅳ-といった感じだが、後続の山Pは磨耗したフェルト・ソールのフリクションに不安を感じ、あと一歩が出ない模様。
 おまけにここらは少し岩が脆く、山Pが突破の鍵となる岩を掴んだ途端、グラッと動いた。
 すかさず「それはダメだっ!」と声を掛け、その場で待機してもらう。
 登っている時はさほど感じなかったが、確かにここで落ちたらちょっとヤバそう。
 スラブをツーッと滑って、奥千丈へ一気にダイブだ。
 安定した所まで私が上がって、ロープを降ろし、山Pを回収。ホッ・・・。
 本人もここが一番緊張したらしい。

  一難去ってまた・・・。

  ここは左から回り込む。

  背後に八ケ岳。

 奥の滝(三段60m)。

 下段は左側を上がったかな。よく覚えていない。

 中段(?)は左側が威圧的なコーナーとなっていて、ちょいとクライミング欲をそそるが、一見したところ残置は確認できず。
 クラックも苔で埋まっており、特に上部はホールド乏しくⅤ級以上はありそうだ。
 ちょいとリスキーで時間もかかりそうなので、そそくさと左岸から巻く。

  奥の滝・中段(?)

 上段は2mほどの垂壁が鍵。
 残置がベタ打ちで、古いスリングも残っている。
 念のためロープを出し、A0突破(多少、グラついているので要注意)。
 右上の草付まで上がってビレー解除。

 ロープ使用はここまで。
 我々の場合、出だしの「スベリ台滝」と「二俣からすぐの滝」、そしてココ。
 その他、お助け紐としてさらに3回ほどロープを使ったことになる。(高巻きからの懸垂は一回もしなかった。)

 後はクネクネと続く白ザレと草付の踏跡を左斜め方向、甲斐駒の頂上へ向かって延々と詰めるだけ。
 ガスっていると迷いそうだが、本日は快晴。頂上の人の姿、そして風に乗って時々声も聞こえてくる。

 藪漕ぎこそないが、昨日から登り詰めの足に、このラストはけっこうキツイ。
 黄色い花畑の中を黙々と行き、最後、正面の凹角を左にトラバースすれば登山道に合流。
 頂上まで5分もかからない地点に出た。

  

 本日も甲斐駒の頂上は多くの人で賑わっている。
 ただし、メット姿で現れても北鎌のようなギャラリーの歓待は無し。
 「お疲れさんでした~。」山Pとグー・タッチを交わす。
 ひと月前のシレイ沢の時と同じく、本日も八ツ、鳳凰三山、北岳、仙丈とクッキリとしたパノラマが広がる。

  山P、初めての甲斐駒!

  Yes,We Can!

 

 

 富士山もバッチリ見えているので、本日、引率で(?)登っているはずのM田氏にケータイでメールを送ってみる。
すぐに返事が来て、向こうもちょうど剣ケ峰に立ったところのようだ。

 写真を撮ったりして小一時間もゆっくり休み、ようやく重い腰を上げる。

  

 下りの黒戸尾根はやはり長い。

 三週間前、篠沢から黒戸尾根に上がった際、同行のタケちゃんと「ここには山ガールはいない。」と確認したはずだったが、今回下山時に山スカ女子を2名ほど発見!
 やはり山ガールの勢力は徐々に拡大しつつあるようだ。
 後はトレランの人が多い。
 秋のハセツネに向けてなのか・・・お疲れさんです。

 

 途中二回の休憩をとり、4時間半かかって下山。
 二人とも沢靴のまま下山なので、さすがに最後は爪先が痛んだ。

 下山後は「おじろの湯」ではなく、またまた「藪の湯」へ。今回は元湯・鈴木旅館へ行ってみるが、大浴場が使えなかったのでやや不満。700円也。
 やはり「みはらし」が穴場でオススメ。
 帰りの高速はやはり今日も30km渋滞で、途中、田舎風カツ丼を食いながら、河口湖経由、東名道と繋いで帰る。
 は~、疲れた!


p.s.黄蓮谷は昨年からの宿題、いつか行かなければならないノルマだったので、まずはホッ・・。
 今回は天気も良く、行程もいたって順調。ルーファイに弱い私がここまでうまく行けたのは、やはり直前の「すぎ家」さんのレポのおかげです。
 残置は悪い所には結構あり、自分たちでハーケンを打つことはなかった。また、巻きを失敗しなければ懸垂も無し。
 ネットでも情報が溢れている人気の沢なので、他の上級レベルの沢に較べるとソツなくこなせると思う。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お疲れ様です! (すぎ家)
2010-09-02 18:37:39
流石は現場監督さん。 凄いコースタイムですね
いつかご一緒したいけど、夢のまた夢・・・。

でも神様の様にお慕いしている現場監督さんのお役に立てたなんて、すごく嬉しいです

沢では足を引っ張ってしまうので同行は無理ですが、秋になったら一緒に岩場に行ってください

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何をおっしゃるw (現場監督)
2010-09-02 21:23:48
 神様のように・・・なんて大げさな!
 しかし、今回は「すぎ家」さんの情報がいちいちツボを得ていてホント助かりました。
 特に急いだつもりはありませんが、天気も良くルーファイもうまくいったので、トントン拍子に事が進みました。

 岩場では逆にこちらが足を引っ張ってしまいますからねぇ。とりあえず9月はスケジュールいっぱい。10月からフリーかな。甲府幕岩「ブラッキー」今年中に何とかしたいです。
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