日程:2018年9月23日(日)~24日(月) 前夜発一泊二日
天候:のち
同行:ヒロイさん(我が社の山岳部)
行程:一ノ倉沢出合-テールリッジ-中央稜-北稜下降-衝立前沢下降-出合
同行:ヒロイさん(我が社の山岳部)
行程:一ノ倉沢出合-テールリッジ-中央稜-北稜下降-衝立前沢下降-出合
さてこの三連休も初日が雨。
二日間でアルパインか沢かフリー・・・で、検討した結果、この夏の穂高(滝谷敗退)と剱ですっかりアルパインの毒気?に魅了された相方の好みに合うだろうと一ノ倉沢をチョイス。
一ノ倉沢は自分も2010年10月の本谷以来だから、もう8年振り。
今回は烏帽子奥壁の中央カンテ、さらに余力があれば翌日中央稜あたりと軽く考えていたのだが・・・。
二日間でアルパインか沢かフリー・・・で、検討した結果、この夏の穂高(滝谷敗退)と剱ですっかりアルパインの毒気?に魅了された相方の好みに合うだろうと一ノ倉沢をチョイス。
一ノ倉沢は自分も2010年10月の本谷以来だから、もう8年振り。
今回は烏帽子奥壁の中央カンテ、さらに余力があれば翌日中央稜あたりと軽く考えていたのだが・・・。
前夜のうちに横浜発、谷川入り。某所で仮眠。翌朝は3時起床とする。
今回は二日間なので、翌日の食料なども持って上がり、一ノ倉沢出合に再びテントを張り直す。
アルパイン人気も下火だろうとタカをくくっていたが、けっこう登りに来るクライマーはいるようで、夜明けと共に後からゾロゾロとパーティーがやってきて一ノ倉沢へ入っていく。
今回は二日間なので、翌日の食料なども持って上がり、一ノ倉沢出合に再びテントを張り直す。
アルパイン人気も下火だろうとタカをくくっていたが、けっこう登りに来るクライマーはいるようで、夜明けと共に後からゾロゾロとパーティーがやってきて一ノ倉沢へ入っていく。
数パーティーが先に進んだ後から我々も出発。
まずは右岸の巻道を行く。
勝手知ったる山と思っていたが、久々に来るとけっこう記憶も曖昧。途中、正しくない踏跡もあちこちにあって先行パーティーと確認しながら進む。
まずは右岸の巻道を行く。
勝手知ったる山と思っていたが、久々に来るとけっこう記憶も曖昧。途中、正しくない踏跡もあちこちにあって先行パーティーと確認しながら進む。
ヒョングリの滝上からの懸垂ポイントは既に順番待ち。
時間がもったいないのでロープを出して懸垂下降している組の横をFIXロープを掴んで降りた。
ただFIXも途中、ロープの芯が出ていたりして、完全に頼るのはちょっと怖い。
テールリッジを登り返し、暑い陽射しの中、中央稜の取付きに到着する。
時間がもったいないのでロープを出して懸垂下降している組の横をFIXロープを掴んで降りた。
ただFIXも途中、ロープの芯が出ていたりして、完全に頼るのはちょっと怖い。
テールリッジを登り返し、暑い陽射しの中、中央稜の取付きに到着する。
ここから左へ斜上バンドを少し行くと本日の目当て、中央カンテの取付きだが、目の前まで来てみると予想に反してビショビショ。被った所では水が雫となって滴り落ちている。
こりゃダメだ。さっさと乾いている中央稜に転進する。
本日はけっこうな数のパーティーが上がってきているが、取り付いているのは南稜と中央稜のみ。特に南稜は大渋滞となっている。
幸い中央稜の方は三パーティーほどが先行しているが、適度に間隔が空いている。これなら何とか大丈夫だろう。
取付きで準備をし、相方のヒロイさんからスタート。
ちなみに彼女は中央稜は初めて(一ノ倉沢は二度目)、私はけっこう昔に登っていてたぶん4~5回目くらい。
以下、グレードは自分の体感。
以下、グレードは自分の体感。
1P目 相方リード Ⅲ
傾斜の緩いリッジというかフェースというか。
最初ここは0ピッチ目で上のテラスから1ピッチが始まるのかと思ったほど。
一応ロープを出したが、ヒロイさんは一つもランナーを取ることなく登ってしまった。
昔のトポではⅣとなっているが、それはないでしょう。
傾斜の緩いリッジというかフェースというか。
最初ここは0ピッチ目で上のテラスから1ピッチが始まるのかと思ったほど。
一応ロープを出したが、ヒロイさんは一つもランナーを取ることなく登ってしまった。
昔のトポではⅣとなっているが、それはないでしょう。
2P目 私のリード Ⅱ~Ⅲ
テラスからフェース直上も残置があって「あれ、こんなに壁立ってたっけ?」とアセったが、カンテを左に回り込むと楽なルンゼ状が延びている。
途中からまた右のフェースに戻る所が一瞬Ⅲ+。ヘンな浮石掴んでババ引かないように。
テラスからフェース直上も残置があって「あれ、こんなに壁立ってたっけ?」とアセったが、カンテを左に回り込むと楽なルンゼ状が延びている。
途中からまた右のフェースに戻る所が一瞬Ⅲ+。ヘンな浮石掴んでババ引かないように。
3P目 相方リード Ⅳ-
フェース。特に問題無し。先行のニイちゃんが短く切ってしまったので20mくらい。
フェース。特に問題無し。先行のニイちゃんが短く切ってしまったので20mくらい。
4P目 相方リード Ⅳ+
一応、ルートの核心なので敢えて相方に引き続きリードしてもらう。
チムニーといってもわずかな距離で、「こんなだったっけ?」とほとんど記憶に無い。
トポではⅤ-(Ⅳ、A0)となっているが、ヒロイさんもちろんA0など使わずクリア。
むしろチムニー手前の逆層の方がやや戸惑うが、ここも問題無し。
ヒロイさんがすぐに追い付いてしまうので、先行の新人さんらしきニイちゃんにはちょっとプレッシャー与えてしまったかも。ゴメンね。
一応、ルートの核心なので敢えて相方に引き続きリードしてもらう。
チムニーといってもわずかな距離で、「こんなだったっけ?」とほとんど記憶に無い。
トポではⅤ-(Ⅳ、A0)となっているが、ヒロイさんもちろんA0など使わずクリア。
むしろチムニー手前の逆層の方がやや戸惑うが、ここも問題無し。
ヒロイさんがすぐに追い付いてしまうので、先行の新人さんらしきニイちゃんにはちょっとプレッシャー与えてしまったかも。ゴメンね。
5P目 私のリード Ⅱ~Ⅲ-
土と岩のルンゼ。ほとんど歩きの階段状。
土と岩のルンゼ。ほとんど歩きの階段状。
6P目 相方リード Ⅳ
前半は湿った凹角。ちょっと泥っぽく滑り易いので慎重に行く。
そこを抜けると視界が開け、ピナクルから先は高度感のあるリッジ。ルート中、核心よりもここが一番アルパインぽいピッチで快適。
前半は湿った凹角。ちょっと泥っぽく滑り易いので慎重に行く。
そこを抜けると視界が開け、ピナクルから先は高度感のあるリッジ。ルート中、核心よりもここが一番アルパインぽいピッチで快適。
7P目 私のリード Ⅳ
カンテ~クラック。トポを見たら右手の階段状の凹角を行くらしいが、トラバースのタイミングを誤ってそのまま直上。
残置もやや貧弱。ホールドを慎重に選んでクラックから衝立ノ頭の終了点へ。
カンテ~クラック。トポを見たら右手の階段状の凹角を行くらしいが、トラバースのタイミングを誤ってそのまま直上。
残置もやや貧弱。ホールドを慎重に選んでクラックから衝立ノ頭の終了点へ。
ほとんど疲れもなく、腹も減っていないので、小休止後、そのまま下降。
中央稜を下る方が速そうだったが、まだ時間もあるし、だいぶ離れて後続が一組登ってきているようなので、セオリー通り北稜を下ることにする。
中央稜を下る方が速そうだったが、まだ時間もあるし、だいぶ離れて後続が一組登ってきているようなので、セオリー通り北稜を下ることにする。
踏み跡を少し歩いて、最初の懸垂支点はまだ新しいハンガー。
そのまま真下に40m下ると、ドンピシャの位置に次の支点が見つかる。
特に問題なくこのまま下って、明日は有笠でフリーだな、なんて楽勝気分でいたのだが・・・。
そのまま真下に40m下ると、ドンピシャの位置に次の支点が見つかる。
特に問題なくこのまま下って、明日は有笠でフリーだな、なんて楽勝気分でいたのだが・・・。
懸垂も4ピッチまでは順調。
ここで本来は意識してコップ状岩壁寄り(向かって左側)に降りなければならないところを、そのまま真っ直ぐ下へ降りてしまったのが失敗の元だった。
ややヤブっぽくなるものの、次の下降支点も発見。
ヤブでも多少は踏まれているので、まぁ行けるだろう。少し離れてしまったが、まだ先に降りている先行パーティーの姿も見えるので、そのまま下る。
ここで本来は意識してコップ状岩壁寄り(向かって左側)に降りなければならないところを、そのまま真っ直ぐ下へ降りてしまったのが失敗の元だった。
ややヤブっぽくなるものの、次の下降支点も発見。
ヤブでも多少は踏まれているので、まぁ行けるだろう。少し離れてしまったが、まだ先に降りている先行パーティーの姿も見えるので、そのまま下る。
トポにある最後の空中懸垂がよくわからないまま、とりあえずコップスラブの一端に降り立った。
ここでロープの回収を始めると、まさかのスタック。・・・やっちまった!
ここでロープの回収を始めると、まさかのスタック。・・・やっちまった!
被ってはないもののゴボウでも登りにくいスラブのため、けっこう腕力を使うし、時間もかかる。
ようやく引っ掛かっていた結び目をブッシュから解放したものの、また途中でスタックしてしまい、二度目の登り返し。
この二回で怖ろしいほど時間を費やしてしまう。
この二回で怖ろしいほど時間を費やしてしまう。
午後から曇りがちだった空はあっという間に暗くなり、おまけに小雨まで降ってきた。
一旦暗くなってしまうと、いくらヘッデンを点けても場所が場所なので行動は慎重になり、それでますます時間がかかってしまう。
一旦暗くなってしまうと、いくらヘッデンを点けても場所が場所なので行動は慎重になり、それでますます時間がかかってしまう。
何とか衝立前沢に出て、踏み跡らしき場所を行ったり来たりするが、真っ暗ではっきりせず。
・・・まずいなぁ。自分はこれまでそれなりに修羅場?を経験しているのでいいが、相方はどうだろう。そろそろ参っているんじゃないか。
ツェルトも食料も十分あるので、ここで無理せずビバークも考えたが、二人ともまだ余力はある。
できればこんな所でひもじいビバークよりは、出合のテントにあるワインを飲んでゆったり休みたい。その一心でそのまま衝立前沢を下っていく。
・・・まずいなぁ。自分はこれまでそれなりに修羅場?を経験しているのでいいが、相方はどうだろう。そろそろ参っているんじゃないか。
ツェルトも食料も十分あるので、ここで無理せずビバークも考えたが、二人ともまだ余力はある。
できればこんな所でひもじいビバークよりは、出合のテントにあるワインを飲んでゆったり休みたい。その一心でそのまま衝立前沢を下っていく。
衝立前沢は概ね歩きやすかったが、最後の方で50mの懸垂となる。支点がかなり古く、ちょっと怖かったが時間も押しているのでそのまま活用。
何とか本谷に出る。
何とか本谷に出る。
驚いたのは我々よりまだ上に南稜からの下降組がいたこと。
だが、それは錯覚で、実は彼らはヒョングリの滝の上の巻道にいたようで、しばらくすると先に下って姿が消えてしまった。
片や我々が降り立ったのはヒョングリの滝のやや下で、そこからだと真夜中に冷たいシャワーを浴びて本谷通しにクライムダウンするか、ツルツルのスラブと脆い壁を登り返して巻道に出るかのどちらか。
結局、この夜遅い時間から濡れるのは嫌なので後者を選ぶが、ここがまた思ったより甘くなかった。
だが、それは錯覚で、実は彼らはヒョングリの滝の上の巻道にいたようで、しばらくすると先に下って姿が消えてしまった。
片や我々が降り立ったのはヒョングリの滝のやや下で、そこからだと真夜中に冷たいシャワーを浴びて本谷通しにクライムダウンするか、ツルツルのスラブと脆い壁を登り返して巻道に出るかのどちらか。
結局、この夜遅い時間から濡れるのは嫌なので後者を選ぶが、ここがまた思ったより甘くなかった。
FIXロープにタイブロックを掛けて登り返し。さらに浮石だらけの脆い壁を途中1本のランナーで50m登る。
明るければⅢ級程度だろうが、ここは絶対に落ちれない。途中、足が滑りそうなイヤらしい箇所もいくつかあった。
1ピッチで右岸の巻道に出ることができず、フォローの相方にさらに15mほど登ってもらい、ようやく安全地帯に出ることができた。
後から考えるとツルツルのスラブも空身で登れば良かったし、たとえ全身ビショ濡れになっても沢通しの方が早かったかもしれない。
パニクるまではいかないにしても、このあたり暗さと疲れと眠気で冷静さと判断力を半分失っていたのは確か。
それをカバーしてくれたのが相方の体力と精神力で、本当にタフだなぁと感心した。並みの女子だととっくに泣きが入っていたかもしれない。
明るければⅢ級程度だろうが、ここは絶対に落ちれない。途中、足が滑りそうなイヤらしい箇所もいくつかあった。
1ピッチで右岸の巻道に出ることができず、フォローの相方にさらに15mほど登ってもらい、ようやく安全地帯に出ることができた。
後から考えるとツルツルのスラブも空身で登れば良かったし、たとえ全身ビショ濡れになっても沢通しの方が早かったかもしれない。
パニクるまではいかないにしても、このあたり暗さと疲れと眠気で冷静さと判断力を半分失っていたのは確か。
それをカバーしてくれたのが相方の体力と精神力で、本当にタフだなぁと感心した。並みの女子だととっくに泣きが入っていたかもしれない。
ヨレヨレになって出合に到着。既に日付は翌日に回ってしまった。
出合にテントを張っておいて良かった。あまりに疲れてすぐにでも眠れると思ったが、やはりアドレナリンが出ているようで、二人して無事帰還を祝ってワインとつまみで夜食兼反省会。
出合にテントを張っておいて良かった。あまりに疲れてすぐにでも眠れると思ったが、やはりアドレナリンが出ているようで、二人して無事帰還を祝ってワインとつまみで夜食兼反省会。
翌日は明るくなるまで爆睡。まったり朝食を摂ってから下山する。
山岳資料館に立ち寄り興味深い昔の装備などを見学してから、最後は「湯テルメ谷川」。
風呂上がりのアイスで機嫌を直してもらう。
今回は何がどう悪いというわけでもなく、強いて言えば自分自身これまで何度も一ノ倉沢に入っていて、正直少しナメていたことは確か。
やはり考えが甘いと、山は容赦なく突っ込んでくる。
手痛いしっぺ返しを自分だけで食うならまだしも、相方のヒロイさんにも食わせてしまったのは大いに反省するところである。
まぁ、この失敗もいつかは笑い話にしてもらえることを願って・・・お疲れさまでした。m(_ _)m
やはり考えが甘いと、山は容赦なく突っ込んでくる。
手痛いしっぺ返しを自分だけで食うならまだしも、相方のヒロイさんにも食わせてしまったのは大いに反省するところである。
まぁ、この失敗もいつかは笑い話にしてもらえることを願って・・・お疲れさまでした。m(_ _)m
この中で23日に「登りついたテラスから一ノ倉沢を振り返ると無数のヘッドランプの灯りが見える その中には南稜テラスや中央稜テールリッジだけでなくコップスラブのものもあって、彼らが一ノ倉沢出合へ帰着できるのは深夜になると推測された」というくだりがありますが、「コップスラブのもの」というのはお二人のことでは?
とにかくお疲れさまでした。
よそ様にも心配かけないよう、以後気をつけます。
登りが遅くてご迷惑おかけしました。前日に沢の話をしていて、現場監督さんの話が出た翌日にお逢いするとは思いもしませんでした。途中もしかしたらとお聞きしようとも思いましたが、ないよなと思った次第です。
北陵下降ルートを間違えていたようなのでちょっと心配しておりました。われわれは15時半から16時ぐらいに出合いに到着しました。古賀志の岩場によく出没しておりますなので、また会えるかと思いましす。会えるのを楽しみにしております。
いやぁ、お恥ずかしい。我々の失態はどうか忘れてください。(((^^;)
そんなに早く着いたんですね。
古賀志は時々お邪魔してます。またどこかでお会いしましたら、よろしくお願いいたします。