KU Outdoor Life

アウトドアおやじの日常冒険生活

西丹沢・下棚沢

2009年05月31日 | 沢登り

天候:/
同行:タケちゃん、ju9cho氏

 2005年夏の西沢本棚の帰りに視察してから、ずっと宿題になっていた下棚沢。
 本日は西丹沢の「山開き」ということで、登山口の自然教室前で厳かに式典が行われていた。
 神主さんの「山の安全祈願」に便乗して、我々もちょこっと手を合わせてから吊橋を渡る。
  西丹沢山開き

 道標に導かれ、沢沿いの道を30分。いきなり眼前に本日のハイライト「下棚」50mが現れる。
 隣の西沢本棚に較べると威圧感は一歩譲るが、その存在感は堂々たるもの。
 で、ルートとなる滝の左壁にはロープがぶら下がっている。もしかして先客あり?
 しかし、誰も登っている様子はない。さらに基部に近づくと黒いポロシャツがビショ濡れのまま「残置」されている。
 何とも不審な気配に「おいおい、まさかその辺に血だらけで誰か倒れていないだろうな・・・。」と恐る恐る釜に近づくが、とりあえず何も無いようでホッ!

 それにしても、前回見た時は夏の真っ盛りで水量少なく、ルートとなる左壁も「白く乾いたスラブ」だったが、今日の「下棚」はほぼ全面が茶色くビショ濡れ。前日までのまとまった雨でひどく御機嫌ナナメのご様子である。
 とりあえずコイツを片付ける前に、三人のうち誰がリードするかという重要な問題を片付けなければならない。
 ju9cho氏は「今シーズン、初めての沢なので・・。」という大義名分?を盾に早々と脱リード宣言。
 タケちゃんと私がジャンケンをし、勝った方がリードということになる。・・・で、結果は、タケちゃんの勝ちっ!
 もしかしたらやる羽目になるかなぁと覚悟していたが、これはこれで神の思し召しなのでしょうがない。  
 で、さっそく登攀開始。

  「下棚」をリードするタケちゃん

 トポでは下1/3がⅣ+、真ん中が「階段状」で、上1/3がⅤ-となっている。
 しかし、いつもだったらイケイケのタケちゃんが、今回は出だしからいつになく慎重。よほど濡れて滑りやすいのか早くもA0を駆使している。
 階段状になって多少は余裕を見せるものの相変わらずジンワリとしたペースが続く。
 そして、中間部からやや上が浮石帯になっており、しばし「大掃除」。スイカ大の岩がボンボン釜に叩き落される。
 こんなにボロイなんてトポにもネットの記録にも書いてなかった。・・・ジャンケンに負けて良かったとつくづく思う。
 
 滝見見物のギャラリーが入れ替わり立ち代わり3~4組やってくる中、タケちゃん決死のリードで上部のカンテもじんわり突破し、落口に到着。 

 セカンドはju9cho氏。けっこうソツなく登っていく。で、ラストは私。
 トポでは上部が核心となっているが、実際登った感じでは下部は濡れたスラブで滑りやすいし、中間の階段状はボロボロ、むしろ上部の方ががっちりしたカンテを使えて(アンダーホールドが有効)、安定している気がした。
 単純に技術的なグレードとしてはⅣ+、A0が妥当だと思うが、「濡れて」「脆くて」「支点が信用できない」ことを考えると、総合的にはⅤ級テイスト。
 落口にたどり着くまではけっして気が抜けず、毎度、タケちゃんには頭が下がります。
 
  
 中間部で余裕を見せるタケちゃん        フォローのju9cho氏

 動画はこちら(撮影:ju9cho氏)

 一息ついて、続いてF2(10m)。
 選手交代で、私がリード。右壁から取り付く。
 釜から滝に取り付く所がホールド細かく、ちょっと取り付きにくい。
 トポには「途中ハーケンが3本」とあるが、リング・ボルトも含めて都合5本。
 最後の小ハングは正対でなく横向きで。足をステミングしながら上げていくと、落口にご褒美のガバが見つかる。
 既にF1でオール・フリーにはこだわっておらず、ここはⅣ、A0といった感じ。

  F2をリードする私

 続いてF3、二段7mは、ju9cho氏にリードを頼む。
 左壁のクラック沿いに登る。
 ラストの私は油断して一回釜にドボンしたが、それよりも上半分のグズグズのステップをステミングで上がっていく方がイヤラシイ。Ⅲ+~Ⅳ-?
 
  F3リードはju9cho氏

 F4(5m)を過ぎるとゴーロっぽい癒し系となり、その間に2mほどのチョックストン(CS)滝が現れる。
 特に巨大なベロ(舌)が突き出したようなCS滝はその左側をすり抜けていくのだが、バランス課題でちょっと面白い。
 滑りそうになるのを両手ツッパリで堪えながら足を前に出していくのだが、まさかここでヒール・フックを使うとは思わなかった。

  CS滝

 さらに、この辺りの浅い淵で素早く走る魚影を発見!
 後ろから回り込んで一気に岸に追い上げると、尺には届かないが立派なヤマメ。
 こんな上流の細い流れにいるなんて・・・。
 ところが、いざ逃がしてやろうとしたら、つい今しがたまでピチピチしていたのに急にグッタリ。
 そんなに強く掴んでないのに・・ちょっと可哀想なことしたなぁと思っていると、しばらくしてまた元気を取り戻し、流れの中に消えていった。

  ヤマメくん

 続いてF5、三段15m。
 タケちゃんが水流左から、私が右から攻めるが、出だしがちょっと立っていて苦戦する。
 それでも見つけたガバを頼りに思い切って上がろうとしたところ、いきなり手元の岩が根こそぎもげて、私が背中から落ちる。
 下は砂地の釜で高さもほんの1m強のため尻餅で済んだが、右手を着いた際、岩で手首を切ってしまう。
 けっこうパックリいっちゃって手首という場所が場所だけに、ちょっと青くなる。(まさか、こんな所でリスト・カットするなんて)
 後から思ったが、これは先ほどのヤマメが「下棚の主」で、文字通り「その逆鱗に触れた」祟りではあるまいか?

  F5
 
 この頃から雨足も激しくなり(下界では雷雨だったとか)、撤退しようと意見が出たが、ここまで来て自分のせいで中途敗退では二人に申し訳ない。
 タケちゃんに応急処置をしてもらい続行とするが、F5はそのまま左岸から巻く。
 この左岸の巻きは踏跡とピンク・テープが目印となるが、沢床に戻る下りがグズクズの細い土尾根でけっこう悪かった。

  F6(水流左からA0で上がる方が良い)

  F6(上から見たところ)

  滝はまだまだ続く

  森に埋もれた巨大タマネギのようなF7


 さらに、その先ももうそろそろ終わりだろうと思っても、次から次へと意外と歯応えのある滝がF9まで続く。けっこう長い。
 それらを登ったり巻いたりして先を急ぐと、ようやく水も涸れ、そのまま詰め上がると木に赤ペンキで印された獣道のような細い登山道にぶつかる。
 右手にひと登りすると、やっと畦ケ丸の山頂。
 雨降る中、上から下までグショグショに濡れたまま、とりあえず完登の握手を交わす。既に辺りは薄暗い。

 行動食を忘れたというju9cho氏にドーナツを分けたりして(←なんか最近このパターン多いような?)小休止後、自然教室へ小走りに駆け下り、無事帰還。
 お疲れさんでした~。

 帰りは「ぶなの湯」で汚れを落とし、新松田駅前の焼肉屋(2F)で飯食って〆。
 私が頼んだ「カルビ麺」(800円)は☆☆☆☆。まぁオススメ。

  
 



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お疲れ様でした (takeshi)
2009-06-04 22:00:06
大滝登攀、時間がかかってしまい申し訳ありませんでした。

その後、手首の傷はどうですか?
妙~な処に傷跡が残っちゃって大変ですねー・
ともあれ出血大サービスじゃなくてよかったです(^^)

また、懲りずに宜しくお願いします♪
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お疲れさんです (現場監督)
2009-06-04 22:44:41
どーも、西沢本棚に引き続き、お世話になりました。
手首の方は傷口をテープでくっつけて、おとなしくしてます。
お二人の途中撤退の申し出もありがたかったんですが、あそこで止めてたらまたもう一度行くことになりますもんねぇ。
「下棚」リピートを考えたら、意地でも今日中に片付けなければと思いました。
また、よろしく。
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現場監督健在なり(嬉) (enjoyful)
2009-06-05 00:19:47
毎年の年賀で現場監督が健在であることは察してはいましたが、いやはやここまでとは羨ましいかぎりです。ある意味いい歳してこういうことに熱中しているということを知ってなんだか嬉しさもこみ上げてきます。「あは、俺だけじゃなかった、もっとすごい奴がいたぁ・・」って安心しただけかも(笑)。ともあれ、やはり怪我だけは気をつけてくださいね。
私も左足首、両手首は金具で固定されてまして、道楽者が怪我で家族に迷惑をかけて、その都度、もう二度と怪我はしないぞぉ~って誓ってます。
現場監督の場合は、私とはレベルが違いますから、とにかく気ぃつけて励んでください。
しかし、毎日のブログ更新には驚かされます。
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ご無沙汰でした。 (現場監督)
2009-06-06 18:41:52
どーも、そちらもお元気そうで何よりです。
私などは近場でちょこちょこやってるだけで、日本全国を自転車で回っているそちらの方がよほどスケール大きく、羨ましいです。
ただ、お互いやっぱ歳とりましたなぁ
幸い私は細かい怪我が多い割には大事に至らず、お陰さまでまだロボコップ化はしていません。
まぁ、これからも無理せず遊んでいきましょう。
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