二十代で恋人から一方的に婚約
破棄されて傷の癒えない女性が
いた。三十二歳になった彼女が
何人かの同僚と地方に出張に出た
時のことだった。
同行した他の男性社員からは出
張後、「楽しかったですね!」
「また機会を作って仕事抜きで
みんなで旅行しましょう」と
LINEが次々入ってきた。
そんな時、意中の彼から一通
の封書が届いた。
手紙などめったにもらったこと
のない彼女は驚いた。
その白い封筒を手にして、何が
書いてあるんだろうと
ふるえる手で封を切ったそうだ。
便箋には短い文章がブルーの
インクで綴られていた。
その中の一文が目に飛び込んで
きた。
“旅の印象が何とも言えない
余韻でずっと続いています“
まるで自分の心情を書き表した
ような文章を彼女は繰り返し
目で追った。
ずっともち続けた恋心、
一言にくくれない旅を、「何とも
言えない余韻」と表現した彼
は心で感じたことを言葉に
できる人だと彼女は思った。
「机に向かってこの手紙を書く
彼の姿を思いました。簡単なメール
のやりとりに慣れていた私にとって、
この手紙はまるで宝石でもらった
ような幸せをもたらしてくれました」
破棄されて傷の癒えない女性が
いた。三十二歳になった彼女が
何人かの同僚と地方に出張に出た
時のことだった。
同行した他の男性社員からは出
張後、「楽しかったですね!」
「また機会を作って仕事抜きで
みんなで旅行しましょう」と
LINEが次々入ってきた。
そんな時、意中の彼から一通
の封書が届いた。
手紙などめったにもらったこと
のない彼女は驚いた。
その白い封筒を手にして、何が
書いてあるんだろうと
ふるえる手で封を切ったそうだ。
便箋には短い文章がブルーの
インクで綴られていた。
その中の一文が目に飛び込んで
きた。
“旅の印象が何とも言えない
余韻でずっと続いています“
まるで自分の心情を書き表した
ような文章を彼女は繰り返し
目で追った。
ずっともち続けた恋心、
一言にくくれない旅を、「何とも
言えない余韻」と表現した彼
は心で感じたことを言葉に
できる人だと彼女は思った。
「机に向かってこの手紙を書く
彼の姿を思いました。簡単なメール
のやりとりに慣れていた私にとって、
この手紙はまるで宝石でもらった
ような幸せをもたらしてくれました」