先日の堺に関するエントリの続きになる。もう飽きた? うん、こんな話より、橋下ごっこやって、いたいけな若者いじって遊んでいたほうが楽しいです。
しかしとある場所で、おれに対する批判を見て考えた。そう、おれは堺市民ではない。そして元からの堺衆と、大阪との結びつきが強い泉北ニュータウンの住民の意識はちがうだろう。また同じエリアでも意見の違いはあって当然だ。もし堺市民が読んで不快に思われたなら謝罪する。
おれがいわねばならないことは、こういうことだった。橋下市長は自分の任期中、「都構想」を実現すると言っている。賛成・反対は一時留保してもいい。しかし平成の大合併も、ピークは2003年~2005年だったけれど、国会成立は1995年。1980年代末から商工会議所やJCは動いていた。普通に考えたら10年、20年の仕事。時間がかかりすぎる? 急がば回れ、急いては事をし損じる。いや、兵は拙速を尊ぶだって? だれがそんなこといったの?
「ゆえに兵は拙速なるを聞くも、未だ巧久なるを見ざるなり」(孫子)
戦争を長々と続けたら、国力が衰えてボロボロになる。だから戦争下手で短く終わったことがあっても、戦争上手で長引いたなんて聞いたことがない。これが元々の文章の意味だ。「戦わずして勝つ」が兵法の基本なのに、みんな何をいっているんだろう? だから金持ちはケンカしない。
もちろん、びんぼう人のおれはする☆ (全然反省してない!)
さて、大阪商工会議所も「大大阪・オール関西!」と言い出した。これに対する異見は次のエントリにて。しかし選挙前は、大商の会頭も副会頭も、「都構想のイメージがつかめない」「せめて知事を二期やれ」と苦言を呈していた。
今でも、大阪の経済界には話は通っていないように感じる。経済界とのパイプのなさは、府知事時代からそうだった。影響を受けるのは住民ばかりではない。企業や事業所だってそうだ。その名も「平成の大合併」という住所DBクリーニングソフトがあったくらいで、住所変換だけでも大変なことですよ? 面倒だからやりたくないだけではない(それもあるのね)。ただ、賛成も反対もしようもないというのが、正直な所である。
たとえば橋下市長は、水道事業統合の方針を打ち出している。それに伴って、大阪市の水道料金が値上がりする可能性はどう考慮されているのか。水道企業団と調整、水道料金が値上がりしないための交渉・調整はどうなっているのか。こうした市民にとって不利益になるかもしれないことは、一切見えない。「代案」がないのは橋下市長のほうなのだから、賛成も反対もしようがないではないか。ゴタクはいいから、ちゃんとペーパーまとめてこいや。議論以前に検討のしようもないのである。
もちろん、就任1、2ヵ月の市長に、あれもこれも過度の期待はしていない。課題は多すぎる。橋下も、待てよ、まずは区長を任命してからだといいたいだろう。よろしい、待とう。おれはとってもいい人だ。
日本でもいわゆる300市構想などがある。都道府県という中間団体は、実は必要ないのではないのかという考え方だってある。大阪府をなにわ県・河内県・和泉県に分割して、それぞれ大阪市・東大阪市・堺市がリーダーシップを取っていくという改革だってあると思う。
橋下都構想のモデルが2000年代以降のグレーターロンドンらしい。これは『体制維新』を読んでみて得をした部分。橋下くんありがとう。20年近く前、おれの知っていたロンドンではもうないんだね。今では四国や淡路島以外の海外はごぶさたで、すっかり浦島太郎になっていた。
しかしグレーターロンドンは、行政機関が小さくなったかわりに、国による特殊法人の乱立という弊害も出ているようだ。そして、国内最大の貧困エリア5つのうち3つがロンドンに集中している。大きなロンドンは、かえって経済格差を拡大した。イングランドのほとんどの自治体は議会が執行機関でもあるという、日本とは全く異なった構造であることも全く考慮されていない。
◇イギリスの地方自治(長文pdf注意)
http://www.jlgc.org.uk/jp/information/img/pdf/UKtihoujichi.pdf
おれは明治以来の国家政治経済体制(青木昌彦教授にならい官僚制多元主義と呼んでおくが)は打破すべきだと考える点では、橋下と同じである。しかしこんなやり方はしない。キンピーさんのアイデアだが、公務員の仕事をワークシェアして、ベーシックインカムをビルトインしていく社会を構想する。そのとき推進力になるのが、政党や既成組織ではなく、地域に密着して地道な活動を続けてきたNPO・企業・ボランティアのアソシエーションだろう。
今では大阪の風物詩イベントも、ささやかながら、観光集客と環境事業と野宿者支援をリンクさせる市民参加の運動のモデルを作るために、おれたちも立ち上げに裏方で参加した。うまく行ったものもあれば、失敗したものもある。同じようなことを考えている仲間は、大勢いる。
平成の大合併の結果どうなったか。これが、大阪都構想を採用するかどうかの一つの参考になるだろう。信濃毎日新聞の記事にリンク。
http://www.shinmai.co.jp/news/20120127/KT120126ATI090004000.html
「平成の大合併」を経た県内18市町村(12市、4町、2村)の旧市町村地域の住民の3割近くが合併して「悪かった」と考え、「良かった」は2割余にとどまることが26日、県世論調査協会の調査で分かった。「何とも言えない・分からない」は5割近くに上り、評価ができない人も多い。住民の4割近くは当初、合併に賛成の立場だったと回答。合併を経て、旧市町村域の住民の意識が変化しつつあることを示した。
///
合併に伴う行政サービスの変化を聞くと、ごみ収集料金や上下水道料金など「住民負担」、「役場(支所)の利用のしやすさ」はともに「悪くなった」が4割を超えている。「住民の意見反映、県、合併市町村へのパイプ」は3割余、「子育て支援や福祉の行政サービス」も2割余が悪化したと答えている。
さらなる合併による広域化、道州制導入については「反対」が51・0%を占め、「賛成」の13・0%を大きく上回っている。
もちろん、「良くなった」という答えもある。目立つのは議員、職員削減など「行財政改革」。効率化による財政メリットに一定の評価があった。
しかし全体的には「変わらない」とする回答の割合が高い。
3割の住民が合併化で、むしろ行政サービスが悪くなったと答えている。約半数の住民はそのどちらでもない。
受益者は2割にすぎず、3割の住民に負担を強いるような合併が正しかったかといえるだろうか? おれの知っているとある自治体も、元から政治力・経済力のある地域だけが栄え、過疎地帯はもっと寂れつつある。大阪都構想は、この平成の大合併の過ちをもっと大きな規模で繰り返すものだ。
最初に戻る。橋下市長は「西成を変えることが大阪を変える第一歩」だとして直轄区にする構想を示した(地方自治法に抵触する区長兼任は撤回)。すなわち、西成が変わらない限り、「都構想」も実現しないということだね。
西成はわが友キンピーの庭。試しに「キンピー」で検索かけるといいよ。日本共産党除くオール与党体制だぜ。くろまっくも、ニセくろまっくも全員敵に回す。お楽しみはこれからなのだ。
---
タイトル変更。
大阪都の下では、大阪市も堺市もなくなるんだよね。橋下くんや維新の会は「廃止」という言葉を徹底的に避けている。2011年1月の大阪維新の会マニフェストでも、次のような婉曲表現があるのみ。
「大阪都に広域行政を一元化」
「指揮官を1人にする」
「大阪市役所から権限と財源を区に取り戻しましょう」
「大阪府と政令市域を統合し,大阪都と特別区に再編します」
「大阪市,堺市が消去され」「大阪市役所(と堺市役所)から権限と財源を府=都が取り上げる」ことを100%間違いのない重要事項として、まずみんなが知る必要があるね。「それでもいい。大阪全体のためになるなら!」という、同志スターリン並みに立派な考えの持ち主が橋下市長。「大阪市や堺市の行政サービス低下するやんけ、ゴルア!」と地域住民のエゴを主張しているのがこのブログです。
住民のエゴのどこが悪い。大衆のエゴイズムの解放、その偉大なる力!
資料の出典は「大阪都構想――メリット,デメリット,論点を考える――」立命館大学の村上弘教授。必読!
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/11-1/murakami.pdf
しかしとある場所で、おれに対する批判を見て考えた。そう、おれは堺市民ではない。そして元からの堺衆と、大阪との結びつきが強い泉北ニュータウンの住民の意識はちがうだろう。また同じエリアでも意見の違いはあって当然だ。もし堺市民が読んで不快に思われたなら謝罪する。
おれがいわねばならないことは、こういうことだった。橋下市長は自分の任期中、「都構想」を実現すると言っている。賛成・反対は一時留保してもいい。しかし平成の大合併も、ピークは2003年~2005年だったけれど、国会成立は1995年。1980年代末から商工会議所やJCは動いていた。普通に考えたら10年、20年の仕事。時間がかかりすぎる? 急がば回れ、急いては事をし損じる。いや、兵は拙速を尊ぶだって? だれがそんなこといったの?
「ゆえに兵は拙速なるを聞くも、未だ巧久なるを見ざるなり」(孫子)
戦争を長々と続けたら、国力が衰えてボロボロになる。だから戦争下手で短く終わったことがあっても、戦争上手で長引いたなんて聞いたことがない。これが元々の文章の意味だ。「戦わずして勝つ」が兵法の基本なのに、みんな何をいっているんだろう? だから金持ちはケンカしない。
もちろん、びんぼう人のおれはする☆ (全然反省してない!)
さて、大阪商工会議所も「大大阪・オール関西!」と言い出した。これに対する異見は次のエントリにて。しかし選挙前は、大商の会頭も副会頭も、「都構想のイメージがつかめない」「せめて知事を二期やれ」と苦言を呈していた。
今でも、大阪の経済界には話は通っていないように感じる。経済界とのパイプのなさは、府知事時代からそうだった。影響を受けるのは住民ばかりではない。企業や事業所だってそうだ。その名も「平成の大合併」という住所DBクリーニングソフトがあったくらいで、住所変換だけでも大変なことですよ? 面倒だからやりたくないだけではない(それもあるのね)。ただ、賛成も反対もしようもないというのが、正直な所である。
たとえば橋下市長は、水道事業統合の方針を打ち出している。それに伴って、大阪市の水道料金が値上がりする可能性はどう考慮されているのか。水道企業団と調整、水道料金が値上がりしないための交渉・調整はどうなっているのか。こうした市民にとって不利益になるかもしれないことは、一切見えない。「代案」がないのは橋下市長のほうなのだから、賛成も反対もしようがないではないか。ゴタクはいいから、ちゃんとペーパーまとめてこいや。議論以前に検討のしようもないのである。
もちろん、就任1、2ヵ月の市長に、あれもこれも過度の期待はしていない。課題は多すぎる。橋下も、待てよ、まずは区長を任命してからだといいたいだろう。よろしい、待とう。おれはとってもいい人だ。
日本でもいわゆる300市構想などがある。都道府県という中間団体は、実は必要ないのではないのかという考え方だってある。大阪府をなにわ県・河内県・和泉県に分割して、それぞれ大阪市・東大阪市・堺市がリーダーシップを取っていくという改革だってあると思う。
橋下都構想のモデルが2000年代以降のグレーターロンドンらしい。これは『体制維新』を読んでみて得をした部分。橋下くんありがとう。20年近く前、おれの知っていたロンドンではもうないんだね。今では四国や淡路島以外の海外はごぶさたで、すっかり浦島太郎になっていた。
しかしグレーターロンドンは、行政機関が小さくなったかわりに、国による特殊法人の乱立という弊害も出ているようだ。そして、国内最大の貧困エリア5つのうち3つがロンドンに集中している。大きなロンドンは、かえって経済格差を拡大した。イングランドのほとんどの自治体は議会が執行機関でもあるという、日本とは全く異なった構造であることも全く考慮されていない。
◇イギリスの地方自治(長文pdf注意)
http://www.jlgc.org.uk/jp/information/img/pdf/UKtihoujichi.pdf
おれは明治以来の国家政治経済体制(青木昌彦教授にならい官僚制多元主義と呼んでおくが)は打破すべきだと考える点では、橋下と同じである。しかしこんなやり方はしない。キンピーさんのアイデアだが、公務員の仕事をワークシェアして、ベーシックインカムをビルトインしていく社会を構想する。そのとき推進力になるのが、政党や既成組織ではなく、地域に密着して地道な活動を続けてきたNPO・企業・ボランティアのアソシエーションだろう。
今では大阪の風物詩イベントも、ささやかながら、観光集客と環境事業と野宿者支援をリンクさせる市民参加の運動のモデルを作るために、おれたちも立ち上げに裏方で参加した。うまく行ったものもあれば、失敗したものもある。同じようなことを考えている仲間は、大勢いる。
平成の大合併の結果どうなったか。これが、大阪都構想を採用するかどうかの一つの参考になるだろう。信濃毎日新聞の記事にリンク。
http://www.shinmai.co.jp/news/20120127/KT120126ATI090004000.html
「平成の大合併」を経た県内18市町村(12市、4町、2村)の旧市町村地域の住民の3割近くが合併して「悪かった」と考え、「良かった」は2割余にとどまることが26日、県世論調査協会の調査で分かった。「何とも言えない・分からない」は5割近くに上り、評価ができない人も多い。住民の4割近くは当初、合併に賛成の立場だったと回答。合併を経て、旧市町村域の住民の意識が変化しつつあることを示した。
///
合併に伴う行政サービスの変化を聞くと、ごみ収集料金や上下水道料金など「住民負担」、「役場(支所)の利用のしやすさ」はともに「悪くなった」が4割を超えている。「住民の意見反映、県、合併市町村へのパイプ」は3割余、「子育て支援や福祉の行政サービス」も2割余が悪化したと答えている。
さらなる合併による広域化、道州制導入については「反対」が51・0%を占め、「賛成」の13・0%を大きく上回っている。
もちろん、「良くなった」という答えもある。目立つのは議員、職員削減など「行財政改革」。効率化による財政メリットに一定の評価があった。
しかし全体的には「変わらない」とする回答の割合が高い。
3割の住民が合併化で、むしろ行政サービスが悪くなったと答えている。約半数の住民はそのどちらでもない。
受益者は2割にすぎず、3割の住民に負担を強いるような合併が正しかったかといえるだろうか? おれの知っているとある自治体も、元から政治力・経済力のある地域だけが栄え、過疎地帯はもっと寂れつつある。大阪都構想は、この平成の大合併の過ちをもっと大きな規模で繰り返すものだ。
最初に戻る。橋下市長は「西成を変えることが大阪を変える第一歩」だとして直轄区にする構想を示した(地方自治法に抵触する区長兼任は撤回)。すなわち、西成が変わらない限り、「都構想」も実現しないということだね。
西成はわが友キンピーの庭。試しに「キンピー」で検索かけるといいよ。日本共産党除くオール与党体制だぜ。くろまっくも、ニセくろまっくも全員敵に回す。お楽しみはこれからなのだ。
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タイトル変更。
大阪都の下では、大阪市も堺市もなくなるんだよね。橋下くんや維新の会は「廃止」という言葉を徹底的に避けている。2011年1月の大阪維新の会マニフェストでも、次のような婉曲表現があるのみ。
「大阪都に広域行政を一元化」
「指揮官を1人にする」
「大阪市役所から権限と財源を区に取り戻しましょう」
「大阪府と政令市域を統合し,大阪都と特別区に再編します」
「大阪市,堺市が消去され」「大阪市役所(と堺市役所)から権限と財源を府=都が取り上げる」ことを100%間違いのない重要事項として、まずみんなが知る必要があるね。「それでもいい。大阪全体のためになるなら!」という、同志スターリン並みに立派な考えの持ち主が橋下市長。「大阪市や堺市の行政サービス低下するやんけ、ゴルア!」と地域住民のエゴを主張しているのがこのブログです。
住民のエゴのどこが悪い。大衆のエゴイズムの解放、その偉大なる力!
資料の出典は「大阪都構想――メリット,デメリット,論点を考える――」立命館大学の村上弘教授。必読!
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/11-1/murakami.pdf
平松市政では行政からの接近で形になりつつあるものもありましたねぇ。
ただこれだけだと内と外に分け隔てが残りますから、ワークシェアリングで住民の視線を役所の中に持ち込もうという“ただの思いつき”ですw
大阪都構想 --メリット、デメリット、論点を考える
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/11-1/murakami.pdf
結論だけ引用すると、
「大阪都は,必要性が小さくデメリットの大きい,集権化である」
「大阪都は,効率の面ではプラスとマイナスがあり,大阪の民主主義と政策能力に対してはマイナスが大きい」
大阪市と堺市の分割統合というキモの部分さえ、理解もコンセンサスも得られていないのに、「は? おまえら身内やんけ?」と言葉を失っている状態です。
政治主導もよろしいですが、お役所だけでは、仕事回らないですよね。何ができますねん。大阪市は外郭団体に丸投げ、団体は業者に丸投げ。おれとは別キャラのしろまっくさんの作った素敵パンフ、「発行・大阪市」だけど、パーティ以外顔も見たこともないぞ?
あの中之島のだめな人たち手足に、口先男に何ができるのか。財界の、しかもその一部しか得をしない滅茶苦茶な町になる。
もうこんな大阪いやです。隣の県に本社移します。兵庫県好き好き大好き。神戸なんて恐れ多い、西宮とは申しません、尼崎でいいから脱阪者受け入れて☆ (尼なめとんのか!)
という非常シナリオも用意していたりして。やはり生活かかっていますから。尼なら南大阪住民も京都滋賀住民も通えます。
以上、裏商工会議所からのお知らせでした☆