通路の交差点の柱横のワゴンに寄り添う様にたたずんでいた。
肌の色も悪く、日焼けの跡をその身体にまとい、切なそうにこうべを
たれていた。その首筋からは、疲れがしみ出たかの様な黒い物が
しみ出ている。
縁の部分も少し欠け、つのの先に付いているはずの小さな目玉も無い。
鼻の穴に続く筒も付いていない。北を見る眼鏡も電気仕掛けの首振りも
付いてはいなかった。
時折、走り回る子供が寄ってきて、その子のマスクについている小さな穴
から中を覗き込んで、きゃーきゃー言いながら走り去っていく。
近寄ってみて、上を向かせ口をふさぐマスクを取り、その大きな口から
中を覗きこむと、少し白いシミがその腹包みの周辺に付いていた。
真ん中の方は埃こそあるが、そこそこ綺麗に見えた。
名前よりちょっとだけ大きな腹包みを持っているらしい事が、その子の
ほおに書きしるされていた。しかし同時にそこに書かれた素性は、うちに
先々月入ったばかりの子とそう変わらないという事も示していた。
もしうちに、そのニューフェースがまだ来ていなかったら、きっと連れて
帰ったと思われる、ちょっとだけ魅力的にみえる数字が、その横顔には
書かれていた。
う~ん、同じ様な子が何人も居てもしょうがないしな。
と自分に言い聞かせ、ちょっと後ろ髪を引かれながらも
その日は、その子を見なかったふりをして帰った。
金曜日、いつもの店に行くと、もう誰かに連れ去られたかと
思っていたが、前と変わらず、くたびれた様子でたたずんでいる
その子を見つけた。
近づくと、哀愁を帯びた目でしきりに、その切ない思いを伝えて
来るかの様だ。
よく見ると、今日は足下に小さな箱を持っていた。その箱の中を
覗き込むと、鼻の筒と、覗き込む目玉が2つ、組み立ての道具と一緒に
入っていた。残念ながら、北眼鏡と角の先の目玉は無かったが、、、、
一旦、家に戻り、その子の腹包みの曲がり具合をNETで確認すると、
うちのニューフェースと違って、少しなだらかな放物線カーブで
出来ているらしい。うちの子より明らかに素性は良いらしい事が判った。
その腹包みは洗ってやれば綺麗になるだろうか?とちょっと心配な所も
あり、しばらく、その子の前で、首筋に遊びが無いか、他は大丈夫かと?
あちこちさんざん眺め回したあげく、やっぱり連れて帰る事にした。
うちに帰って、早速その汚れた腹包みを綺麗に洗ってやり、お腹の調子を
崩さない様におまじないの印を付けた。
思ったよりも綺麗にその汚れは落ちてくれた。
ちゃんと元通りに腹包みを収めて、お腹の調子を見てやる。何とか
そこそこ緩くもなくきつくもなく調子が良くなったようである。
最後に、ちゃんとした格好をさせて表で一枚写真を撮ってやった。
そうそう、この子の名前だが、しっかりその横顔に名札が付いていた。
Vixen Super Mirror R125S 税込み12,600円だった。
晴れたら、サイドバイサイドでの13cm対決。放物面鏡の効果は
いかほどだろうか?楽しみだ。
2011.6.8~11(6/12)
2012.8.7追記 置き場がなかったのでこちらにでも、、、
主鏡、斜鏡の調整の仕方(手持ち資料抜粋)
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