ユーキャン詩集

創作した詩を不定期投稿していきます!感想などございましたらぜひコメントください!時々、旅日記なども載せます!

綺麗落とし

2018-12-06 23:49:47 | 創作(詩)
綿菓子が空を舞って
西の風が髪の隙間を通り抜けていった
満開の桜が映える並木道
花弁の隙間から朝日が見え隠れするリズム
コンクリートの影が愉快に笑い転げる
スーツの男が鼻歌を軽快に鳴らし
世間話に興じる奥様たちは道を狭めて
頬を染めた女学生たちが小声で話す

新しいものが入ってくる季節
世界の楽しみが膨らむ今
ゆっくり枯れゆくものが生まれて
雨が最後にやってきた

あまりに短い迎え入れの時
雨が降って幕が降りていく
靴裏の泥を吸って黒ずみの増した花弁が詰まってきた

緑だけで埋め尽くされるこの景色
排水口でもがく他の色は
泥水を吸って生きていく

緑は強い
光差し込む鉄の柵の下から見上げた

今日も水たまりは道を塞いで
隠せてない笑みを零す
挨拶は雨にかき消された