ユーキャン詩集

創作した詩を不定期投稿していきます!感想などございましたらぜひコメントください!時々、旅日記なども載せます!

初恋

2018-12-10 17:40:42 | 創作(詩)
あなたは前の席にいた。

ブレザーの襟にかかるくらいの髪に 小さな耳たぶ
整った顔立ちのあなた
ピンク色の校門にたったら映えそうで
でもあなたは僕よりどこか遠そうで

だから僕は驚いた

「これからよろしく」

名字で呼びあうようになった
学校 勉強 遊び
何気なく近寄って
何気なく語り合い

「また明日」

カエルが鳴く
セミが叫ぶ
僕たちはタニシを投げて
田んぼに落ちた

緑の稲 隙間の茶色
半袖ポロシャツを土色に染めて
町を歩くと視線が集まる
自転車を押す僕 横のあなた

「くっさー」

緑がなくなってきた帰り道
かすかに見える三郡連山
黄色に染まる道路 宙をひらひら
銀杏の葉
扇子に見立ててごっこ遊び
僕とあなたで

「大奥ごっこ」

教室のストーブ 
中心の人が王様
僕は窓際 あなたも窓際
前後の席
椅子の下 机の下
足を絡ませ 暖をとる 

肩まで伸びた髪
変わらない耳たぶの大きさ
整った顔立ちのあなた
葉を捨て真っ裸の木々の下
貫禄ある出で立ちの校門に
今の僕は映えそうで
そしてあなたが隣にいて

あなたに一言いってみた
西の風が顔を叩いて赤くなってた
あなたの頬も赤かった

綺麗落とし

2018-12-06 23:49:47 | 創作(詩)
綿菓子が空を舞って
西の風が髪の隙間を通り抜けていった
満開の桜が映える並木道
花弁の隙間から朝日が見え隠れするリズム
コンクリートの影が愉快に笑い転げる
スーツの男が鼻歌を軽快に鳴らし
世間話に興じる奥様たちは道を狭めて
頬を染めた女学生たちが小声で話す

新しいものが入ってくる季節
世界の楽しみが膨らむ今
ゆっくり枯れゆくものが生まれて
雨が最後にやってきた

あまりに短い迎え入れの時
雨が降って幕が降りていく
靴裏の泥を吸って黒ずみの増した花弁が詰まってきた

緑だけで埋め尽くされるこの景色
排水口でもがく他の色は
泥水を吸って生きていく

緑は強い
光差し込む鉄の柵の下から見上げた

今日も水たまりは道を塞いで
隠せてない笑みを零す
挨拶は雨にかき消された