一時期、雪がなかった富士山も、1月下旬の冷え込みで雪化粧をまとい、美しい姿を見せてくれています。
2月23日は「富士山の日」。平成21年12月25日に静岡県富士山の日条例が交付、施行されました。
20代のおわりころ、富士登山の機会があり、大丈夫だろうか…と迷いつつも参加しました。
少しでも体力をつけようとスポーツジムに通ったり、アウトドアショップの店員さんにアドバイスをもらいながら初登山の装備を整えました。
行程は、勤務後バスで5合目まで行き、夜通し登って頂上でご来光を拝んで下山するという、いわゆる弾丸登山です。いま思えば、初めての登山なのになんと無謀な…。
当日は5合目への到着が予定より遅れ、登り始めたのは夜9時から10時ころだったような。おしゃべりしながら一緒にのぼっていた仲間とはやがて離れて(もちろん私が遅れて)、想像以上の寒さに途中でカッパを着込みました。何合目あたりだったか、懐中電灯の電池が切れました。初心者の迂闊さで予備を持っていなくて、山小屋で尋ねたら無料で分けてくれました。ありがたかったのと同時に、すごく情けなくなったのを覚えています。きっと山小屋のご主人(?)はあきれていたことと思います。
何より忘れられないのは、雲海の上に月が煌々と輝く絶景です。寒さや情けなさや疲れが吹き飛んだ瞬間でした。
残念ながら9合目あたりで夜が明けてきてしまい、“頂上でご来光”は実現しませんでしたが、老いて認知症になってもあの美しい雲海の景色だけは忘れずにいたいなあと思います。
遠くから、あるいは新幹線から富士山を見上げる度に、よくあそこに登れたなー、と自分でも信じられない不思議な気分になります。
富士山の日に向けて、ただいま特集コーナー準備中です。
(y)