今年生誕100年となる尹東柱(ユン・ドンジュ)の生涯が初めて映画化された。
尹東柱については、「死ぬ日まで天をあおぎ/一点の恥じ入ることもないことを」で始まる彼の美しくも鮮烈な詩と治安維持法で逮捕され獄中死したという悲劇的な生涯についてごくおおざっぱな知識しか持っていなかったが、この映画によって彼が何を考え、何を感じ、そして、死んでいったのかをより深くとらえることができたように思う。特に、映画の中で朗読される彼の詩が、彼の内面の表出であると同時に彼の生き方そのものを示している。尹東柱を演じる俳優カン・ハヌルは、写真に残された尹東柱の面影にそっくりであった。顔立ちだけでなく、生真面目な表情までもがそっくりなのである。
この映画では尹東柱のいとこ宋夢奎(ソン・モンギュ)が大きな役割を果たしている。彼は尹東柱と同じ家で育ち、同じ学校へ通い、そして同じように日本に留学し、そして治安維持法で逮捕され、やはり獄中死した人物である。彼の友情・行動との対比の中で尹東柱の思いがより鮮明に伝わってくる。
8月11日までシネマート心斎橋・シネマート新宿で「ハートアンドハーツ・コリアン・フィルムウィーク」の一環として上映中。7月29日から上映が開始された心斎橋では、土日両日とも立ち見が出るほどの満員であった。ほかの地域でも順次上映が予定されている。(鈴)
監督:イ・ジュニク
主演:カン・ハヌル パク・チョンミン
2015年|韓国映画|110分|モノクロ
原題:동주 英題:Dogju ; The Portrait of A Poet