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原発即時全面停止のリアリティを語ってしまった?日本学術会議

2011-07-06 | 原発

 7月3日読売新聞は、一面トップで「原発撤退で電気代2121円増、維持なら372円増」という記事を掲載した。

 日本学術会議は、大きく分けて原発の「撤退」(即時撤退から計画的撤退までの3段階)、全発電量の約30%を原子力が占める「現状の維持」、50%まで拡大する「推進」などの6段階の評価を加えている。
※原発撤退で電気代2121円増、維持なら372円増(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110703-OYT1T00003.htm

  これによれば、日本が原発から即時撤退した場合、2030年には、標準家庭1か月の電気料金の上乗せは、2121円となるが、維持するなら372円で済むという。

 

 読売新聞は明らかに、原発撤退は高コストであることを国民に訴えるためにこの記事を配信している。日本学術会議も即時撤退に対して否定的である。読売新聞は6月13日にも、経済産業省所管の日本エネルギー経済研究所の試算として「全原発停止なら…家庭の電気代1千円アップと試算」なる記事を配信している。
※全原発停止なら…家庭の電気代1千円アップと試算(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110613-OYT1T00849.htm

 この試算の正否はよく検討しなければならないし、国民負担増を前提に事柄を進める姿勢は厳しく批判されるべきだが、20年後の家庭の電気料金が2000円程度上がることで「やっぱり原発を推進しなければならない」と考える人が多くいるだろうか。
 むしろ原発から即時撤退したとしてもその程度の負担で済むというのがこの記事からうけた印象である。
  
 この試算は、「現在稼働中の原発が定期検査を迎える来夏までに全原発が停止した場合」というまさにいま進んている状況のもとで、当面火力や水力などで代替し、徐々に自然エネルギーに転換していくという極めてリアルな脱原発の道筋を想定しているのだ。

  しかも読売の紙面では書かれているがネット配信の記事からは削除されている重大な文章がある。
 すなわち「安全対策のほか、廃炉や使用済み核燃料の処理コストの増大や、事故が起きた場合の社会への甚大な影響もある」。
 「原発のコスト」は通常運転では隠された高コストが存在していることが明記されているのである。
(これについてはリブインピースの以下のブログ記事参照)
※発電コストの虚偽が大手メディアでも報じられた!(リブインピースブログ)
http://blog.goo.ne.jp/liveinpeace_925/e/6f2010116ee6eb8f442a3bd0971bc03e

 日本学術会議はこの読売新聞の記事が掲載された直後、「平成23年7月3日(日)付けの読売新聞第一面「原発撤退なら月2121円増 学術会議試算」の記事について」なるコメントを発表した。そこでは、内容はまだ精査を必要とするので9月に最終報告を出すとし、6/24付報告の詳細をホームページから削除している。あきらかに異常な対応だ。
※平成23年7月3日(日)付けの読売新聞第一面「原発撤退なら月2121円増 学術会議試算」の記事について(日本学術会議)
http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/shinsai/setumei.html

 これは何を意味するのか。日本学術会議は図らずも日本における脱原発のリアリティ、全原発の即時停止の道筋を示してしまい、政府や原発推進派から強い抗議を受けたのではないか。なにしろ、政府や電力会社は電力が不足するとキャンペーンを張っているのに、日本学術会議は、コストは高くなるが来夏の原発全面停止は可能と、真実を語ってしまったのだ。

(ハンマー)

 


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