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[オスプレイ配備を許すな(22)][翻訳資料]なぜV-22オスプレイは安全でないか(その三)

2012-07-29 | 沖縄

米国防分析研究所の元主任分析官が告発したV-22オスプレイの本質的欠陥(リブインピースホームページ)より転載
http://www.liveinpeace925.com/us_base/osprey_is_unsafe.htm

[翻訳資料]なぜV-22オスプレイは安全でないか(その三)
Why the V-22 Osprey is Unsafe?
http://www.g2mil.com/V-22safety.htm

2.ボルテックスリング状態での運用 

背景

 2000年3月のMarana事故の後、V-22のVRSが「非対称のVRS」と呼ばれる新しい徴候に関係した可能性があるとの認識を得て、その原因となる要素と、今後のV-22の運用にかかわる可能性の理解のために、私は技術的な文献を研究し始めた。

 しかし私はすぐに、この問題に関する技術的な文献や過去のデータがわずかしか存在しないこと、さらに重要なことに、この重大な現象がV-22にどう影響するかを評価するテストが行われなかったことを知った。海軍と契約者であるベル/ボーイングは、その信用にかけて、この空白を満たすための広範囲な風洞テストと飛行テストを行う計画に着手した。

 これらの努力の間、私は、V-22におけるVRSの効果は、V-22の並列配置のローターレイアウトのために、一般的なVRSの操縦要素である「降下率」、「対気速度」、「ピッチ変化」に依存しない点に注目した。これは、V-22がVRSになった場合、それから脱出するための変更可能な操縦要素として唯一「ロール率」と「偏揺れ率」に係るローター操作しかできないということであり、V-22が従来のヘリコプターと本質的に異なる点である。さらにまた、ローターの変更操作は2つのローターのために逆方向に作用し、操縦している間は非対称のVRSを引き起こす懸念を生じさせる。

 概算として、私がこの現象(非対称のVRS)に至る可能性について簡単な計算を行って、この機体の最大「ロール率」及び「偏揺れ率」付近の操作によって、実際に2つのローターが非対称のVRS状況に入れてしまう可能性があること、そしてその結果、制御できない飛行に陥るという結論に達した。戦闘時は危険回避のために最大ロール率と偏揺れ率での操縦操作が行われるので、私は即座にV-22でのこのような操作の安全性について懸念を抱いた。

 上記の私のラフな計算結果を検証するために、私はメリーランド大学のExcellence Rotorcraftセンターに協力を依頼した。ここは特に数値によるローター・シミュレーションの新しい方式を開発した世界有数の研究センターだった。同センターのゴードン・リーシュマン教授は、支援することを同意した。

 V-22について、彼らは数値計算プログラムコードを修正するために、V-22のローターについての正確な物理特性の数値(翼断面、質量分布、翼弦分布など)の正確な物理パラメータを入手する必要があった。

 私は、V-22 開発部署に対してDOT&Eアクションの職員を通じて、これらのデータを提供するよう要請した。必要なデータは得られなかった。必要な数値や適切な見積り値は公開された回転翼機の文献から最終的に収集され、その後メリーランドの計算プログラムはV-22に使用するために修正された。

 様々な初期条件(大きな偏揺れおよびロール率が入力された状況を含む)で、何度も計算が実行された。数値解析での方法論に必要なV-22の単純化されたモデルを取り入れる過程で、リーシュマン教授と私はこのモデリングで基本的な現象は補足できると確信した。これらの数値計算の結果、私のラフ計算が正しいことが確認され、私の懸念はさらに深まり、2001年中頃、私はこれらの問題をDOT&E. Pursuantに伝え、パイロットが敵の砲火を避けるために戦闘時に行う可能性のある3つの回避操作を含む飛行テストをV-22で実施するよう、DOT&Eを通して開発部署に要求した。

 2002年後半以降の技術交流会議では、ベル/ボーイング-NAVAIRチームは、原則としてこれらの飛行操作の検証がなされるべきであることに同意し、これらの操作を含む飛行試験計画に着手した。現在まで、飛行試験で、要求された飛行状態に入ろうとしたときに、V-22のローター管制システムが繰り返しV-22のローター・ディスクのフラッピング限界を超えたため、これらの操作は完遂できなかった。ローターのフラッピング限界を超えずにこの方法での(非対称のVRSからの)回避操作がV-22でできないということは、それ自体深刻な安全性への懸念を生み、戦闘状態下での回避操作能力を否定することになる。

V-22渦流輪現象)とその結果の概要

 VRSは、なんの操縦操作なしに、ローター推力の変動として現れる回転翼航空機の飛行状態である。これは、戦闘中の活発な回避操作(訳者注:地形を利用した回避操作等)や、また風が下から垂直に吹き上げて来るような異常な風の条件(例えば山岳環境や艦船の傍などの乱気流条件)で低速で降下しているときにのみ発生する。

 従来のヘリコプターと異なり、このような推力変動は、V-22のような並列のローター配置ではローリングモーメントの発生となるため特に問題となる。VRS時のこれらのローリングモーメントの発生に対処しようとしても、V-22の飛行制御システムでは容易に操作の限界を超える事態になるため、パイロットにとっては手に負えない事態となってしまう。これが低高度で発生した場合、機体の破壊に至る結果となる。

 最近になってDOT&Eに提供されたきわめて限られた飛行テストのデータでは、機動テストの結果、明らかに飛行制御システムが飽和してしまうことが示されている。私はこの操縦系統の飽和ということが飛行試験で本当に稀なことであると証明されない限り、この可能性は深刻な懸念として表明されるべきであると信じている。 V-22の開発部署は最近、VRSに関連するすべての制御性の問題が解決されたと述べているが、この現象を独立した第三者が独自に完全に解析する上で必要な飛行試験のデータの大部分は、まだ未公開のままである。

 ベル/ボーイングは現在、飛行テストを通して、V-22のVRSでの現象が従来のヘリコプターと同じであると主張しているが、V-22におけるVRSの経験に照らせば、同機が「非対称のVRS状況」に遭遇する可能性があるという点で、従来のヘリコプターとは根本的に異なっている。

 VRS状況に入ると、従来のヘリコプターは震動と機体の揺れ、操縦桿の反応の鈍化などが始まる(訳者注:これは固定翼機の失速時の一般的挙動と同じ)に対して、V-22は突然「不意自転」(=予期しない横転)に陥る可能性がある。

 これは、低高度では深刻な結果を招く。この結論に関連した懸念は、マラーナ事故の事故調査担当者も共有している。調査担当者は以下のように最終報告に記している:

 ... V-22のVRSやローターブレードの失速状態は、ティルト・ローターに特有なものではない。しかし、最終結果(コントロール可能な飛行からの逸脱)は、現在の大部分のヘリコプターで経験されている結果より極端である。

 V-22のVRS移行時の懸念は、ヘリコプターの事故率を歴史的に検討することで理解できる。私の事故データの評価では、通常、平時の運用では軍用ヘリコプターの破壊に至る事故の発生率は平均して50,000飛行時間あたり1回、10万飛行時間あたり2回になる。

 しかし戦時下では、ストレスによってパイロットが誤操作するため、この事故率は一般的に大幅に上昇する。

 1964年にベルUH-1の事故率は10万飛行時間当たり約2回であった。1969年、ベトナム戦の激化のもとで、事故率は36回に上昇した。さらに戦時には、多くの事故が敵の砲火に起因していたために、この数字は大幅に過少報告される傾向にある。これらの事故の多くは、「強行着陸」と分類されたが、私は、それらは機体を回復不能なVRS状況に入れてしまう一般的なパイロット・エラーに直接結びついて起こっていると見ている。

 最近のアフガニスタンでの作戦の間、報道機関は、米軍は12機のヘリコプターを失ったと報じたが、それらのほとんどは「強行着陸」と分類された。アフガニスタンでの米軍のヘリコプター運用時間の正確なデータはまだ使えないが、配備された部隊数、紛争の継続などをベースにした妥当な見積りとしては1ヵ月あたり1部隊につき700飛行時間と仮定できる。そうした推定から、これまでの累積飛行時間は10,000~20,000時間で、その間の事故率は100,000飛行時間あたり60~120回になることを示している。

 歓迎されないことだろうが、パイロットが操縦エラーを自ら察知して修正したため破壊事故に至らなかった「間一髪の事態」が、一般的なパイロットの操縦エラーで生じた破壊事故よりはるかに多い。こうした事態の発生数の統計はない。しかし、パイロットとしての私の経験に照らせば、それが1~10という高い比率になることがわかる。

 V-22に当てはめた場合、この一般的なパイロット・エラーがV-22の場合は「不意自転」を発生させ、低高度ではそれからの回復は不可能のため、「間一髪」が多くの犠牲者を生むということになる

(ハンマー) 


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