8/5の関西熱視線「乗り切れるか電力危機--供給不足の舞台裏」は、(1)大飯原発一号機停止のいきさつ、(2)「電力危機」をあおりながら、埋蔵電力などの利用を妨害する関西電力と法規制というふたつの興味深い内容でした。
まず大飯一号機の停止についての番組の説明。
7月15日10時46分警報がなる。ECCSのホウ酸水の圧力が低下し基準値を下まわった。これが一時間以上続いた場合は「運転上の制限」を逸脱したことになり、原子炉を停止しなければならないことになっている。ところが今回は11時45分に一時間内で復旧できたので、法令上は原子炉を止める必要がなかった。
関西電力の原発はこの5年間で「運転上の制限」を逸脱した事例が19件あるがこれまで原子炉を止めたことは一例もない。
にもかかららず今回原子炉を停止したのは、反原発の世論と、特に地元での原発危険の声の高まりに配慮せざるを得なかったからだ。
これを見ると、大飯原発も、事故そのものの重大性というより、脱原発の世論と運動が止めたというのがわかります。
以下番組で明かされた経緯です。「運転上の制限」逸脱が10時46分であったのか、11時1分であったのかは明確ではありませんが、いずれにしても、一時間内に復旧していたことになります。
○15日午後
10時46分警報 ホウ酸水の圧力低下
およそ15分後
(11時1分) ホウ酸水が基準値を下まわる。
ここで「運転上の制限」を逸脱。
11時20分 タンクの圧力を上げるためチッソ注入開始
同時におおい町長に事故の一報、役場に社員派遣
11時45分 タンク圧力回復 「運転上の制限」宣言解除 同時に原子炉停止を決定
○16日午前
0時30分 おおい町役場に、事故の経緯をファックス
10時46分~11時45分に、事故対応とともに、反原発運動の動向やおおい町の状況を慌ただしくみて、対応を迫られたことがわかります。
時を同じくして、大飯一号機の差し止め訴訟などの準備が進められ、原告の募集などが呼びかけられていました。関西電力は、事故を無視して強行運転を続けた場合、持ちこたえられないと判断したのではないかと思います。
裁判によって大飯一号機を止められてしまうくらいなら、ECCS事故を理由に自らの判断で停止した形をとる方が、打撃は少ないと判断したのではないかと思います。
脱原発の世論形成、そして原発立地点などにも働きかけることなどが重要と、この番組をみて改めて思いました。
(続く)
(ハンマー)