沖縄県名護市辺野古の新基地建設をめぐり、翁長沖縄県知事が埋め立て承認を取り消したことについて、11/17石井国土交通相が、承認取り消し処分を取り消すよう求め、福岡高裁那覇支部に代執行訴訟を起こしました。この提訴は不当です。代執行は、県の権限を奪うという強権的な措置であり、安倍政権がこのような手段を用いてまで埋め立てを強行しようとすることは許せません。
※【号外】国が沖縄知事提訴 辺野古、法廷闘争へ(沖縄タイムス)
翁長知事は11/17の記者会見で「『銃剣とブルドーザー』による強制接収を思い起こさせる」、「『基地は沖縄に置き続ければよい』との固定観念で、一方的に基地を押しつける政府の対応は、沖縄差別の表れだ」と強く批判しました。埋め立て承認取り消しについて「違法と決めつけられるいわれはない」と徹底して争う姿勢を示しています。
沖縄県側の主張は、仲井真前知事の埋め立て承認に瑕疵(かし)があり、翁長知事の取り消しは適法だということです。その理由は、県が設置した「第三者委員会」が7月に出した答申に書かれています。
※第三者委報告書、県が公開 辺野古の根拠示されず(琉球新報)
公有水面埋立法によれば、(1)埋め立ての必要性、(2)国土利用上の合理性、(3)環境保全の措置、(4)他計画との整合性、のうち1つでも瑕疵があれば承認取り消しの理由となります。これについて、答申は次のように指摘しました。
(1)について、普天間基地の移転先が、なぜ辺野古なのかの合理的証明がありません。2012年、当時の森本防衛相は「軍事的には沖縄でなくてもよい」とまで語っています。
(2)について、土地収用法では、事業計画の達成で得られる利益が生じる不利益よりも大きくないと「合理的」と認められません。(1)にもあるように、移転先が辺野古でなければならない理由が不明なので、利益も明確ではありません。それに対し、沖縄の中でも生物多様性が豊かな辺野古の海を埋め立てるのは、大きな不利益です。
(3)について、外来種の混入やジュゴン・サンゴの保護の具体策が明らかにされていません。根拠もなく「ジュゴンは辺野古地域を恒常的には利用していない」と評価しています。また、日米地位協定の下で、米軍に環境保全策を守らせる保証がありません。オスプレイの騒音等の問題でも、日米合意を破る飛行が常態化しています。
(4)について、策定した「琉球諸島沿岸海岸保全計画」で、辺野古埋め立ての対象の一部が「原則的には護岸等の海岸保全施設等を設置しない」区域とされており、抵触しています。
以上のように、答申は、辺野古新基地のための埋め立てが、この4点すべてについて瑕疵があるとしたのです。したがって、翁長知事が埋め立て承認を取り消したことは、全く正当です。
安倍政権・沖縄防衛局は10/29から、基地の「本体工事」を開始したと報じられています。しかし、実際には「本体工事」ではなく、昨年から続いていた旧米軍兵舎の解体工事の後片付け作業をしているだけだといいます。
※政府の言う「辺野古本体工事着工」はウソ!─旧米軍兵舎解体工事の片づけ作業が始まっただけ(チョイさんの沖縄日記)
安倍政権は焦っています。頑強な反対闘争で工事は遅れに遅れ、米国向けに少しでも工事が進んでいることをアピールしたいのです。
しかし、いくら安倍政権が埋め立てを進めようとしても、これからもたくさんのハードルが立ちはだかります。海底に投下される汚濁防止膜設置に必要な「岩礁破砕許可」、埋め立て部分のサンゴ礁移植のための「特別採捕許可」、工事内容や施工順序を変更する場合に申請が必要な「設計概要変更」といった様々な手続きで、知事の許可を得なければなりません。県だけではなく、名護市の稲嶺市長の許可を得なければならない手続きも、数多く残っています。
※八方ふさがり防衛省 「辺野古移設」絶対無理なこれだけの理由(日刊ゲンダイ)
知事や市長がが許可しなければ、新基地は建設できません。行き詰まった時、安倍政権はどうするつもりでしょうか? いざとなれば、申請一つ一つについて、今回と同じように強制代執行に訴え、知事や市長の権限を奪うつもりかもしれません。しかしこれは、誰の目にも明らかな地方自治の破壊です。こんなことが認められるでしょうか?
安倍政権のこのようなやり方に対して、「本土」に住む私たちも、黙っているわけにはいきません。首相官邸では「本土の反対が強くなれば厳しいが、今はそうでもない」などと言っているそうです。沖縄を孤立させてはなりません、今こそ「本土」から反対の声を! 翁長知事の埋め立て承認取り消し支持! 安倍政権による代執行反対! 世界一危険な普天間基地は撤去しかない! 辺野古にもどこにも代替地はいらない!
(by ウナイ)