をとなの映画桟敷席         ~ほぼ毎日が映画館

映画取材から編集裏話まで、るかのここだけの話を忘れた頃にアップします

シェイプ・オブ・・ウォーター

2018年01月20日 | 映画
(C) 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation


映画「シェイプ・オブ・ウオーター

アカデミー賞のさや当てが激しい今日この頃。
前哨戦の「ゴールデングローブ賞」では、圧倒的に「スリービルボード」が一人勝ちとなりました。これは圧倒的作品が他になかったのではなく、ハリウッドを騒がせた大物プロデューサーのセクハラ問題がちょうど重なったことも大きいと思われます。
これについては一般のニュースでも参加者の黒い服と「Me too」バッヂ姿とともに報道されましたね。

この「シェイプ・オブ・・ウオーター」は監督賞こそ受賞しましたが、ベネチア国際映画祭の金獅子賞作品だけに、そうでなければもう少し受賞できたかもしれません。とはいえ、授賞スピーチで壇上に上がったギレルモ・デル・トロ監督は、退席を促す合図の音楽を制して、もう少し喋らせてくれと、嬉しさと感謝を最大限に表していました。

「パンズラビリンス」に代表されるようなダークファンタジーを描いてきた監督ですが、本作は「大人の童話」と思いました。
ただ、絵空事ではなくて、現在、世界であるいは身近で起きていることに置き換えて考えられるリアルさも持ち合わせています。
時代背景は1960年代でしょうか。米ソ冷戦時代の初期。これから宇宙開発で競っていくことになる時代設定です。
主人公は独り身の聾唖の女性。映画館の上に住んでいます。友人は隣の部屋に住む初老の男性。イラストレーターの彼も写真の台頭で孤独な毎日を送っています。
主人公の仕事はある研究所の清掃員。そこでの友人は面倒見のいい黒人の女性。
つまり、皆、孤独や差別を抱えている人々が出てきます。

この単調な生活の中で、主人公とある異形の者との運命的な出会いが。
彼もまた、虐げられた者として登場します。主人公とこの異形の者との愛がストーリーの柱です。

そして彼および彼らを虐げる者が出てきます。大変残虐な人間で、平凡な主人公たちをある大胆な行動に駆り立てます。
さて、結末はいかに・・・。

オープニングから水の中をモチーフにした幻想的な映像が目を引きます。その中で綴られる文字が特に美しく感じました。
内容は、少々リアルでグロテスクな場面もありますが、異形の者が異形に見えなくなり、発光する効果も美しく感じさせます。
二人の愛の交歓シーンはかなりエロチックで18禁ですが美しく、水をふんだんに使い、映画館も雨漏りになっていくシーンはハラハラしてしまいます。
そして緊迫するラストへの盛り上がり方も手に汗握るところがあり、どうなるの!そ、そんな、という見せ場があります。

さて、2人はいったいどうなるのか。それは劇場で。

原題・英題 :THE SHAPE OF WATER
監督:ギレルモ・デル・トロ
キャスト:サリー・ホーキンス、マイケル・シャノン、リチャード・ジェンキンス、ダグ・ジョーンズ、マイケル・スツールバーグ、オクタヴィア・スペンサー
3月1日から全国ロードショー
www.foxmovies-jp.com/shapeofwater/
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聖の青春

2016年11月14日 | 映画
映画「聖の青春」

今年の東京国際映画祭で見ましたが、よかったなー。
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ジェーン(映画)

2016年07月31日 | 映画
       ©2015 SP JGAG, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

映画「ジェーン

ナタリー・ポートマンの最新作。しかもユアン・マクレガー共演とはSWか!
多分、製作にも関わるナタリーの押しなのでしょう。

お話はアメリカ開拓時代のウエスタン。夫と娘を持つジェーンという女性が主人公です。
でも、開拓時代だからといって「大草原の小さな家」のようなアットホームさはありません。
原題は「ジェーンよ銃を取れ」ですから、のっぴきならない事態がジェーンに襲いかかってきます。

彼女を支えるのは元恋人。えっ、夫は?と思うかもしれませんが、彼は瀕死の重体。
撃ったのは、御尋ね者で荒くれ者を束ねるユアン演じるビショップ一家のボス。両者の攻防はどうなるのか。そして以前からの因縁がだんだん分かってきます。
そして、ジェーンは小麦粉を練っていた手で銃を取り、馬にまたがって荒野をかけるのです。

これはナタリーが製作を切望した物語とのこと。女性の自立、母の強さというところを見せたかったのかとは思います。
また、アメリカの現代が自警の考えや銃社会に至る時代背景、女性にとっては人権もない時代に立ち上がった女性を描きたかったのだと思います。

ちょっとユアンが悪党としてはキャラが弱いですが、西部劇が殆ど見られない今、キャニオンの風景は貴重なのではないでしょうか。


2016年10月22日より新宿ピカデリーほかで全国公開
http://jane-movie.jp/
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キングオブエジプト(映画)

2016年07月03日 | 映画

夏のゆる~いひとときにうってつけの一作。
最近、娯楽大作もえらく複雑な人間関係だったり、陰鬱な社会背景があったりする中、考えずに観られる映画です。
人間に近い場所に神々がいた時代の古代エジプトだから、冒険ものとして楽しく見れます。
主人公は人間で盗賊のベック。

話は、神々の長の交代式でそれに反対する悪役が乗り込み政権を奪ってしまうという、お決まりのパターン。
でも、ここで面白いのが、神々が戦うときは人間の姿から黄金の鷹やら牛やらを模した姿にバージョンアップして戦うということ。
なんだかRPGみたいですね。

負けた正統派の神の息子ホルスは気落ちして神殿に隠れています。主人公は彼を助けるため、奪われた目を盗みに行くんだけど、インディジョーンズ?!みたいなシーンもあり楽しめます。そして、ホルスに目を届けにいくのです。
ホルスって昔、アニメでもあったような。太陽のイメージですね。
この役者さん、どっかで見たことあると思ったら、「ゲーム・オブ・スローンズ」のキングスレイヤーことジェイミー卿じゃないですか。ニコライ・コスター=ワルドー、王子役にはまってます。きっと製作者の遊びだと思うけど、「スレイヤー」と、この映画でも言われるシーンがありました。

アカデミー俳優のジェフリー・ラッシュも太陽神ラーで出ているのだけど、このシーンになるとSFか宇宙戦艦ヤマトかと…ちょっと苦笑。

まあともかく、魔法あり、友情あり、愛ありの単純明快娯楽映画で、お気楽~に楽しむのならどうぞ。


キング・オブ・エジプト』は9月9日(金)TOHOシネマズスカラ座ほか全国にて公開。
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MOZU (映画)

2015年11月22日 | 映画
映画「MOZU 映画版」

東京国際映画祭で観た本作。TVでTBS×WOWWOWのシリーズ版1・2からリアルタイムで観ていたが、本作はどうか。
主演は今や旬の男性俳優の1人、西島秀俊。準主役に香川照之、真木よう子とお馴染みのメンバー。
唯一違うのは、MOZUこと池松壮亮演じる新谷=暗殺者が相手役兼謎解きのカギではなくなり、さらに別の巨悪が出てくると言うこと。

したがって、シリーズを通しで観ていて、テイストに違和感を感じる人もいるだろうと推測される。
それに、主役倉木がMOZUという台詞に至っては、「ん?」と思ってしまった。
結局今回は、新谷を松阪桃李演じる権藤に役割を振ってという感じにせざるを得なかった感じ。ならば、権藤という日本名じゃなく、東南アジア系の名前の方がリアルだったのにと思う。

もちろん、ここぞというシーンで新谷兄が出てくるので、物語&画面的に締まるのだが、いかんせん、本作への絡みが少なく残念。通しで観てると、スピンオフ映画のような気もしてしまう。池松の演技が出色なだけに、特にそう思えた。

それに対して出ずっぱりだったのが東役。敵か味方か分からない立ち位置の人物が出ずっぱりだと、ともすれば作品の出来を左右してしまうが、それを壊さずに派手な人物を主役よりは目立たせず、長谷川博巳は上手く抑制して演じていたと思う。(ただ、桃李にしても、狂気の人物が高い声で馬鹿笑いするというのは型にはまった演技で食傷。)

それから映画なので荒唐無稽でいいのだが、誰もがスーパーマン。あれだけ負傷しても次のシーンでは普通に歩いているし、すぐ未知の東南アジアに飛んでしまうのはちょっとマーベル。
ハードボイルド感が魅力の本作。拳で殴られれば数日はグロッキーな、「ロンググッドバイ」や「チャイナタウン」的な生身のリアル感が脚本・演出にほしかったと思う。すると、ラストのバーのシーンなどさらに格好良かったのでは。

そして、宣伝上しょうがないのだろうが、最大の敵は公開まで伏せておけばなおカッコ良かったのに…。
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