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イニシェリン島の精霊(映画)~そろそろアカデミー賞・第一夜

2023年01月09日 | 映画
映画「イニシェリン島の精霊」

そろそろ近づいてきましたアカデミー賞。
ノミネーションが予想される作品を紹介してみよう。

初日は「イニシェリン島の精霊」。
題名だけ聞くとファンタジーかと思ってしまうが、「スリー・ビルボード」の監督作品と聞けば、かなり厳しい内容の話だろうと推測される。
映画って、ストレートに訴えたいことを伝えるものと、終わった後に観客に考えさせるものがあるが、これは後者だろう。

ますはストーリー。
場所はアイルランド、時は内戦が続いていた頃の設定。砲弾の音がやまない本土と違い、海を隔てたイニシェリン島はのどかでいつもと変わらない時間が流れていた。しかし、いつもパブで酒を飲みながら馬鹿話をしている友人が何だか態度が違う。
自分に話しかけてくれるなというのだ。
音楽創作の世界に没頭したい、お前の馬鹿話に付き合う暇はないという。
理解に苦しむ男は、何とか元通りの関係に修復しようと模索するが、相手はあろうことか、これ以上話しかけたら自分の指を切るというのだから穏やかではない。
でも、それは実行され、物語はエスカレートしていく。

そんなばかなという場面が後半次々と重なる。客観的に見たら、そんなことしなくても平穏に暮らせるのに、エゴとエゴのぶつかり合いが続いていく。
そして主人公の妹も、最初は何とかしようと間に立ったりするのだが、最後は見限って本土へ行ってしまった。

現在、世界で起きている争いを描いているのだと思うが、本人たちだけでなく、周囲の人間などもなぞらえているのではないか。
特に、ロバというのは象徴的な意味合いを持つから、主人公が豹変するきっかけとなったのだろうか。
最後に、本土からは砲弾の音が聞こえなくなった、というのは希望か願望か。
いろいろ見終わってから考える余地のある作品だ。

そしてなんだか、彼らが精霊なんじゃないかと思えてきた。

コメント
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