「炎の経営者 上・下」高杉良著を読んだ。
八谷泰造(やたがいたいぞう)が、中小企業から日本触媒という大企業
を成長させながら、日本の石油化学工業の発展を国産技術を開発して、
進める、財閥に属さず、小さな町工場から、技術力を基に発展していく
企業・人生ドラマ。
高杉良のタッチjは簡潔明瞭な文章で、ストーリーがテンポよく進む。
迫力、真実味が増し、どんどん小説に引き込まれていく。
生まれは広島県比婆郡山内東村(現・庄原市)。
三次中学(現三次高等学校)卒業。働きながら苦学して
1932年大阪大学工学部応用化学科を卒業。
この庄原はつい先日友人の葬儀で訪問したばかり、広島から2時間程度も
ローカル電車でいく、交通の便が悪いけど、人のいい日本のよさが
まだまだ残っている、人情豊かな日本の田舎。
そんなことも何かこの八谷とい経営者に親近感を抱きました。
この小説最初に、面識のない当時相当な地位にいた富士製鉄社長の
永野重雄氏に出資を直談判するのがいいと、居候の升田幸三のアドバイス
で夜行列車の中で、日本の重化学工業発展を熱く説く、そのために私の
会社に出資をお願いしたいというとんでもないことを承諾させるところ
からドラマが始まる。
優秀な人材確保、人に対する配慮、思いやり。
度重なる会社の危機。
日本石油化学グループの川崎市コンビナート事業で国産技術での大勝負
川崎市の土地払い下げにたいする川崎市長への直談判
日本開発銀行からの巨額融資
企業規模を飛躍的な拡大、現在の日本触媒の産みの親
63歳、会社の社長室で執務中に亡くなる。壮絶な人生ドラマ。
そんなに若くしてこれだけの実績を残して亡くなるなんて、
生きていれば、もっと日本経済にインパクトのあることができたかも
しれません。