147頁
(ヴィオレット) お黙りなさい。
(フェルナンド) 女性どうしの恋仲よ、いまのほとんどは。まったく! 時々、それを知らずにね。
(ヴィオレット) わたしはあなたを軽蔑するわ。どれほどか、あなたは知ることができない…
(フェルナンド) またも、身分不相応で長くもたない贅沢ね。ベルが鳴らなかった? マダム・ジュキエはまだ出かけていない。彼女が開けようとしているのかしら…
(ヴィオレット) セルジュにちがいないわ。
(フェルナンド) またなの! (誰かがドアを叩く)。誰?
(セルジュ、外から。) ぼくだよ。
(ヴィオレット、くすんだ声で。) 入っていいわよ。
第二場
同上の人物、セルジュ
(セルジュ) 女医さんは何と言った?
(ヴィオレット) 気管支炎は(つづく)
148頁
(つづき)治まりつつあるって。でも彼女の言うには、モニクは再感染の危険があるから、体温が下がり次第、転地療養が必要なのですって。少なくとも一年、田舎で、サナトリウムの中で、過ごさせるべきだという判断よ。
(フェルナンド) その考えについて私が思うことは、私は既に言ったわ。
(セルジュ) きみはどうするつもりだい? シュザンヌとぼくは、知恵を絞り続けている… 彼女はこういう状況でのこつをよく心得ている自分を証明したと、ぼくは言わねばならない。(躊躇しながら。彼が、覚えたひとつの訓示を復誦していることは、明らかである。)その上彼女は、自分の遠い親戚のひとりが行政会議のメンバーであることを思い出した… 施設の名前をぼくはもう思い出せないが、グルノーブルの近くであることだけは知っている。
(ヴィオレット) それはグランセにちがいないわ。話を聞いたことがあるわ。
(フェルナンド) その辺りの家屋は値がとても高いわよ。
(セルジュ) シュザンヌは、たいそうな好条件を手に入れることができると自負している。彼女の父親が昔手助けしたらしい従兄の力によってね。
(フェルナンド) あなたは訓示を復誦しているような感じね。
149頁
(セルジュ、気詰まりして。) いま言ったことは全部、ぼくの意識のなかでは、かなり曖昧なんだ。
(フェルナンド) 残念ね。バイヨンヌ近くの神経性疾患専門の診療所に行くべきね。
(ヴィオレット) まあ、フェルナンドったら!
(セルジュ) それは幸運なのですよ… もっとも、可能性としてですが。
(ヴィオレット) あなたの奥さまにくれぐれも宜しく。彼女から多分何らかの詳細を報告していただけるでしょう。
(セルジュ) 手紙で。彼女は現在、とても風邪をひいているんです。かなり困ったことです。
(フェルナンド) あなたはおかしい雰囲気ですよ。
(セルジュ) まったく! 静かにしといてください。
(フェルナンド) 私は長居する気はありませんから、ご安心を… でも、一つあなたに助言するなら、次回はもう少し上手にご自分の筆跡を隠すことですね。(フェルナンド、外へ出る。)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます