この日は早朝実家に到着すると、兄がバイク置き場で待ち構えていました。
何事か?と不安な表情の私をよそに兄が「今日、新苗が届くからバイクはもう少し手前に停めて」とのこと。
苗木屋さんの搬入路を塞がないように、という配慮でした。
兄ちゃん、搬入はこんな朝早く決定したンじゃあないよねぇ?前回言いそびれたなら、前夜でも今朝でもメールすればよかったなンじゃあない?早朝からバイクを待ち構えていたら、夜明けに父の容体が急変かと思うじゃあないの…。
それは私の感想ですから、ここはグッと言葉を飲み込みました。
理由は、兄にはムリだから。いろいろと。
作業は青島(早生みかん)の収穫から。大津4号もあるのですがこちらは年末くらいの収穫です。
早生みかんは30年程前、父が斜面の土留めを兼ねて植え付けました。
父は「将来お前やニイチャンの子ども達にミカン狩りをさせてやるため」と言っていましたけれど。
結果、私は子なしだし、兄の娘達は農業を継がない…父、ごめんよ、出来の悪い息子娘で。
そんな感想しか持たないみかんの収穫です。
斜面に植え付けてありますから、収穫もちょっと大変です。
高身長の兄でさえ脚立に乗っても届かない場所があり、私は幹のそばに潜り込んで収穫します。
ついでにマイヤーレモン、リスボンレモン、黄すだち、ゆずも収穫。
残りの柑橘は、大津4号(みかん)、きんかん、麗紅、不知火です。
それはおいおい収穫作業となりそうです。
続いてメイン農産物の剪定諸作業。
癒合剤塗布、太枝切り、剪定枝束ねの繰り返しでした。
癒合剤はメイン農産物の他にプルーンにも塗布しました。
プルーンは結実はするものの、所詮サブ農産物ですからキズモノが多くできます。
農地を持て余すくらいならキズモノでも作る意味はあるそうです。
ま、直売シーズンには「キズモノ」とか「ジャム用」とか何かと理由をつけて格安なら売れちゃいます。
今は住宅街の中の農地なのですが、果樹園が開園した当初の70年前だと販売先がなくて困ったでしょうけれどね。
さて剪定枝束ねは、畳屋さんからいただいた畳のヘリがとても活躍します。
お庭をお持ちの方なら剪定枝束ねがちょっと大変なのはご存じだと思います。
私も当初は慣れなくて、持ち上げたらグズグズに崩れたこともありました。
やっとコツがつかめてきました。
勝負は、地面に散らばった剪定枝を集めるところから始まるのか、と。
まずは畳のヘリを地面に2本、20センチくらい離して並べます。
その上に長くて太い枝を8本くらい集めて置きます。
この時、木の枝に方向を揃えます。
畳のヘリが木の根元(切り口)の10センチ上に1本、その20センチ上にもう1本くるように置くと後々作業が楽です。
次に長さはまちまちでもなるべく二股三股の枝を5本くらい置きます。
次に短めの枝を20本程、最後に長めの枝を15本くらい。
あとは畳のヘリを根元の方からギュッと片結び。
次にもう1本をギリギリと締め上げて片結び。
そうすると根元側が少し緩くなるので、持ち上げにくければもう一度締め直します。
この作業はムチャクチャ指の力を使うので、ここ最近は両手の指が筋肉痛です(苦笑)
それと伸縮性がある布地の手袋では、畳のヘリを結ぶ時に巻き込まれてしまうので、皮革の手袋が
オススメです。
剪定枝は突起も多いので皮革の手袋の方が丈夫で痛くない、という利点もあります。
それと勇んで剪定枝の束を大きくしないこともコツの1つです。
私や母は、女性ですから1束5〜6キロくらいを目安に束ねています。
この日は入院中の父に面会してきました。
母には聞き取れなかったようですが父が「いおいおやあ」と小さくつぶやきました。
暫く考えて「いよいよだな」と言ったのかな?と。
自分の死期が近いと自覚せざるを得なくなって来たみたいです。
さすがに母には伝えられなくて。
この日の面会は、兄が通院で不在だったので後から兄には父の言葉を伝えました。
父の手の指がますますむくんで少し黄色くなっていました。
父は長年の農業従事者なので日焼けと日焼けによるシミはあるものの、元々色白。
指先も1度は白くなったなー、と思ったもののその分黄色くなってきたのが明白です。
今度父に面会する時、父と会話が成立するかな?と思ってしまいます。
次回も楽しくお手伝いしたいです。